150コンテンツの「信頼性の高い」情報を一括検索 KDDIが新AIサービス「Buffmee」提供、1年間は無制限で利用可能
KDDIは出版社など150メディアの信頼できる情報を検索・学習できる対話型AI「Buffmee」を開始した。Google Cloudを活用し、思考力低下を防ぐ能動的なAI活用やメディアの収益還元を目指す。あわせてGoogleと共同で、最先端モデルやインフラを提供するAIスタートアップ支援策も始動した。
KDDIが、新たなAIサービス「Buffmee(バフミー)」を、7月28日から提供する。
Buffmeeは、出版社や専門メディアと連携し、書籍、雑誌、Webメディアなど30社が提供する約150のコンテンツを情報源として、調べ物ができる対話型AIサービス。情報の検索から要点の整理、学びや趣味の提案などを行える。なお、コンテンツの単位は出版社の場合、1冊の雑誌やムックで1コンテンツ、Webメディアは1媒体で1コンテンツとなる。
KDDIは2025年10月に、グーグル・クラウド・ジャパンとAIサービスの提供を目的とした戦略的協業契約を締結した。この協業により、Google Cloudのプラットフォームを活用してBuffmeeを開発した。
約150コンテンツから提供される信頼性の高いコンテンツを情報源に
Buffmeeは、メディアから許可を得た上で提供された、信頼性の高いコンテンツを情報源としている。実用書、資格テキスト、業界紙、暮らし、お金、健康、趣味などのジャンルを用意する。対応媒体は今後も拡大する予定だ。
例えば「オレンジページ」では、プロの料理家のメソッドを一括検索できる。全てのレシピは編集部が試作済みであり、誌面のレシピをAIが忠実に伝えてくれる。
「鉄道ファン」では、約8年、92冊分の情報を一括検索できる他、専門家や技術者の解説に基づく、信頼性の高い情報を得られる。資格関連の書籍では、チャット形式で質問でき、オリジナルの演習問題に挑戦できる。
サービスはApp StoreやGoogle Playからアプリをダウンロードの上、会員登録をすると利用できる。アプリでは「検索」「要約」「分析」「画像生成」「提案」「問題演習」「フラッシュカード」といった7つのボタンを用意。専門的なプロンプトを入力することなく、簡単に調べ物や画像生成ができるように工夫した。
Podcast機能も実装しており、AIがニュース記事を要約して、耳で聞けるように変換して届ける。
無料プランと月額980円のプレミアムプランを用意
Buffmeeでは無料プランと、月額980円のプレミアムプランを用意している。無料プランでは、トークを1日100回まで、画像生成を1日10回まで利用できる。プレミアムプランでは、トークと画像生成いずれも無制限で利用できる他、プレミアム限定コンテンツも用意する。
サービス開始を記念し、申込日から1年間、プレミアムプランを無料で利用できるキャンペーンを実施する。
auやUQ mobileへの料金プランにバンドルする可能性について、KDDI 事業創造本部長の長谷川渡氏は「料金プランに組み込むなら、相当広いお客さまに受け入れられ、成長する見込みが立つことが重要になる。2026年度末までに、無料会員を含めて100万ダウンロードを目指しているが、有料会員が数百万になる確信を持てれば、バンドルサービスも視野に入れたい」と答えた。
AIを能動的に使って成長できるサービス メディアにとってもメリット
Buffmeeを提供する狙いについてKDDIは、AIを活用しながら、信頼性の高いコンテンツを提供することを挙げる。生成AIの普及によって、誰もが情報をアウトプットできるようになった一方で、受け手は正しい情報かどうかを判断しづらくなった。
長谷川氏は、AIがユーザーのスキルを奪う「デスクリング(Deskilling)」に言及する。「AIの選別に頼りすぎることで、考えの誤りに気付けなくなり、予想外の情報との偶然の出会い(セレンディピティー)が失われ、好奇心の低下につながる。AIへの丸投げは、脳活動を低下させることが、脳波計測を用いた研究でも示されている」と警鐘を鳴らす。
それでも「AIに頼る流れは自然で、止めるべきではない。問われるのは向き合い方」(同氏)と考え、「AIを能動的に使い、スキルや思考力が伸びて、挑戦の幅が広がる。使うほどに成長していくという正のスパイラルへ転換していくことが必要」と考え、サービス開発を決めた。
KDDIはBuffmeeのコンセプトとして「あなたが成長するAI」を掲げる。ゲームでの能力強化効果「バフ(buff)」に「私(me)」を掛け合わせ、日々の暮らしを豊かにしたい、資格取得や学び直しをしたい、趣味をより深く楽しみたいというニーズに応える。
