これぞ“UIレボリューション”――2画面ケータイ「D800iDS」の持つ可能性:「D800iDS」開発陣インタビュー(3/3 ページ)
メインディスプレイとタッチパネルディスプレイ――国内初の2画面ケータイとして登場する「D800iDS」。生まれた経緯や気になる“DS”という型番の由来、3つの操作モードを搭載するうえでの苦労などを開発スタッフに聞いた。
2画面ケータイ、これからの可能性
シンプルなデザインながら、ひときわ目を引くのが背面のパネルだ。「3つ液晶があるのはどうなのか」(冨森氏)と考えたことからサブディスプレイを搭載しなかったものの、端末を閉じたまま時刻や着信などのステータスを確認できないのでは使い勝手がよくない。そこでエンタテインメント性と実用性を両立した「ステータスイルミ」というアイデアが生まれた。
「店頭に並んでいると、デザインは違うのに同じような顔に見えてしまうなど、サブディスプレイの存在が端末デザインに与える影響は大きい。『N703iD』などのように、背面の縦に液晶を付けたり工夫しているものもあるが、D800iDSではいっそのことイルミネーションで見せようと。それが新しいのではないかと考えた」(吉田氏)
ステータスイルミは時計の表示のほか、音声着信、テレビ電話着信、メール着信(メッセージR/F含む)、チャットメール着信に対応。また、三菱電機のケータイコミュニティサイト「My D-style」では、ユーザーが任意に入力した文字を背面に表示させることができるアプリも配信予定だ。
「背面は144ピクセル(16×9ピクセル)あるので『憂鬱』という難しい字も表示できる。入力できるのは8文字まで。8文字に思いを込めて誰かにメッセージを伝えてもいい」(吉井氏)
ステータスイルミの開発は苦労も多かったと木口氏。「シルバー、ブラック、ホワイトと全部パネルの作りが異なる。ホワイトは透明パネルの裏側を白塗装、シルバーは表側に金属を蒸着している。黒は透明ではなく半透明の黒。3つとも同じように光らせなければならないので、さまざまな試行錯誤を行った結果、全部違う作りになった」
このほか、木口氏がこれだけは知っておいてほしいと熱弁をふるったのが“バッテリーの持ち”だ。「画面が2つあるため消費電量が多いと思われているが、最近の端末はダイヤルキー側にLEDを10個以上、多いものだと15~17個積んでいる。D800iDでは、タッチパネルディスプレイ内のバックライトを4個にとどめ、消費電流を細かく制御する専用のマイコンを積むなど工夫している。そのため消費電流は従来端末と変わらないレベルになっている」(木口氏)
バッテリーの持ちとともに気になるのが、落としたときに液晶が割れてしまうのではないかという点。木口氏は「マグネシウムフレームを使っており、それがうまくできているので通常利用の範囲では問題ない」と自信を見せた。
携帯の多機能化が進み、ユーザーのニーズも多様化する中、携帯メーカーは端末の形やデザインにさまざまな工夫を重ねている。
フォームファクター面ではソニー・エリクソン・モバイルがデュアルオープンスタイルを、シャープがサイクロイド型を提案し、デザイン面では着せかえで先駆けたパナソニック モバイルやソニー・エリクソン・モバイルが、それぞれカスタムジャケットやStyle-upパネルを打ち出している。こうした背景の中、D800iDSは“その先の操作性に手を入れた”端末といえるだろう。
NTTドコモ プロダクト部の永田隆二氏はこれを「カスジャケが“デザインの着せ替え”、サイクロイドが“ボディスタイルの着せ替え”とするならば、タッチパネルは“操作性の着せ替え”になる」と表現する。
冨森氏いわく「アナログ時代からキーの数はほとんど変わってない」のだという。そう考えると、ダイヤルキーの部分は一番手をつけられておらず、操作性の着せ替えという表現はしっくりくる。2画面ケータイがシリーズ化するかは定かではないが、大きな可能性を秘めたこの取り組みが、今後も継続していくことを願いたい。
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