普段の買い物でも利用可能に、キャリアのポイントが相次いでリニューアルした理由:佐野正弘のスマホビジネス文化論(1/2 ページ)
スマホのポイントプログラムが大きく変化している。キャリア各社が相次いでポイントプログラムをリニューアルしている背景には何があるのだろうか。
キャリアのポイントプログラムがここ1年近くで大きく変化している。「au WALLET」でポイントと決済を一体化したKDDI(au)、「Tポイント」を採用して同陣営との連携強化を図るソフトバンクに続いて、12月1日にはNTTドコモが「ドコモポイント」を「dポイント」にリニューアルする。大手キャリアが相次いでポイントプログラムをリニューアルしている背景には何があるのだろうか。
NTTドコモも「dポイント」で大幅リニューアル
11月11日、ドコモは12月1日の提供を控えた新しいポイントプログラム「dポイント」の記者発表会を開催した。dポイントは、従来同社が提供してきた「ドコモポイント」に代わる新しいポイントプログラムだ。
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最大の特徴は「dポイントカード」を提示することで、NTTドコモのサービス内だけでなく、ローソンやマクドナルドなどdポイント加盟店でも買い物をしてポイントをためたり、ポイントを使って商品を購入できるようになったこと。
また、dポイントは「dアカウント」(旧docomo ID)を取得すれば利用できることから、ドコモの契約者以外も利用可能となっている。さらに、携帯電話料金と合算でコンテンツやECの料金を支払う「dケータイ払い」の進化版として、dポイントと連携し、クレジットカード払いで他キャリアユーザーも利用できる「dケータイ払いプラス」も用意するなど、オープン化を積極的に進めているのも大きな変化といえるだろう。
実はNTTドコモだけでなく、主要3キャリアのポイントプログラムは大きく変化している。実際、2014年6月にはKDDI(au)が、マスターカードの基盤を用いたプリペイド式の電子マネーと、ポイントプログラムをセットにした「au WALLET」の提供を開始。au WALLET専用のプリペイドカードを用いることで、買い物をした時にポイントがたまったり、たまったポイントをプリペイドカードにチャージして買い物できたりするようになった。
またソフトバンクも、2014年年7月にポイントプログラムをカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)などが主導する共通ポイントプログラム「Tポイント」へ移行。現在はソフトバンクのサービス内だけでなく、Tポイント加盟店でもポイントが利用できるようになっており、最近ではTポイントに加盟している他の企業との連携も深めている。
しかしなぜ、ここ最近になってキャリア各社が相次いでポイントプログラムを大きく変えてきているのだろうか。それは、ポイントプログラムの変化を見れば理解しやすいだろう。
端末の割賦販売でポイント利用の機会が少なく
リニューアルした各キャリアのポイントサービスに共通するのが、ポイントを利用できる場所が日常の買い物をする実店舗へ大きく広がった点だ。
以前のポイントプログラムは、毎月支払う携帯電話料金や、キャリアのサービスを利用した料金に応じてポイントがたまり、それをキャリアが販売する端末や、アクセサリーを購入する際の割引に充てるのが主な使い道であった。つまりポイントの獲得や利用の範囲が、キャリアのサービス内でほぼ完結していた。
だがリニューアル後のポイントプログラムは、従来通りキャリアのサービス内でポイントをためたり消費したりできるのはもちろん、新たにコンビニエンスストアや飲食店などでも、ポイントカードを提示したり、決済したりすることで、ポイントが得られるようになっている。
なぜ、自社内だけだったポイントプログラムを外側に広げ、ユーザーに対する価値を高めようとしているのか。その理由の1つが“割賦”、すなわち分割払いの広まりにあると考えられる。
現在主流となっている、携帯電話端末を2年間の分割で購入する仕組みが広く導入されたのは2007年ごろ。だがそれ以前は基本料が高額な分、販売奨励金も現在より大きかったことから、端末価格が安くて機種変更がしやすく、1年、あるいはより短い期間で携帯電話を買い替える人も多かった。それゆえ、機種変更時にキャリアのポイントを消費しやすかったのである。
だが2年間の分割払いと、それにかかる形で毎月の端末代を割り引く「月月割」「毎月割」などの割引施策が主流になると、機種変更がしづらくなり、多くの人の端末買い替えサイクルが2年(あるいはそれ以上)に1回程度へと長期化。それに伴って機種変更でのポイント消費機会が減少したことから、ポイント自体の存在価値が落ちてしまっていたといえるだろう。
NTTドコモが「dマーケット」の決済にドコモポイントを利用できるなどの施策なども打ち出していたが、それでもポイントの利活用が、それらサービスを積極的に使う人に限られてしまっていたのは事実だ。
そうしたことからポイントの価値を高めるべく、決済と組み合わせたり、既存のポイントプログラムを取り入れたりするなどしてリニューアルを図り、ポイントの利用範囲を大きく広げる施策に出たと見ることができる。
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