また、AIによってインターネット上で情報が無断転載されることが問題となっている他、AIによる回答を参照することでメディアへの流入が減少する「ゼロクリック検索」も起きている。Buffmeeでは、こうしたメディアにとっての課題も解決し、読者に良質な情報を提供することで、Win-Winの関係を構築することを目指す。
マルチメディア対応やオンデマンドマガジンなども予定
まずはテキスト中心のサービスから提供し、今後はコンテンツの領域を拡充する他、音声、動画、インフォグラフィックなどのマルチメディアに対応する。学習マップやダッシュボードなどのUIや、ユーザー個人の趣味や関心に合わせたパーソナライズ機能の導入も予定している。
雑誌では、自分が読みたい記事を選んで、特集として再構成してまとめ上げる「オンデマンドモデル」の提供も構想している。例えばグルメ雑誌では、自分の家の近くのお店だけを記事化する、雑誌で紹介されているパクチーについて特集を組むといった内容を想定している。これは、雑誌の内容をAIが解析し、再構築することで実現する。
Buffmeeでは現時点で書籍は提供していないが、書籍の内容に関する解説を、AIが重ねて表示する機能拡張も検討している。
KDDIとGoogleがAIスタートアップ支援で連携 資金や「Gemini」を提供
Buffmeeのように自社で提供するサービスだけでなく、KDDIはスタートアップと提携し、次世代AIサービス創出とエコシステムの発展を目指す。
KDDIは、Googleの投資ファンドであるGoogle AI Futures Fundと協力し、「AIスタートアップ支援プログラム by KDDI & Google AI Futures Fund」の開始に7月28日に合意した。同日から特設サイトで国内のスタートアップを対象に応募受付を開始した。
この提携では、両社による協調投資を実施する。さらにスタートアップに対して「Gemini」「Nano Banana」「Lyria」といったGoogle DeepMindのAIモデルへの早期アクセス権を付与する。
資金提供だけでなく最先端のAIモデルを迅速に活用できる環境を整えることで、サービス構築と機能向上を強力に後押ししていく構えだ。
インフラ面ではKDDI大阪堺データセンターの「Gemini on GDC」や最先端GPUクラウド「KDDI GPU Cloud」を試用提供する。また、Google Cloudの無料クレジットや専任サポートも届ける。両社の専門家が技術や事業の伴走支援を行い共同開発の機会も提供する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
KDDI、AIで記事検索できる新サービスを26年春に提供/良品計画との対談で「土着化」の重要性も:KDDI SUMMIT
KDDIは10月28日、Google Cloudとの戦略的提携を発表し、コンテンツ提供者の著作権を保護しながら生成AIを活用できる新サービスを2026年春に開始する。参加メディアのコンテンツに対してAIで質問でき、使用量に応じてメディアに対価が支払われる仕組みを構築する。
「au PAY」が2027年度以降に激変? 新生auフィナンシャルサービスが目指す“AIウォレット”への進化
新生auフィナンシャルサービスとauペイメントが2026年7月1日に合併する。新会社はキャッシュレス市場の浸透フェーズにおいて「リワイヤー」をコンセプトに掲げ、顧客起点の体験価値向上を目指す。AIエージェントを搭載したウォレットへの再構築や中小事業者向けの次世代決済基盤を展開していく。
auナビウォークにAI導入 遠方でも圏外でも“人のように自然な言葉”で道案内
KDDIとナビタイムは、auナビウォークでAIによる自然な言葉でのルート案内機能の提供を始めた。検索画面のボタンから利用でき、従来の表示とは異なり、実際の行動の流れに沿った文章で順路を示す。人が口頭で教えるような案内を行動順に表示することで、移動時の迷いを減らすことを目指している。
KDDI松田社長就任でサービスはどうなる? 通信とAIを融合、Starlinkで日本全土をauエリアに
2025年4月1日、KDDIの高橋誠氏から代表取締役社長のバトンを受け継いだ松田浩路氏。KDDIのサービスは、今後、どうなっていくのだろうか。就任から9日後の10日、都内で開催した記者会見で、松田氏自身が詳細に語った。
KDDIが「au Flex Style」で“とがったスマホ”を扱う理由 単に「SIMフリーを持ってきた」とは違う安心感とは
キャリアの制約を受けないオープン市場向け端末を扱う新ブランド「au Flex Style」がKDDIから誕生した。主力はあくまでauモデルとしつつ、接続性を担保した上で個性的なスマホをそろえる。今後は高額割賦への対応や回線契約との導線強化、ローソン等との連携も含めた体験価値の向上が期待される。















