KDDI小野寺社長、「冬商戦は厳しいと思っている」
KDDIの小野寺社長は、携帯電話の冬商戦におけるau携帯の販売状況について「厳しいと思っている」とコメント。KCP+端末の投入の遅れや、新たな販売方式として導入した「au買い方セレクト」の“ユーザーへの説明不足”などを理由に挙げた。
12月19日の定例記者会見でKDDIの小野寺正社長が、携帯電話の冬商戦におけるau携帯の販売状況に言及し、「厳しいと思っている」とコメントした。
- →au携帯のプラットフォーム、「KCP+とオープンOSを並列で走らせることになる」――KDDIの小野寺社長
- →未成年の携帯契約、「フィルタをデフォルトにすることも検討」――KDDIがアクセス制限の取り組み強化
- →iPhoneの販売には消極的――KDDI小野寺社長
最大の原因は「12月に出揃うと思っていた携帯電話が遅れていること」だと小野寺氏は説明。10月16日に発表されたものの、まだ発売日が決まっていない「W56T」「W54S」「W54SA」の3機種は、いずれも新たに開発したプラットフォーム「KCP+」を採用しており、「(KCP+の)ソフトの開発上のトラブル」(小野寺氏)が、発売の遅れを招いたという。なお、これらのKCP+モデルの発売時期は、「最終的には決まっていないが、1月下旬には発売できる見込み」(小野寺氏)としている。
小野寺氏はまた、11月21日に開始した新しい販売方式「au買い方セレクト」の説明が不十分だったことも、苦戦を強いられている原因として挙げた。「端末価格が上がるとささやかれ、11月末に駆け込み需要が発生したが、実際には端末の価格は上がっていない。au買い方セレクトには問題はなく、営業努力不足が顧客に誤解を与えている面もある」(小野寺氏)。
このau買い方セレクトだが、端末代金が安くなる「フルサポートコース」と、端末代金高くなるが毎月の料金が安くなる「シンプルコース」の2つを用意している。同氏が販売店を回った際に販売員に訪ねたところ、「フルサポートコースが支持されている」とのことだ。また、ソフトバンクモバイルとドコモが導入している割賦販売については、「割賦販売で買っていないのは3割程度だと聞いている。端末価格がゼロというメリットがあるが、毎月の料金に積み上がってきたときにはどんな反応があるかを見極める必要がある。検討をしている」との発言にとどまった。
「新しい端末が出てこないと解消できない」(小野寺氏)という厳しい状況の中で、小野寺氏が改善策として挙げるのは“他社にない新しい面”の訴求だ。新モデルに搭載された有機ELのきれいさを訴求するとともに、料金面の説明に力を入れるなど、「お店に来ていただけるような工夫を凝らして」顧客にアピールする考えだ。
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