オープンなインターネットを手のひらに――ノキアに聞く「X02NK」(後編)
パケット定額プラン「PCサイトダイレクト」への対応で、料金を気にすることなく「Nokia Web Browser」を使えるようになった「X02NK」。インタビューの後編では、GPSサービスやビデオ、インターネット機能について、その特徴と利用シーンを紹介しよう。
ソフトバンクモバイルのXシリーズ端末としてリリースされることから、「PCサイトダイレクト」が利用可能になったノキア・ジャパンの「X02NK」。これにより、出来がいいと評判の「Nokia Web Browser」も、パケット料金を気にすることなく利用できるようになる。
しかし、多彩なマルチメディア機能を詰め込んだX02NKの面白さは、インターネット利用にとどまらない。インタビューの後編では、ノキア・ジャパン プロダクトマーケティング部でシニアマネージャーを務める小林潔氏に聞いたインターネット、GPSサービス、ビデオサービスの特徴や利用シーンについて紹介する。
VoIPソフトでコストを気にせず通話――インターネット・エクスペリエンス
X02NKのインターネット機能として注目なのは、PCサイトブラウザとして搭載される「Nokia Web Browser」とVoIPアプリの「Gizmo」だ。
Nokia Web BrowserはAppleのSafariと同じブラウザコアを持ち、JavaScriptやRSSフィードに対応した携帯電話向けのPCサイトブラウザ。X02NKでの利用にあたっては、パケット定額プランの「PCサイトダイレクト」に加入すれば、月額最大9800円で料金を気にすることなくサイトを閲覧できる。また、XシリーズにはWebページの読み込み容量の制限がないため、この制限による容量超過でWebページを表示できないことはないようだ。
VoIPはX02NK自体にその機能が備わっているが、サービスプロバイダの設定やSIPアドレスなどはプリセットされない。このため、「ダウンロードフォルダ」内にあるGizmoへのリンクを通じてユーザー自身がアプリのダウンロードやサービスへの登録、設定を行うことになる。
GizmoはIMやプレゼンス表示、インターネット電話の機能を備えたVoIPアプリで、無線LAN環境下とキャリア網の通信環境下のいずれでも通話ができるのが特徴だと小林氏。「無線LANが使えない場所では、携帯電話網のデータ通信経由で通話できます。ただ、この場合、国際ローミング環境下で使うとパケット代が高くついてしまいますが……」(小林氏)。例えば海外出張先のホテルに無線LAN環境があった場合などには、日本に国際電話をかけることなく、IMでチャットをしながらVoIPで話すことができて便利だという。
Gizmoを選んだ理由について小林氏は、同社がグローバルで展開していることと、日本語サイトがあるためユーザー登録からダウンロードまでを日本語環境で行えることを挙げる。また、VoIPの標準ともいえるプロトコルを採用していることから、SIPサーバとしてさまざまなサービスとの相互接続性が確保されていることも重要だとした。
ノキア端末での無線LAN利用については今後、公衆無線LANアクセスポイントのフレームワーク作りに注力する考えだ。「Wi-Fiの利用時にはIDやパスワードを入れる必要があるが、最近ではPC向けの接続ツールが配布され、簡単に接続できるようになっています。こうした接続ツールをフレームワークとして持てば、ユーザーは端末を持って公衆無線LANのサービスに行くと、Wi-Fi検索で自動的にサービスを見つけられ、Webにアクセスしたり、ポッドキャストをダウンロードしたりできるようになります」(小林氏)
海外でも道に迷わない――マップ・エクスペリエンス
X02NKは、海外でもGPSを使ったサービスを利用できるのが大きな特徴だ。本体にはノキア純正の「Nokia Maps」がプリセットされ、NavitimeのX02NK向けナビアプリもダウンロードフォルダ内のリンクを通じてインストールできる。
この2つのアプリはカバーエリアや位置づけが異なるため、使い分けられるという。「Navitimeは日本で利用できるほか、海外の観光地をカバーしています。インタフェースも日本語なので、ガイドブックに書いてある場所を調べるのに便利だと思います。一方のNokia Mapsは、海外の幅広いエリアをカバーしているので、出張などで観光地ではないような場所や田舎のほうまで足を伸ばす人にとって便利なツールです」(小林氏)
Nokia Mapsは周辺検索やルート検索、目的地までのナビゲーションなどの機能を備えるが、ナビタイムのような乗り換えの案内には対応しておらず、歩きか車のルートを利用することになる。ナビゲーションの利用時には音声による案内も利用可能だ。
Nokia MapsにはMap Loaderというアプリが用意され、あらかじめ必要なエリアの地図情報をメモリカードに保存できるようになっている。この機能を利用すれば、地図をネットワーク経由でダウンロードすることなく、メモリカードから呼び出して使うことができる。
