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NTT再編で始まる「帝国の逆襲」 モバイル戦国時代(第2回)(2/2 ページ)

激変する携帯業界をまとめる「モバイル戦国時代」、第2回はNTTに焦点を当てる。守りに入るかとも思われるNTTだが、意外に攻撃的な仕掛けも見える。

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 前回の「モバイル戦国時代」では、固定通信分野で回線事業者とISP事業者が分割されているケースがあると述べた(8月18日の記事参照)。「フレッツ・ADSL」「Bフレッツ」の各サービスで、NTT東西はあくまで“インフラ屋”のポジションに止まっている。

 だが、これはNTTが望んでそうしているわけではない。NTTの業務分野は、いわゆる「NTT法」(日本電信電話株式会社法)によって厳しく制限されている。関連会社のNTTコミュニケーションズなどはISP業務を行えても、NTT東西が自らISP業務を行うことはできないのだ。この条件のもとで、各ISPは平等にフレッツ・ADSLサービスを提供している。

 ここで話を先の「mopera U」に戻す。mopera Uは基本的には、FOMAのモバイルデータ通信サービスユーザー向けのISPだ。

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 だがこのISPは、フレッツ・ADSLやBフレッツもサポートする。そもそも、mopera Uの「公衆無線LAN」コースに入会すれば、前述のようにNTTグループのインフラを結集した無線LANサービスを受けられる。

 この先、ドコモとNTT東西が距離を縮め、共同展開するFMCサービスの受け皿としてmopera Uを推奨するようなら、mopera U会員が爆発的に増加する可能性もある。こうなると、どのISPもこれに対抗することは難しいだろう。終わってみれば、NTTがグループのエースであるドコモを“抜け穴”に使って、ISP業務に進出したのと同じことだった――というシナリオも考えられる。

 もちろん、実際にこうなるかどうかは現状で不明だ。ドコモ自身は、mopera Uが「従来のISPと競合するとは考えていない」と話している(4月14日の記事参照)。旧moperaがそうであったように、mopera Uがデータ通信ユーザー向けの、いまひとつメジャーではないISPの座に止まる可能性もある。

 だが、その後の展開次第では「あれがNTT地域会社のISP進出の第一歩だった」と振り返られる可能性もある。NTTの実力は誰しもが認めるところだけに、その動向は常に多くの業界関係者に注目されている。

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