“ない機能はありません”を目指した――「W43H」開発陣インタビュー:開発者に聞く「W43H」(機能編)
「W43H」の特徴はワンセグ対応だけではない。auの新サービスにいち早く対応したハイエンド端末であるにもかかわらず、かなりコンパクトなサイズに収まっている点も見逃せない。こうした小型化はどういった経緯でなされたのだろうか。
日立製作所製のWIN端末「W43H」は、ワンセグ対応のハイエンド機だが、それを意識させないデザインに仕上がっている(10月2日の記事参照)。今回は、そのコンパクトなデザインに包まれている機能面についてフォーカスしてみよう。
W41HがあったからW43Hはコンパクトになった
日立製のau向け端末は、新しいスペックのトレンドや新しいサービスを盛り込み、いち早く登場するというポジションにある。今回もauの新サービスにはほぼすべて対応し、さらにワンセグ機能を搭載。そしてデザインにもこだわった。まさに、日立製作所のエネルギーをすべて注ぎ込んだ「Seed:種」といえる。
「今回はW41Hからデザインが進化しました。W43Hは薄く軽くなって、それだけでなく機能面も進化しているのが特徴です。W41Hはハイクオリティワンセグケータイであり、“ワンセグケータイ=日立”というブランドイメージを目指してやってきた。今回はその第2弾で、もちろん新サービスにフルに対応してします。“ない機能はありません”と、どんなお客様にも胸をはって言えるだけの機能を搭載しています」(寺本氏)
「機能にヌケがない状態で小型軽量化を図りました。秋モデルの中でも、ワンセグ対応でありながら大きい端末ではありません。ハイスペックだからといって使いにくい端末でもない。普通に使えるけど実はスゴいんだよ、という携帯になっていると思います」(白澤氏)
前モデルであるW41Hはあの大きさでしかできなかった。企画当初はもっと大きいものだったのを、何とかあのサイズに収めたのだという。W43Hでは、商品企画の段階から小さくしないと女性は手に取らない上、一般ユーザーに普及するような端末にはできないだろうと開発サイドは判断した。前モデルで培った技術を踏まえ、W41Hと比べて幅で3ミリ、厚みで4ミリ、重さで20グラムほど小型化している。
「W41Hがあるからこそ、今回のものにつながったと思います。W41Hで一度ワンセグケータイというものを作ってますから、次はもっとやるぞということでブラッシュアップできたんですね」(白澤氏)
充電台にも開発陣のこだわりが
外観でW41HとW43Hが大きく異なるのは、ワンセグ用アンテナが内蔵式となったことだ。さらに2段ロッド式となり、可倒範囲も3次元的に動くようになっている。
「今回はアンテナをケータイのアンテナのようにしたくないという思いがありました。通話のときに間違ってアンテナを引き出して使う他メーカーのワンセグケータイのユーザーを見たことがあって、携帯電話用は内蔵アンテナなのにな、と思ったことがあります(笑)。今回はテレビアンテナだということを意識させるため、普段は使わなくてもいいものだということを見せたかったんですね。先端部が本体と一体化するアイデアは、引き出し方が少し似ているので、PDAのスタイラスペンを参考にしました」(高田氏)
W41Hでは横置きの充電台がさらにテレビっぽさを強調していた。一方W43Hでは、その横置きを踏襲するだけでなく、ケータイの機能を活用しやすいように、回転して縦置きできる仕組みを加えている。横置きではワンセグを、縦置きではEZチャンネルプラスなどを楽しめるというわけだ。さらに縦置きではメールを打つことも可能な絶妙な角度になっている。
充電台の本体を受ける“皿”の部分には、音に対するこだわりもある。W43Hではステレオスピーカーを背面のカメラ両脇に配置しているため、そのまま皿で受けたのではスピーカーをふさいでしまう。そこで、本体を載せたときに隙間ができるような設計になっている。さらに、皿の中央にはリブが立っていて、これが左右のスピーカーから流れる音を分離する効果を生んでいるのだという。
今回発表されたauの秋モデルは、そのすべてが音源に「DBEX」をはじめとするヤマハの信号処理技術を搭載し、音のクオリティをアップしている。W43Hではこれをau Music Playerなどでの音楽再生だけでなく、ワンセグにも適用している。実はワンセグの連続視聴時間がW41Hの3時間45分から4時間15分に延びたのも、この新しいヤマハの信号処理系によって省電力化された結果なのだ。バッテリーはW41Hと共通ながら、音楽の連続再生時間も最長18時間と、W41Hから10時間30分も伸びている。
気配りスイッチの復活はいつ?
