「世界一美しい映像と音のコラボレーションをしませんか」──「SH905i」開発秘話:開発者に聞く「SH905i」(2/2 ページ)
携帯電話としては世界で初めてドルビーモバイルを搭載したシャープのFOMA端末「SH905i」。フルワイドVGA対応やワンセグ搭載など、大幅に基本機能が向上した905iシリーズの中でも、その映像と音へのこだわりは他社に負けない自負があるという。
世界一の映像に世界一の音を融合するドルビーモバイル
こだわりの液晶ディスプレイで実現した映像の美しさ、写真の美しさを補完し、SH905iを使う“楽しさ”をユーザーに提供すべく用意されたのがドルビーモバイルだ。携帯電話でドルビーモバイルを搭載するのは、SH905iが世界初。ワンセグやミュージックプレーヤーで、ドルビーモバイルをオンにすると、音に広がりと奥行きがでて、臨場感あふれる豊かなサウンドが楽しめる。
「ドルビーラボラトリーズさんとは、シャープが1ビットデジタルオーディオをやっている関係で以前からお付き合いがありました。今回は、現時点で世界で一番きれいな液晶を実現したSH905iと、世界で一番いい音とのコラボレーションをしませんか、とお願いしました」(河内氏)
ドルビーモバイルは、携帯端末向けの音響技術で、イヤフォンで自然なサウンドを再生する「サウンド スペース for ヘッドホン」、ワイドなステレオ感が楽しめる「サウンド スペース エクスパンダー」、きれいで自然な重低音を再生する「ナチュラル ベース」、耳に優しい音量に自動調整してくれる「サウンド・レベル コントローラー」、モノラル音声をステレオに変換する「モノラル→ステレオ クリエイター」という5つのサウンド効果を提供する。イヤフォンで聞いたときにもっとも効果的なセッティングにチューニングしてあるとのことだが、スピーカーに出力したときにもその効果は適用可能だ。
利用できるのはミュージック(WMA・着うたフル)とSDオーディオ、Music & Videoチャネルの再生時と、ワンセグ視聴時。音楽再生中はイコライザと組み合わせてロック、ポップス、クラシック、ジャズといったプリセット設定のほか、ドルビーモバイルの5つのサウンド効果のオン/オフを個別に設定できるオリジナル設定を用意。ワンセグ視聴中は、ジャンル連動に指定しておけば番組のジャンルに合わせた設定に自動的に切り替わるほか、ニュース、スポーツ、ドラマ、バラエティ、ミュージック、映画の各設定が選べる。ちなみにワンセグのジャンル連動設定は、録画したデータでも有効になる。
「ドルビーモバイルの効果は、音楽よりもワンセグの方が違いが分かりやすいと思います。スポーツや映画はまるでその場で見ているかのような臨場感ですし、ニュースでもアナウンサーの声が前に出てきて聞き取りやすくなったりします。ジャンルは1つ1つドルビーさんにチューニングしていただきました」(木戸氏)
多くのユーザーに心地よく使ってもらうために
NewモバイルASV液晶とドルビーモバイルという、SH905iのもっとも特徴的な部分のほかにも、使い勝手を向上させる非常に細かな変更が随所に加えられている。中でもボディの横幅は、開発当初から48ミリを実現すべく、大きな目標の1つに据えていたのだという。結果的に幅48ミリ、厚さ16.9ミリを実現したボディは、ワンセグを搭載した905iシリーズの中では最薄で、「シャープの端末にしては珍しく(笑)」(木戸氏)手の小さな女性にも持ちやすい、細身で薄い端末に仕上がった。
静電容量式のタッチパッドを利用したポインティングデバイス「TOUCH CRUISER」も、より使いやすくするために、分解能の高いデバイスを採用した。カーソル(ポインタ)の移動速度やスクロール速度、ダブルタップの速度などが微調整できるようになっており、ディスプレイの解像度が一気に高くなったSH905iでは、より便利に“使える”範囲が広がっている。さらに手書きの文字で認証を行う「手書き文字認識」機能も備え、ワンセグ視聴中のボリュームの調整やチャンネル切り替えにも対応する。
TOUCH CRUISERが活躍するフルブラウザも、高解像度化に合わせて機能追加が行われた。1つは拡大縮小機能で、画面表示を60%/75%/100%/150%/200%/250%の6段階に切り替える機能を用意した。
「解像度がフルワイドVGAになったので、幅800ピクセル程度を想定したWebページなら、画面表示を60%に縮小すると横はすべて収まります。縦も結構長いので、ほとんど縦スクロールだけで閲覧することも可能です。サイズはかなり小さいですが、十分見えると思いますよ。HSDPAにも対応して、下りの通信速度が高速になったので、これからフルブラウザはさらに使われるようになると考えています」(梅氏)
フルブラウザはWindows Media Videoのストリーミング再生にも対応したほか、フルブラウザとiモードブラウザともに、履歴を最大50件保持しておき、自由に戻れる機能や、IDやパスワードといったログイン情報を記録しておき、暗証番号を入れるだけで自動的にIDとパスワードを入力できる便利な機能「ログインマネージャ」も用意。日本語入力システムはケータイShoin6にバージョンアップし、URLやメールアドレスなどの入力が従来より簡単にできるようにしている。
このほか、名刺を撮影するだけで簡単に電話帳に登録できる「名刺リーダー」は、GSMでの国際ローミングに対応したのに合わせて英字の名刺読み取りにも対応した。AQUOSケータイ「SH903iTV」や「SH704i」に搭載されていた、ワンセグ視聴中にさまざまな機能を呼び出せる「マルチウィンドウ」も、メールの読み書きや、iモードブラウザ、フルブラウザでのブラウジングなどが可能な仕様に強化された。
こうした細かな改良は、すべてユーザーがより使いやすいようにと配慮して行われたものだ。最後に気になるパフォーマンスについても、心強い話が聞けた。
「シャープ端末は、掲示板などで他社の端末より“もっさりしている”とよく言われますが、今回はだいぶ高速化されていると思います。パフォーマンスの問題は、すぐに解決するのは難しいところもあり、まだまだ他社さんには負けている部分もありますが、これからもパフォーマンス向上は地道にやっていきます」(木戸氏)
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