英国でもiモード──O2に聞くiモード展開の勝算(2/2 ページ)
英国でO2がiモードサービスを開始した。iモード導入の意図や従来サービスとの差別化、他キャリアに対する勝算についてO2に聞いた。
クレイ氏 iモードの仕組みそのものは、実証済みの素晴らしいビジネスモデルです。各国のiモード展開の例を参考に独自のリサーチを行った結果、成功の鍵は、(現地のオペレーターが)サービスをどのように実装・展開するのかにある、と判断しました。そこで提携から9カ月間、社内に専用チームを設け、iモードサービスをあらゆる面から検証し、英国市場に最適化させるようにしました。
iモードは統合されたサービスであるという点が最大の特徴です。専用のプラットフォーム、専用端末、専用コンテンツがうまく統合されており、しかもシンプルです。O2ではこのコアの部分にはほとんど変化を加えることなく、ローンチすることにしました。
もう1つ重要な点は、市場や顧客にこのサービスをどう伝えるかです。10月半ばから3つのフェーズに分けた広告を打ち、また年内はローンチキャンペーンとして、電子メールやブラウジングを無料にします。まずは試してもらい、自分に合うかを決めてもらうためです。プリペイドサービスを提供したのも、この理由からです。
英国では、オペレーター専用ショップと量販店の2つが顧客との窓口になりますが、O2ショップでは店員にサービスの特徴をよく理解して説明するようにトレーニングしました。携帯電話専門の量販店では、英国大手のCarphone WarehouseとPhone4Uと提携しました。英国では量販店が大きな位置を占めていることから、これは我々にとって重要でした。中でも、Carphoneはこれまで特定のWAPサービスをプッシュしたことがないのですが、iモードの仕組みに感動し、店頭でiモードをプロモーションすると話しています。
携帯電話のサービスは、手にとって使ってみなければ実感がわかないという特性があります。顧客との接点をできるだけ多く持つことは、我々にとって重要なことです。
WAPサービスとの差別化は
ITmedia 御社はすでにWAPサービスの「O2 Active」を展開していますが、同じデータサービスのiモードを開始することは、ユーザーの混乱を招くのではないでしょうか?
クレイ氏 O2 Activeは、18~25歳の若者をターゲットにした、着メロ、壁紙、ゲームのダウンロードなど、エンタテインメントの要素が強いサービスです。現在アクティブユーザーは450万人います。O2 Activeは、iモード以外のすべての端末で利用できます。
O2 Activeとiモードの市場は全く違うと見ています。iモードは35歳までをターゲットユーザーに、ライフスタイルに合わせたあらゆるコンテンツが揃っており、スーパーマーケット的な感覚です。データをよく使うユーザー、モバイル電子メールを利用したいユーザーには、iモードとなります。
もちろん混乱も考えられます。混乱を避けるために、ショップの担当者が顧客のニーズを聞いてからどちらがよいのかアドバイスするようにしています。
ITmedia 端末・料金プランについて教えてください。
クレイ氏 開始時に4機種を揃えます。NECの「N343i」「N411i」、Samsungの「S500i」「Z320i」で、エントリーからハイエンドの3G端末まで、価格・スペックの両面からバランスの取れたラインアップになりました。そしていずれもカメラ付き端末です。
価格は、ユーザーリサーチで最も人気があったN343iの場合、プリペイドが79.99ポンド(約1万6000円)、ポストペイドが無料。130万画素カメラを搭載した3G端末Z320iは、プリペイドが279ポンド(約5万5800円)、ポストペイドが79.99ポンド(約1万6000円)です(価格はすべて市場予想価格)。クリスマス商戦にはこの4機種で臨み、それ以降に端末ラインアップを増やします。
料金プランは既存ユーザーに分かりやすい体系にしました。ブラウジングは、1Mバイト3ポンド(約600円)からとなります。“ボルトオン”という容量追加サービスは、3ポンドで2Mバイト追加でき、5ポンドで4Mバイト追加できます。電子メールサービスの「i-mail」は、添付ファイルなしの場合、1通当たりプリペイドが0.1ポンド(約20円)、ポストペイドが0.12ポンド(22円)と、SMSと同じ価格にしました。添付ファイルがある場合は、プリペイド・ポストペイドともに0.25ポンド(約50円)と、MMSと同じ料金にしました。コンテンツは月額が無料~3ポンドで、コンテンツプロバイダにより異なります。
競争が激しい英国市場
英国市場は、世界最大手オペレーターの英Vodafoneをはじめ、欧州大手の独T-Mobile、仏Orange、そしてO2の4強が、ほぼ20~30%のシェアを分け合う市場だ。欧州の中では、最も早く3Gが開始された国であり、コンシューマ、ビジネスとも、先進ユーザーが多いことでも知られている。
O2は、英British Telecomのモバイル部門が2001年にスピンオフしたオペレーターで、英国、アイルランド、ドイツの3カ国で展開している。O2の加入者は約1500万人。iモードは、英国を皮切りに、アイルランド(10月7日)、ドイツ(2006年前半)でも提供する。ドイツでは、すでに独E-Plusがiモードを開始していることから、2社から提供されることになる。なお、英国では、3フェイズに分けたマーケティングキャンペーンをクリスマスまで展開する。
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