未成年の携帯契約、「フィルタをデフォルトにすることも検討」――KDDIがアクセス制限の取り組み強化
携帯を通じて未成年の子供が犯罪に巻き込まれるケースが後を絶たないことから、総務省が「有害サイトアクセス制限」に対する取り組み強化を各キャリアに要請している。KDDIの小野寺社長は未成年の契約について「フィルタサービスをデフォルトにすることを検討している」と述べた。
未成年の子供が携帯経由で事件に巻き込まれるケースが後を絶たないことから、総務省が各キャリアに「有害サイトアクセス制限」への取り組み強化を要請している。KDDIの小野寺正社長は社長会見で、フィルタサービスに関する課題と今後の取り組みについて説明した。
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「フィルタをデフォルトに」「マナー教室を幅広く展開」など、取り組みを強化
KDDIは、auケータイ向けのフィルタサービスとして「EZ安心アクセスサービス」を提供しており、未成年名義の契約者には店頭でフィルタサービスを薦めるなどの施策を行っている。これはホワイトリスト方式を利用したもので、キャリアのサポート系のサイトのみアクセスを許可するリストと、公式サイトのみアクセスを許可するリストの2つから選べる。小野寺氏はこれに加え、未成年の契約については「フィルタをデフォルトにすることも検討している」ことを明らかにした。
ただ、こうした施策を行う際には“契約者と利用者が同一でない場合にどうするか”という問題がある。未成年ユーザーが本人の名義で契約する場合は、契約時にフィルタサービスを案内できるが、例えば親の名義で契約したものを子供が利用するような場合は、それがやりにくくなるからだ。「親が来て子供の携帯電話を機種変更する場合、誰が使っているかを聞けるのか」(小野寺氏)というわけだ。「こうなったら、車を買ったときに所有者と使用者を登録するように、携帯電話でも所有者と使用者を登録してもらわないと」(同)。こうした仕組みを導入すると、申込書のフォーマットやシステムの変更が必要になるが、「そうでもしないと、(フィルタは)徹底しない」というのが小野寺氏の見方だ。
KDDIではまた、現在、小中学生の子供やその親、教師向けに実施している「携帯マナー教室」を高校生に拡大して実施するとしている。「1月から範囲を広げ、来年度からはかなりの規模で実施する準備を進めている。親の意識が変わらないと、理解してもらえない難しい問題だというのが本音」(小野寺氏)
さらにフィルタについては、現在採用しているホワイトリストに加え、来年にはブラックリストも導入する予定で準備を進めているという。「まずはホワイトリストを使ってもらい、親がブラックリストでいいと判断したら移行する形を考えている」(同)
リストを誰が作成するか、抜け道はないか――フィルタに課題も
このフィルタの強化についても、いくつかの課題がある。「1つは、ブラックリストはサイトが立ち上がってから内容を見て善し悪しを判断するが、ブラックだと判定するまでは閲覧できてしまう。もう1つは、必ずグレーゾーンがあること。それを誰が管理するのか」(小野寺氏)
キャリアがホワイトリストやブラックリストの作成に関わるのは、公平性を問われるなどの理由から難しい面がある。「われわれがやらないものを誰がやるのか」という課題が残る一方、「それをやらないと、ますますおかしなことになる」というわけだ。
そして本当に頭が痛いのは「抜け道がないか」だと小野寺氏は指摘。ホワイトリストに載っているサイトでも、“サイト内のリンク先まで問題がないか”を確認する必要があるなど、問題は山積みだ。「青少年の保護だけを考えるなら、一番厳しいホワイトリストをデフォルトにせざるを得ない」(同)
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