2007年にはWindows Mobile搭載機を10機種以上ラインアップしたい──マイクロソフト(2/2 ページ)
マイクロソフトが、丸の内オアゾで開催するWindows Mobile 1周年記念イベントに先立ち説明会を開催。2007年の目標として、Windows Mobile搭載機を10機種以上ラインアップしたいと話した。
Windows Mobile搭載機を発売した各社も積極推進の構え
2006年中にWindows Mobile搭載デバイスをリリースしたウィルコム、NTTドコモ、ソフトバンクモバイルからも、Windows Mobileを積極的にサポートしていく方針が明かされた。
ウィルコムの営業開発部長、太田靖士氏はこの1年を振り返り「W-ZERO3はおかげさまで非常に好評で、さまざまな賞も受賞できた」と話した。2005年12月の発売当初は周辺機器や専用ソフトウェアなどが全くない状態だったが、この1年で多くのパートナーができ、端末だけでなく周辺機器やソフトウェアにも広がりができてきたと太田氏。
例えばW-ZERO3[es]用のワンセグチューナーは、入荷した端から売れていくほど人気で、12月11日からJ-WAVEと提携して、インターネットラジオ“Brandnew J”をW-ZERO3で受信可能にするサービスを始めたところ、1日あたりのアクセスが数倍に伸びた。W-ZERO3[es]Premium versionに搭載した名刺OCR機能も好評で、5250円という決して安価ではないソフトながら、予想をはるかに上回るダウンロードがあるという。
「今後もWindows Mobileを盛り上げ、販売を伸ばしていきたい。他のキャリアさんとは、時には競争し、時には協力しながら頑張っていく」(太田氏)
NTTドコモ プロダクトビジネス部開発戦略担当部長の廣野正彦氏は、「何年か前にRedmondでこっそりWindows Mobile搭載機の試作機を見せてもらったことを思い出す」と以前から導入を検討していたエピソードを紹介しつつ、Windows Mobileを搭載したスマートフォンの発売が非常に貴重な経験だったと話した。
「PCと携帯の融合というより、PCと携帯の協調といった方がいいかもしれないが、とにかく“Windowsの衝撃”とでもいうべき驚きがあった。携帯の世界がWindowsとともに進化すると感じた。今後Windows Mobileがどのような夢を描き、どのように進化していくのか、非常に関心を持ち、期待している」(廣野氏)
佐分利氏によれば、廣野氏が見たという試作機は、1999年に作られた開発コードネーム「Stinger」という端末。ディスプレイもモノクロ液晶だったりと、今のWindows Mobile端末にはまだ遠く及ばないものだったという。
またソフトバンクモバイル マーケティング本部MD統括部プロダクトマーケティング部部長の田中義昭氏は、「ソフトバンクモバイルは、携帯電話事業を手がけようと決めた当初から、閉じたインターネット接続環境を開かれたインターネットに変えようと考えていた。Windows Mobileはこれを実現するプラットフォームであり、携帯の閉じた世界を突き破るものだ」と期待を寄せた。
同社のHTC製端末X01HTを購入したユーザーは、30代から40代のビジネスパーソンが多く、9割が男性だという。「ユーザーの特徴は一言ではとても言い表せない。強いて言うなら“一言で言えない”ことが特徴」と田中氏。使い方は人それぞれで、PCのようにアプリを自由にインストールして使いこなしたり、メールに添付されたOffice文書の閲覧に利用したり、あるいはWebブラウジングに利用したりと、自分なりの使い方をしているという。
「オープンなインターネット接続環境は、限られたビジネスユーザーだけでなく、個人にももっと広がっていく。今後ますますWindows Mobileが浸透し、利用環境が豊かになることを期待したい」(田中氏)
「Windows MobileはOffice文書の再現性と同期の強さが魅力」──栗原潔氏
最後にスペシャルインタビューとして、テックバイザージェイピー代表取締役の栗原潔氏とマイクロソフトのモバイル&エンベデッドデバイス本部部長、梅田成二氏の対談が行われた。栗原氏は、普段からX01HTとデスクトップPC、ノートPCの3台のデバイスを仕事に応じて使っているといい、1ユーザーの代表として、Windows Mobile搭載デバイスの魅力について話した。
「Windows Mobileを搭載したW-ZERO3が発売された当初は、購入者の中心がPCの平均保有台数2.8台というパワーユーザーだったが、最近は一般的なホワイトカラーにも広がってきている」と梅田氏が言うと、栗原氏も「自分自身もパワーユーザーというほどのユーザーではない。仕事に使うにはある程度枯れたものである必要があるので、なかなか新しいものは利用しにくい。ただ、最近はExchangeサーバのホスティングサービスなどもあるので、個人でもWindows Mobileを活用できる環境が整ってきた」と、すでにWindows Mobile搭載端末が限られたユーザーのものではないことを紹介した。
「Symbian搭載端末は、Office文書の再現性に不満がある。仕事柄、メールに添付されてくるWord文書などで原稿を確認することがよくあるが、ちょっと見られればいいだけなのに家に帰ってから対応しなくてはならないのは不便。その点、Windows Mobile搭載端末ならその場で確認できる。また、同期が強いのも魅力だ。Exchangeサーバを使えば、仕事に使っているWindows Mobile端末とデスクトップPC、ノートPCで、スケジュールやアドレス帳などが完全に同期できる。一般的な携帯電話では、PCと接続しても1対1でしか同期ができないので、よく見ると“これは古いデータだった”というときがあり、精神衛生上よろしくない。“Always in Sync”は魅力的だ」(栗原氏)
梅田氏に、現在使っているWindows Mobileの満足度について聞かれた栗原氏は「同期と文書の再現性を評価して、100点満点で80点」と答えた。また栗原氏は「仕事で米国に行くと、アナリスト同士でガジェット自慢が始まる。そんな時、ビジネス向けのスマートフォンが普及している米国では選択肢も多くうらやましかった。日本でも、今後端末の選択肢が増えることに期待したい。また、Office LiveでのExchangeのホスティングサービスなどもぜひ検討してほしい」と檄を飛ばした。
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