フリースケール、UWB搭載携帯とZigBeeのデモ:ワイヤレスジャパン2005
UWB携帯のデモが日本上陸。ZigBeeを使ったマルチホップ転送のデモも行われている。
フリースケール・ジャパンはワイヤレスジャパン2005の展示ブースで、UWBを組み込んだ携帯電話による通信のデモと、ZigBeeネットワークのデモを行った。
広帯域を低出力で利用することで、超高速通信を行うのがUWB。デモではMotorolaの「A1000」をベースとした端末にアダプタタイプのUWBユニットを装着。携帯のカメラで撮影した写真を瞬時に送信していた。ユニットと携帯電話はSDIOで接続されている。デモの構成などはCESで行ったのと同じ(1月8日の記事参照)。
伝送方式は同社が推すDS-UWB。3.1G~5GHzの帯域を使っている。SiGe(シリコンゲルマニウム)を使ったRF回路と、CMOSを使ったベースバンド、MACの3チップ構成を取っており、消費電力は750ミリワットだという。
現在のチップのスペックは110Mbpsで、実効速度は70Mbps程度。次期モデルは受信回路の改良により660Mbpsのスペックを予定しており、ベースバンドとMACを1チップ化する計画だ。
ZigBeeは、“乾電池で数カ月動く”という省電力を特徴とした無線通信規格。無線LANなどと同じ2.4GHzのISMバンドを使い、最高250Kbpsの通信速度を持つ(2003年3月11日の記事参照)。
デモでアピールしていたのは、無線LANからの干渉をうまく避ける点。2.4GHz帯に無線LANの電波が飛び交うワイヤレスジャパン会場だったが、チャンネル検出機能を使い、比較的利用の少ない周波数帯を選んで利用する。
デモでは列車の模型を走らせ映像を無線LANで伝送。レールの切り替えなどをZigBeeで行って見せた。
もう1つのデモは、ZigBeeを使ったマルチホップ転送(写真)。親機と子機8台の構成で、親機から近い順にデータがバケツリレーで転送された。そもそもの伝送速度が遅い上に、転送時の遅延も起こるため目に見えてゆっくりだが、照明などのの家電に組み込まれればメッシュネットワークを簡単に構築することもできそうだ(2004年9月29日の記事参照)。
フリースケールが提供するチップは、RFとベースバンドの2チップ構成で、シングルパッケージとなっている。
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