分解して理解する、iPhone 8/8 Plusとは違う「iPhone X」の中身:バラして見ずにはいられない(2/2 ページ)
「iPhone X」は有機ELや顔認証を採用するなど、新たな要素が満載だ。それだけにiPhone 8/8 Plusとの違いも多い。分解して分かった、iPhone Xならではの特徴とは?
iPhone Xのボトルネック
ここまで挙げた「Face ID」「有機EL」「メトロサーク」の3項目は、いずれもiPhone X量産上のボトルネックといわれてきたが、この問題も解決されつつあるようだ。部品サプライヤーに話を聞いたところ、Appleは2018年1月にiPhone X量産をフルスピード化するようで、この1カ月だけで1000万台以上の生産予想を立てているようだ。
今も品薄感があるiPhone Xだが、2018年3月には恒例のSamsung Galaxy Sシリーズの新モデルが発表されると予想される。1月に入ってもiPhone Xの生産が間に合っていなければ、ユーザーはGalaxyに目を向けるようになるだろう。1月に品不足を解消するのはAppleにとって譲れない一線と思われる。
バッテリーはL字型に
iPhone XはiPhone 8 Plusより小型ながら、8 Plusより大きなディスプレイと大容量のバッテリーを積んでいる。バッテリー容量は8 Plusの2691mAhに対してXは2716mAhだ。これらを両立させる上で、基板を2階建てにして本体内の広さを確保し、そこに内部でL字に組み合わせると最も容積が大きくなるような形で2個のバッテリーを並べ、この離れ業をやってのけた。2018年のiPhone X後継機では、L字形バッテリーは単一セルのL字形になるとの情報もある。
大規模工事と大いなる期待
2017年のiPhoneを一言で表現すると「大規模工事」と筆者は思う。工事場所は背面で、長年アルミ合金の一体成型品であったが、Appleはこれを枠、底板、カバーガラスという3つのパーツに分けた。その目的は、底板に開いた大きな穴であり、この穴にはワイヤレス充電用のアンテナが設置されている。
現在はApple製のワイヤレス充電器がないため、ワイヤレス充電規格「Qi」に対応した他社製品を使用して充電するが、その速度は速いとはいえない。Appleは2018年に自前のワイヤレス充電器の発売を発表しており、価格も約2万円と高く、Apple独自の技術が多く投入されている可能性がある。詳細は不明だが、Qiよりはるかに高速でワイヤレス充電可能である可能性がある。またワイヤレス充電を利用するApple Watchを一緒に充電できたり、データ連携支援などの機能が入ったりするかもしれない。
これからどうなる?
Appleは現在、2社からモバイル通信用チップの供給を受けている。IntelとQualcommだ。Qualcommは現在「LTE-Advanced」の分野でAppleと訴訟中だ。Qualcommが持つ技術のライセンス料があまりに高い点が論争になっているようだ。このような大企業間の訴訟は、米国ではCM扱いされており、実際のビジネスへの影響は限定的と思われる。
また米国通信大手Broadcomが1300億ドルを提示してQualcomm買収を試みているというニュースも驚きを持って受け止められた。現在の情報では、Qualcommは乗り気でなく、独禁法の審査をパスできる可能性も低く、実現の可能性は薄いとみられている。
高級品専門店からの脱却
2017年からiPhoneは4モデルのラインアップ(X、8、8 Plus、SE)になった。2018年はさらに大きなディスプレイを搭載したモデルが登場するようだ。また一部では本体に高級腕時計で使用されているチタン合金や、人工サファイアのカバーガラスが採用される見込み。高級機の値段はさらに上がりそうだ。
一方、片手で操作できる点が好評のSEは引き続き廉価機として存続するとみられる。Appleというと高級品一色との印象が強いが、実際はどうだろうか。iPhoneの価格帯は上が1200ドル(iPhone X)、下が350ドル(iPhone SE)まで幅広くなった。高額品ばかりという時代は終わったようだ。
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