“魔法のフック”の半分は「安心」でできている──「P905i」、Wオープンスタイルの秘密:開発陣に聞く「P905i」(前編)(3/3 ページ)
“ほぼ全部入り”の高いスペックが特徴のパナソニック モバイル製FOMA端末「VIERAケータイ P905i」。発表されるや、携帯に高い機能を求める層や“ギミック大好き”な層の心を一気に“グッ”と惹きつけた本端末はどのように開発されたのか。同社のP905i開発チームにその裏側を聞いた。
ヒンジ付近は、特に“P”が凝縮
携帯に機能を詰め込み、グレードアップし、新たな機能も追加しながら使い勝手も向上させる。何もしなければ当然、サイズは大きくなってしまう。それをいかに工夫してコンパクトにまとめるか、小さく薄く見せるか。これは最近の携帯に共通する大きなテーマの1つだ。
友部氏ら設計チームの工夫で、Wオープンスタイルができあがった。次は「“出っ張り”をどうするか」。
“P”端末はP904iからカメラが裏面に移ったが、カメラモジュールとスピーカー部分がその分、緩やかながら2、3ミリ出っ張っていた。縦に持つと人差し指が掛かって持ちやすいとか、段差のためカメラのレンズが指で隠れにくいといった苦しまぎれのメリットはあったが、P905iはその妥協は捨てた。横に開いて、机上に置いてワンセグなどを視聴するシーンも想定するWオープンスタイルを推進するならば、裏面に段差があると傾いてしまい、都合が悪い。
ちなみに前述の通り、カメラはP904iのAF付き320万画素νMaicoviconからAF付き510万画素CMOSと、かなりの高画素化を果たした。高画素化された分、モジュールが厚くなるのは避けられない(それでも新設計のモジュールにより、約0.4ミリほどの増加に抑えたという)。
薄く、設置位置もずらせるWオープンスタイル用ヒンジの効果はここにも出た。カメラモジュールを圧迫せず、かつボディの設計段階からそれを見越してチーム間で連携していたことも功を奏し、びしっと裏面もフラットに仕上げた。
これには、3インチワイドの大型ディスプレイを採用したことも少し関係している。本体の高さはP904i(2.8インチワイドQVGA)の102ミリから、106ミリとやや“長く”なるとともにダイヤルキーの位置も少し下げられ、ダイヤルキー上部にゆとりが生まれた。そこにカメラモジュールがうまく収まったというわけだ。ちなみにダイヤルキーの位置を下げた分、レンズが指で隠れにくくなるという副次的な効果も出た。
なおP905iは、FOMA(3G)通信以外にGSM、ワンセグ、GPS、Bluetooth(V2.0+EDR)、FeliCaなど、さまざまなアンテナを内蔵する。3GとGSM通信用アンテナはヒンジの根本、ワンセグ用ロッドアンテナは外部右上、GPSアンテナは縦でも横(横向きで地図アプリなどを利用可能)でも有効なディスプレイのインカメラ左側、Bluetoothアンテナは“魔法のフック”の下、そしてFeliCa用アンテナはカメラの下からバッテリーを囲むように裏面に配置してあるという。
「P705i」で採用する、ワンセグアンテナの内蔵は、ロッドアンテナより回路の占める容積がやや大きくなるため採用は見送られた。ちなみにP904iは、P905iのホイップアンテナがある場所にあんしんキー用アンテナがあった。こちらも同様の理由で省かれた。これらは細かい部分だが、少し残念なところだ。
ヒンジ付近は、Wオープンスタイルのヒンジ、カメラ、ワンプッシュオープン、スピーカー、そしてFOMAのアンテナ・通信回路などがある。
「構造や配置方法を含めて、ここに“P”が凝縮しているんです」(友部氏)
「以前は他社さんの携帯がこんな仕様かも、という情報が入るたびに“あ、そう来るか……”と不安になったものですが、今回はそれほど不安にはなりませんでしたね」(福田氏)
その自信は、あの“VIERA”ブランドを冠する端末になるまで昇華していった。
・→後編へ続く
次回は、肝心の“VIERA”ブランドについて。どんな意気込みで“VIERA”ブランドを冠したのか、そしてワンセグを中心とする映像・音声技術やソフトウェア面の裏側に迫る予定です。
歴代の“P”FOMAを並べて、ノスタルジックにひたってみる
右から、P900i(2004年2月発売)、P901i(2005年2月発売)、P902iS(2006年6月発売)、P903i(2006年11月発売)、P903iTV(2007年2月発売)、P904i(2007年6月発売)、そしてP905i。(やや歯抜けですみません)。デザイントレンドの変化が見てとれるとともに、最近は機能の進化も著しい。900iシリーズは「全機種100万画素以上のカメラと外部メモリカードスロット、2.2~2.4インチ/QVGAの高解像度ディスプレイ搭載!」と謳っていた。
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