「新品に傷」「タダで解約させろ」「飛行機で謝罪へ」――ケータイショップ店員時代の今でも忘れられないクレーム(2/2 ページ)
携帯電話を販売する中で遭遇した、忘れられないクレームを紹介。
結果、休日を謳歌していた筆者のかばんからクレームの呼び出し音が鳴りやまない事態に。さらに店舗にそのお客さまが来なかった日には深夜にクレームの電話が入ることもあり、最終的には根負けし、全てを返金、キャンセルを承ることになったのです。
制度上、店員に瑕疵(かし)がなくても、このようなクレームを受けてしまうことがあると身をもって学んだ事例でありました。
SIMカードの入れ間違い、おわびに飛行機で現地へ
ある日、筆者が担当しているお店に来店したお客さまから「PC用のデータ通信端末がつながらなくなってしまった」という相談がありました。
ここで考えられるのは
- 端末本体の故障
- SIMカードの故障
- PCの故障
のいずれかです。
店頭にはデモ用のデータ通信端末やスマートフォンがあり、もちろん通信可能なSIMカードも取り付けられています。
お客さまの相談を受けたスタッフは、上記の考えられる「故障箇所」について切り分けを行うため、店頭のデモ機とお客さまの機器を入れ替え、さまざまな組み合わせで故障箇所を探そうと対応を行い、最終的にはお客さまの端末本体の故障という結論に至りました。
結論にお客さまは納得して帰られたのですが、後日またお客さまから店舗へ連絡がありました。
その内容が「高額な請求が発生していて、近くのドコモショップへ行ったら端末に入っているSIMカードが自分のものじゃないと分かった」というものでした。
何が起きたのか。対応を行ったスタッフが、店舗のSIMとお客さまのSIMを入れ替えたのを元に戻すのを失念してしまい、店舗のデモ機にお客さまのSIMが刺さったままになっていたのです。
当然、店頭のデモ機は故障していません。お客さまのSIMカードで通信を行ってしまい、高額な請求が発生しているという状況でした。
しかも、このお客さまは遠方から出張で来ていたお客さまでした。SIMカードのお返しや謝罪のため、私を含め責任者数名が飛行機でお客さまの元へ向かう事態に。
お客さまの「困った」に対する、店舗で行える最大限の親切が、お客さまにとてつもない迷惑を掛けてしまった事件でした。
クレーム対応は、対応する販売スタッフはもちろんのこと、何よりお客さまの時間、体力を著しく削ってしまうもののため、できることならクレームゼロ件で済むのがベストです。
それでも多種多様なお客さまが当たり前に使う携帯電話だからこそ、お客さまの数だけ考えの違い、価値の違いもあり、まれにこうしたクレームに遭遇することもあります。
今回ご紹介した中には「いちゃもん」のようなものもありますが、電波やエリア、機種の不良など、説明や希望と違った場合に「8日以内のキャンセルが可能」となった現在の制度は、お客さまだけでなく販売する側にとっても難しいクレーム対処をスムーズに行えるようになったという意味では、非常にありがたい仕組みの1つといえるかもしれません。
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