Mobile:NEWS 2003年10月30日 02:26 PM 更新

QVGA液晶全機種採用のワケ。そして今後は?〜ドコモ夏野氏

携帯電話の技術は飛躍的に進んでいるが、どんなに素晴らしい技術も、サービスイメージがなければ意味を持たないというのが夏野氏の考えだ。携帯電話の液晶サイズ拡大は2.4インチでいったん収束するという見方も示した。

 FPD International 2003の講演で、自ら「FPDは門外漢」と前置きしながらドコモのiモード企画部長である夏野剛氏が語ったのは、「サービスイメージなくして技術は意味を持たない」ということ。サービスと技術のシンクロがどのようにビジネスに結びつくのかを、iモードビジネスでの経験を例に挙げて説明した。

コンテンツ進化がQVGA採用の引き金

 例えば505iシリーズではQVGA液晶が共通仕様として採用された(3月24日の記事参照)。これはメガピクセルカメラやFlashが搭載されたからこそ意味を持つという考えだ。

 仕事柄、さまざまな技術の提案を受けるという夏野氏は、「技術としてはいいけれど、それでどんなサービスをやるのか。それが幅広いユーザー層に受けるのか、というところまで考えていない場合も多い」と危惧する。「それでは本末転倒だ」。

 4年半前にサービスが開始された時、モノクロ画面だったiモード。502iシリーズ投入時に、個人的にカラー化に踏み切ったほうがいいと思った理由は、バンダイの「きゃらッパ」の人気が出てきたからだという。

 「たれパンダやキティといったキャラクター画像を待ち受けに設定するならカラーのほうがいい。これがなければカラー化に関心を持たなかった」。以降の新シリーズ投入においても、基本的にコンテンツの進化と液晶の高度化はシンクロしてきたという。

 強調するのは、技術だけではiモードの成功はなかったということだ。技術を生かしたコンテンツがたくさん出てくることで、より多くのユーザーがiモードを使いたくなる。ユーザーが増えればコンテンツプロバイダの参入が増える。コンテンツプロバイダの要望に応じた技術を端末に反映させる──このポジティブフィードバックが成功を支えていると説く。

 iモードは端末、ネットワーク、ゲートウェイサーバ、コンテンツ、ビジネスモデルとマーケティングが伴って形になるもので、互いが密接に関わっている。これらの連携を取りながら進んでいくことが最も重要だと夏野氏は力説する。「iモードの生態系を大きくする液晶の技術は何なのか。その技術がコンテンツの進化とシンクロしているかどうかに気をつけて開発していただきたい」。

 もう一つ重要な点として挙げるのは、「その技術をユーザーが使いこなせるかどうか」。

 どんなに優れた技術やコンテンツでも、それをユーザーが使えなければお金にならない。「技術に相応するコンテンツは十分進化しているのか、ユーザーは十分使いこなせるようになっているのかという、進化スピードのシンクロナイゼーションを気にしていただきながら技術開発していただければ、売りやすく、バリューチェーンを構築しやすい端末になる」(同)

ディスプレイの大きさは2.2、2.4インチが一つの成熟形

 夏野氏はFPD Internationalの講演ということもあって、携帯電話の液晶サイズに関する見方を示した。それは、現在505iシリーズなどに乗っている2.2、2.4インチが携帯電話の液晶としては一つの集大成になるというものだ。

 「手のひらのサイズより大きいものは持ちたくないのが人間の性。PDAのような大きさになってしまうと、iモードのように半年で450万台売るような世界は夢のまた夢」。

 3インチから4インチの液晶になるにはユーザーが「手のひらより大きくても持つ意味がある」と思うキラーアプリケーションが必要になるといい、iモードのモノクロ2階調から始まった、“液晶進化”の流れとしてはひとまず収束すると見ている。



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関連リンク
▼ International 2003

[後藤祥子, ITmedia]

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