ダウンロードもエンコードも手軽に――ビデオ・エクスペリエンス
X02NKは、ビデオ閲覧機能が充実しているのも見逃せない。Web上の動画コンテンツの視聴も、PCで録画した番組の取り込みも手軽に行えるよう工夫したという。
端末側の機能として搭載するのは「ビデオセンター」。インターネットのビデオサイトからRSSのフィード情報を取り込み、更新されたビデオクリップをダウンロードして視聴できるサービスだ。
初期状態では4コンテンツ程度をプリセットする予定で、新規サービスを追加することも可能。コンテンツの1つであるYouTubeの場合は、同サービスが提供する標準のビデオコンテンツをRSSフィードとしてダウンロードする。「更新のたびに新たなコンテンツをダウンロードできる。X02NKはテレビ出力にも対応するので、ダウンロードしたコンテンツをテレビの大画面で見ることができます」(小林氏)
PCで録画した番組やビデオカメラで撮影した動画など、PC内にある動画コンテンツは、PCと端末の連携用ソフトとして付属する「Nokia PC Suite」のビデオ変換・転送機能を使えば、ドラッグ&ドロップするだけでX02NKに最適な解像度やサイズに自動で変換し端末に転送できる。変換時の品質は「最高品質」「中品質」「小さいファイルサイズ」から選択でき、外部メモリの容量などに応じて変更可能だ。
X02NKは、おサイフケータイやYahoo!ケータイ、Yahoo!mocoa、S!ともだち状況/S!一斉トーク、S!キャスト、S!速報ニュースなどといった、日本固有のサービスには対応していないが、PCインターネットの世界を携帯電話で楽しみたいというユーザーのニーズに応える多彩な機能を装備している。パケット定額プランに対応したことに加え、インターネットのトレンドサービスを手軽に楽しめる端末であることから、新たなユーザー層の獲得を期待できる端末といえるだろう。
関連キーワード
X02NK | Nokia(ノキア) | パケット定額 | GPS | VoIP | 無線LAN | ソフトバンクモバイル | mixi(ミクシィ) | RSS | Safari | Wi-Fi | YouTube | 国際ローミング | NAVITIME(ナビタイム) | Nseries | ポッドキャスト | Symbian(シンビアン)
関連記事
多彩なマルチメディア機能をケータイで――ノキアに聞く「X02NK」(前編)
「N95」をベースに開発された「X02NK」は、ソフトバンクモバイルのXシリーズとして登場することからパケット定額プランに対応。多彩なマルチメディア機能を料金を気にすることなく楽しめる。この端末が持つ機能の特徴や利用シーンについて、ノキアに聞いた。カールツァイスレンズ+5メガCMOS搭載の“世界仕様”GPS端末――「X02NK」
ノキアの「X02NK」は500万画素カメラを搭載するデュアルスライドモデル。下にスライドさせると音楽操作用キー、上にスライドさせるとダイヤルキーが現れる。GPSは国内外で利用可能。ワンクリックで撮った写真をSNSやブログにアップする機能も備える。写真で解説する「X02NK」
ソフトバンクのスマートフォン「X02NK」は、Nokiaの海外モデル「N95」をベースにした端末。デュアルスライド機構により、縦画面では通常の音声端末として、横画面ではマルチメディアプレーヤーとして利用できる。世界100カ国でGPSナビが使えるHSDPA端末――Nokia「N95」
Nokiaから初のHSDPA端末が登場。Nseriesの最新作「N95」は、内蔵GPSによるナビ機能、500万画素の高機能カメラ、音楽再生機能などの各種機能が満載だ。「Nokia Web Browser」をパケット定額で使えるか──「X02NK」
Safariベースのフルブラウザ「Nokia Web Browser」が搭載される「X02NK」。前モデルの「705NK」ではパケット定額が適用されなかったが、X02NKはどうなのか。VIERAにREGZA、防水、横開きフルキー端末、株ケータイやティファニーコラボも――ソフトバンク、春モデル15機種発表
ソフトバンクモバイルが、15機種の2008年春モデルを発表。VIERAやREGZAといったブランドケータイやソフトバンク初の防水モデル、株専用ケータイ、横開きスタイルにQWERTYキーのみ搭載の“インターネットマシン”など、多彩なモデルをラインアップする。ティファニーとのコラボで限定モデルも投入する。ソフトバンク、「PCサイトダイレクト」値下げ――ドコモ対抗のパケット定額フル/パケット定額Bizの新規受付は終了へ
ソフトバンクモバイルは4月以降、「PCサイトダイレクト」利用時のパケットし放題上限額を9800円に値下げする。同時に、ドコモ対抗のパケット定額フル/パケット定額Bizの受付を終了する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.