「iPhone 7」のカメラはどこがどう進化したのか:荻窪圭が解説(2/2 ページ)
Appleが発表した「iPhone 7」と「iPhone 7 Plus」のカメラ性能は、「iPhone 6s」「iPhone 6s Plus」と比べてどれくらい進化しているのか。実機を見てみないと分からない部分もあるが、分かっているところからあれこれ考えてみた。
iPhone 7 Plusのデュアルカメラって何?
iPhone 7 Plusのカメラスペックは、一見iPhone 7 と同じ。1200万画素で光学式手ブレ補正付き。でも同じようなカメラが2つ並んでいる。デュアルカメラ構成なのである。
デュアルカメラになるという噂は以前から流れていたが、その2つをどう使い分けるのかは明らかにされていなかった。
デュアルカメラといえば思い出すのが3D……いや、これは黒歴史ということで気にしなくていいか。iPhoneより先に、デュアルカメラを搭載して登場したスマホにHUAWEI P9がある。P9のデュアルカメラは片方がカラーのセンサー、もう1つがモノクロのセンサーを搭載している。実はこれ、モノクロセンサーを使った白黒写真がすごくきれいでいいのであるが(これは余談)、両方のセンサーを使うときは、モノクロセンサーでエッジを細かく検出して写真の解像感を上げたり、エッジを検出して背景をぼかす機能に使ったりしているのである。
ではAppleはiPhone 7 Plusでどうしたか。
片方をiPhone 7と同じF1.8のレンズをつけた広角カメラに。もう片方は望遠(広角側の2倍の焦点距離を持つ)レンズを備えたカメラにしたのである。望遠側の焦点距離は35mmフィルム換算で56mm相当。F値はF2.8だ。
広角と望遠のデュアルレンズなのである。
これにより、望遠に強くなった。望遠側を5倍のデジタルズームで撮れば、広角側から見れば10倍のデジタルズームということになる。望遠側をベースにデジタルズームをかければ、当然その分きれいに撮れる。
これはちょっと驚いた。
iPhone 7 Plusは背景ぼかし機能も搭載
最後にSneak Peekネタを。イベントでは、後日ソフトウェアアップデートで提供予定という、背景をボカす技術を披露した。
ポートレート写真の背景のBokeh(これ、日本語の「ボケ」がそのまま英語になったものだ)を2つのカメラを利用して作ろうという「Depth Effect」だ。
カメラアプリに新しく用意される「ポートレート」モードにすると、自動的に「Depth Effect」がかかるという。Depthは日本語でいう「被写界深度」。フォーカスの合う範囲(これを「深さ」といってる)を示す言葉だ。
この処理は何をやっているのか。
話の内容から推測するに、まずカメラが自動的に望遠側になる。そして2つのカメラで同時に撮影する。広角側はおそらく望遠側と同じ画角を切り出している。そしてISPを使って両方の画像を比較し、人物はよりはっきりと、背景はきれいにぼかすという処理をかけているのである。それがリアルタイムでプレビューできる。
センサーサイズの大きな一眼レフカメラのように、背景がボケた写真を撮りたいというニーズは昔からあり、「背景ぼかし機能」自体は新しくもなんともなく、すでに多くのコンデジやスマートフォンに搭載されている。ただ、機種によって差があるけれども、多くはそれほどうまくいってない。前景と背景のエッジが不自然にぼやけたり(特に髪の毛と背景の区別がうまくない)、同じような距離にあるはずのものがぼけたりぼけなかったり、徐々にぼけていく感じが出なかったりと、不自然な結果になりがちなのだ。比較的よい結果だったのが、デュアルカメラを使ったHUAWEI P9。
Appleのこの新しいデュアルカメラを使った技が、他社のものに比べてどんなクオリティになるのか、iPhoneのこの機能は人物専用になりそうだが、詳しくは実写レビューに乞うご期待である。この機能は年内に登場するそうな。
まとめると、iPhone 7とiPhone 7 Plusは、ともに新開発の1200万画素センサーで、レンズはF1.8でどっちも光学式手ブレ補正搭載、インカメラは700万画素相当に。画像処理専用の回路を搭載したことで全体のクオリティが上がった。
iPhone 7 Plusは広角と望遠のデュアルカメラになり、それを利用した撮影機能も用意されるよ、ということである。
これはとにかく早く実機に触れてみたいのである。
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