“家族・長期”がポイント――加藤社長が「ドコモ光パック」の狙いを説明:固定も移動もワンストップで(2/2 ページ)
ドコモが3月から開始する「ドコモ光」。モバイル通信とのセット割である「ドコモ光パック」にも注目が集まる。同社の加藤社長がドコモ光パック導入の狙いを説明した。
なぜ単独型と一体型に分かれている?
ドコモ光単体の料金プランは、回線のみを提供する「単独型」と、対応ISP料金を含んだ「一体型」の2つ。一体型はさらにタイプAとタイプBの2つの価格を設定した。単独型と一体型タイプA、さらにタイプAとタイプBにはそれぞれ200円づつの差があるが、この差額は、ドコモ光と提携するISP各種の料金設定によるもの。つまり、光回線とは別に、タイプAのISPなら月200円、タイプBのISPなら月400円のインターネット接続料金が設定されている。ちなみにタイプAで利用できるISPには、ドコモ自身が始めるISPサービス「ドコモnet」も含まれている。
そもそも単独型と一体型に分かれている理由について加藤社長は、「ユーザーの選択肢を増やすため」と説明する。現在フレッツ光を利用しているユーザーがメールアドレスの変更なしでドコモ光に移行(転用)できるよう、単独型も用意したと話す。この転用の場合は、工事なし・フレッツ光の解約金なしでドコモ光に乗り換えられる。一方、フレッツ光を利用していない場合は「新規」での契約になる。
さらにドコモと提携したISPであれば、ISP料金をまとめる一体型プランが利用できる。複雑なドコモ光のプランだが、すでにフレッツ光を利用している場合は回線とISPの組み合わせに応じて選択肢があるため、「できるだけ簡単にお申し込みでき、便利にお使いいただける」(加藤社長)と説明した。
なお、タイプBのISPが6月から提供するのはシステムの都合によるもの。また一体型の提携ISPは今後も増やしていく方針だ。
加藤社長はセット割であるドコモ光パックの効果について、「中長期的に考えたい。基本はドコモ光パックなら家族で長く使うとさらにお得になる点にある」と強調。固定回線とモバイル回線をセットすることでコストを下げ、家族単位の長期契約を狙う姿勢を見せた。
また「(携帯電話市場は)不健全なキャッシュバックは行わないという競争環境にパラダイムシフトしている。もちろんドコモ光の加入獲得のために、キャッシュバック合戦をするつもりはない。現在の顧客基盤をリテンションした上で、移動と固定を組み合わせた新たな価値を提供していきたい」と、競争領域がモバイル単体から拡大していることも示唆した。
固定と移動をシームレスに 提供時期が3月に遅れた理由は?
ドコモが本格的に固定通信事業に参入することで、従来のモバイル事業との関係はどうなるのか。加藤社長は、「自宅ならスマートフォンのデータ通信が定額の光回線で利用できる。こうした使い方はぜひ進めて欲しいし、進んでいくだろう。また逆の使い方、光回線で利用しているサービスを、外でも使いたいというシームレス利用へのニーズも生まれるだろう」(加藤社長)と述べ、いわゆるオフロード利用だけでなく、将来的にドコモのモバイルデータ通信のニーズを高める面もあると予測した。
当初ドコモ光は2月に開始すると予告されていたが、実際は3月のスタートとなった。この遅れについて加藤社長は、「(光コラボの開始は)影響が非常に大きく、公正性のあり方が問われている。その結果、現在ガイドラインの制定が進められている。こうした状況を総合的に勘案して、3月の開始となった。ガイドラインの順守は我々の基本姿勢だ」と説明。光コラボにはNTTグループ以外の通信事業者から反対意見も出たため、その影響があったことを認めた。
光コラボは、国内光回線で7割以上のシェアを持つNTTが、回線を卸し売りするサービス。接続料金が事業者ごとの契約で決まるため、グループによる市場支配が強まる可能性があるとされる。通信行政をつかさどる総務省は、光コラボのあり方について禁止行為などを例示したガイドライン案を公表し、現在はパブリックコメントを募っている。
NTT規制に反するという声も上がる光コラボだが、NTTグループでは光回線の利活用を進めることができると説明している。加藤社長は、「すでに光回線を利用している人にとっては、コストを下げることができる。また光回線を使っていなくても、『モバイルとのセット割があるのならば』と、導入のきっかけになるかもしれない。我々だけでなく、ISP各社、MVNO各社のビジネスも全体的に活性化していくだろう」と、業界全体にメリットがあると訴えた。
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