Mobile:NEWS 2003年9月22日 00:17 AM 更新

KDDIの「無線LAN切り替えユーティリティ」を試す

9月26日から提供されるKDDIの「無線LAN切替えユーティリティ」は、電波の強度を見ながら最適な通信に自動で切り替えてくれるツール。公開に先がけて使い勝手を試してみた。

 KDDIが9月26日から提供開始する「無線LAN切替えユーティリティ」。味もそっけもないネーミングだが、機能としては無線LANの電波状態を監視し、無線LANが利用可能であれば無線LAN接続を、そうでなければダイヤルアップ接続を行うことで、ホットスポットなどを含めたモバイルインターネット接続を使いやすくするためのツールだ。

ありそうでなかった、自動切り替えツール

動作するOSはWindows XP。まだまだユーザーが多いWindows 2000くらいには対応してほしい感があるが、無線LANの制御や監視にWindows XPが標準で持つ無線LAN機能を利用している関係上仕方ないのだろう。Windows XP以前では無線LANのベンダーやハードウェアごとにドライバが異なるため、多種におよぶ無線LANカードや無線LANユニットを監視したり制御するのが難しいのだ。


利用可能なOSはWindows XPのみ。もっとも多くの無線LAN対応ソフトもそうであり、仕方ない部分だ

 導入の前に無線LANやダイヤルアップネットワークなどの設定は済ませておく必要がある。このツールはKDDIからの提供となるが、ダイヤルアップの接続先は特に限定していないからだ。したがってAirH"やPacketOneはもちろん、@FreeDなども利用できる。KDDIがISPや通信キャリア(DIONやau、傘下のDDIポケットなど)抱えていることまで考慮すると、ずいぶん太っ腹だ。

 以上の条件を満たしていれば、導入はとても簡単だ。インストーラを起動し、インストール完了後にダイヤルアップ接続に利用する設定を選択するだけ。無線LANはWindows XPの機能を利用するので、ホットスポットの利用などでもツール側で特に設定を行う部分はない。あくまで「既に設定済みのインターネット接続をより便利に使う」という位置づけなのだ。


インストール後、利用するダイヤルアップ接続を選択すればとりあえず利用開始できる。使い方は簡単だ

スムーズな自動切り替えで、インターネット接続を維持

 筆者はAirH"、PacketOne(用語参照)の2つのダイヤルアップ接続環境を利用しているので、ホットスポットにノートPCを持ち込んでその動作を検証してみた。


検証に利用したのは無線LANを内蔵したセイコーエプソンのノートPC「EDiCube S」と、本多エレクトロンのCFカード型AirH"端末「AH-H403C」(6月26日の記事参照)、そしてソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製「A3014S」(5月15日の記事参照)と通信ケーブル。「Yahoo!BB Mobile」に対応したミスタードーナツで行った。

 自動切り替え機能については、実際に無線LANの電波が届くところと届かないところをうろうろするわけにもいかないので、ノートPCの無線LANオン/オフスイッチでシミュレーションした。

 切り替えツールを起動しておき、無線LANをオンにすると、さっそく無線LANの接続を検出し、接続中であることがポップアップ表示される。また電波強度がタスクバーのアイコンとしてリアルタイム表示されるため、Windows XPのネットワーク接続インジケータより便利だ。


無線LANに接続中はアイコンが電波強度のインジケータとなる。またダイヤルアップ接続のランチャーとしても利用も可能だ

 無線LANをオフにすると、今度は無線LANが切断されたことがポップアップ表示され、数秒でダイヤルアップ接続がが開始される。ダイヤルアップ接続で従量制の接続サービスを利用場合を考慮して、自動接続でなく接続を即すメッセージが表示されるようにも設定できる。AirH"もPacketOneもなんら問題なく利用できた。


勝手にダイヤルアップ接続されると困る場合は、事前にメッセージを表示させて手動接続にすることも可能だ

 再び無線LANをオンにすると、これを検知して自動でダイヤルアップ接続を切断し、無線LAN接続に切り替わった。一連の動作は極めてスムーズであり、ダイヤルアップ接続用のデバイス(通信カードなど)が接続されていなくても不穏な挙動を見せることなく、安定していた。

つなぎ放題PHS+ホットスポット利用者には便利なツール

 このツールが本領を発揮するはやはり定額でつなぎ放題のAirH"や@FreeDとの併用だろう。自宅や会社、ホットスポットなどでは無線LANで、それ以外ではダイヤルアップ接続でといったインターネット利用を使い分けがやりやすくなるからだ。

 もっともWindows XPでは無線LANの自動接続機能がもともと存在するため、劇的に便利になるというわけではない。ESS-IDやWEPキーの登録があれば、無線LAN接続自体はOSが自動で行ってくれるし、このツールもそうした機能を利用したものだからだ。

 接続した無線LANのESS-IDに連動してブラウザを起動したり、PPPoE接続を行う機能もあるが、ホットスポットのほとんどはWeb認証であり、自動でブラウザを起動できても認証作業は毎回手動で行う必要がある。HOTSPOT、Yahoo!BB Mobileといった代表的なホットスポットだけでもいいので、認証の自動化や代表的なホットスポットでの接続設定のプリセット(ESS-ID、WEPキーなど)などもぜひ取り込んでほしい。


接続した無線LANのEDD-IDに連動した動作を設定することもできる。現状ではプログラムの起動、Webページへのアクセス、PPPoEでの接続だが、国内のホットスポット事情に合わせた機能拡張に期待したい

 無償提供のソフトにあまり贅沢をいうのも酷だとは思うが、そうなれば実際にAirH"とホットスポットを使い分けているユーザーの必携のソフトになってくれるはずだ。ありそうでないソフトの1つだけに、今後の機能追加に期待したい。



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KDDIは、PCで複数の通信手段を利用する際、電波の強度に合わせて自動的に最適な通信に切り替えるソフトを無償提供する。9月26日から。

[坪山博貴, ITmedia]

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