昔から日立製ケータイを使っていた人にとって、現在のモデルに「気配りスイッチ」(2003年12月15日の記事参照)がないことはとても不満といえる。3段階のスライドスイッチによって、マナーモードなどあらかじめ設定した状態に切り替えられる同機能は、ポケットの中でも確実に端末のモードを切り替えられることで評判だった。この気配りスイッチの搭載について聞いてみた。
「要望は承知しています。ソフトウェア的には“Wシーン機能”というのを搭載していますが、気配りスイッチほどの幅広い機能は持っていません。気配りスイッチを使っていた方が求めているのは、スイッチ1つで切り替えられるという、あの使い勝手なんですよね。現在の端末でWシーン機能などを使用したとしても、気配りスイッチの操作感までは残念ながら実現できていません。そのご要望は理解しているので検討は続けています」(白澤氏)
「ケータイの機能が増えてくると、ボタンが多くなってきたり、スロットのように中に差し込むものも増えてきたりとか、あのスイッチを入れるスペースがなかなか取りづらくなっているんです。やはりスライドで直感的にわかりやすいスイッチが大事だと思っているので、ぜひそれが全部出せるタイミングになったらやりたいと思っています」(高田氏)
関連記事
2層構造で魅せる、ハイエンド&スタイリッシュケータイの作り方――「W43H」開発陣インタビュー
デザインケータイに当たり前のようにワンセグを搭載。そんなコンセプトで開発されたのが日立製のWIN端末「W43H」だ。同社の初代ワンセグケータイ「W41H」から、どのような流れでこの新しい方向になったのだろうか。どれくらいコンパクトになったのか──「W43H」
ワンセグとFeliCa機能を搭載し、EZニュースフラッシュやEZチャンネルプラスにも対応しながら小型軽量化が図られた「W43H」。初代ワンセグ端末の「W41H」に比べてどれくらいコンパクトになったのか。写真で解説する「W43H」
前モデルの「W41H」と打って変わって、ワンセグ色を払拭した「W43H」。多くの新サービスに対応しつつ、ワンセグも当たり前の機能として搭載した。使い勝手とデザインに磨きをかけたワンセグ携帯──「W43H」
強力なワンセグ機能を備えた「W41H」が「W43H」として生まれ変わった。“テレビ”を強く打ち出したW41Hから、自然な形でテレビ機能を備えるトータルなデザインを備えた端末に進化している。ワンセグ対応「W43H」とスタンダードな「W43CA」、9月21日から発売
KDDIは9月21日から、ワンセグが視聴可能な日立製端末「W43H」と、各種新サービスに対応したスタンダードなカシオ製端末「W43CA」を発売する。華麗なボディをまとうワンセグ端末「W43H」、価格は2万円台半ば
特徴的なボディカラーとデザインをまとい、ワンセグチューナーを搭載する日立製作所製の2006年au秋冬モデル「W43H」が店頭に並んだ。新規価格は2万円台半ば。気配りスイッチは復活したか──「W42H」
アドレス帳やスケジュールを利用シーンに合わせて切り替えられるのが、日立製作所のau端末「W42H」。この端末に対して多かったのは、やはり気配りスイッチの有無を問う質問だった。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.