ドコモが段階制の料金プランを導入する狙い auピタットプランとの違いは?:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
ドコモが、使ったデータ量に応じて4段階に料金が変動する「ベーシックパック」と「ベーシックシェアパック」を導入する。多くのユーザーがお得になるよう設計されている。なぜ、このタイミングで新料金プランの導入に踏み切ったのか?
NTTドコモは、使ったデータ量に応じて4段階に料金が変動する「ベーシックパック」と「ベーシックシェアパック」の2つを、5月25日から導入する。合わせて、これまではシェアパックに限定されていた基本使用料が月額980円(税別、以下同)の「シンプルプラン」を、全データパックに拡大。ベーシックパックは月額2480円から、ベーシックシェアパックは家族3人の場合で月額1980円(ともに「docomo with」や「ずっとドコモ割プラス」を適用の場合)からに料金を改定する。
この新料金プランの導入に伴い、データ容量が5GBの「データMパック」や、2GBの「データSパック」は新規申し込みの受付を終了する。シェアパックも、「5/10/15」がなくなる予定だ。既存ユーザーはそのまま従来のデータパックを利用できるが、ベーシックパックやベーシックシェアパックは、2GBをちょうど使い切っていたようなケースを除けば、ユーザー側が“損”をしないよう設計されている。シンプルプランが組み合わせられることもあり、事実上の値下げといえる。対象となるユーザーは、変更を検討してもよさそうだ。
2GB~20GBで料金が変わる「ベーシックパック」、家族向けは5GB~30GBで変動
小容量から中容量のデータパックの置き換えとなるベーシックパックとベーシックシェアパックには、使った分だけ料金を払う段階制が採用されている。ベーシックパックは、1GBまで2900円で、3GBに達すると4000円に、5GBになると5000円に上がり、以降、20GBまでは7000円で利用できる。
従来の料金プランは、2GBのデータSパックが3500円、5GBのデータMパックが5000円に設定されていたため、データMパック以上であれば、基本的には料金据え置きとなる。料金が上がる区切りとなる容量が、1GB、3GB、5GB、20GBに設定されているのは、吉澤和弘社長によると「今のデータパックとの整合性を取った」ためだ。
ただし、シンプルプランを全データパックに拡大したため、もともと通話をほとんどしていなかった人が「カケホーダイライト」から変更すると、基本使用料が1700円から980円に下がる形になる。また、データSパックを契約しながら、データ容量が余っていた人が、1GB未満で収めれば、データ通信料も600円ほど下がる格好だ。ドコモはもともと、3GBのデータパックがなかったため、データSパックを契約して1GB追加していた人も、ややお得になる。
この仕組みは、家族でデータ容量を分け合うベーシックシェアパックでも同じだ。こちらは、もともとドコモに用意されていた「シェアパック5」~「シェアパック15」を置き換えるもの。料金は6500円から段階的に上がっていき、9000円、1万2000円、1万5000円となる。シェアパックには現在でもシンプルプランが適用されているため、基本使用料が安くなる恩恵はないものの、シェアパック10やシェアパック15と比べると、10GBと15GB到達までの料金が500円ずつ下がっている。
ベーシックシェアパックは、6500円から1万5000円の間で変動。写真はdocomo withやspモード利用料、ずっとドコモ割プラスを含み、シンプルプラン選択時に3人で利用したときの1人あたりの料金
ただし、ベーシックパックの最大料金である5GBから20GBまでと、ベーシックシェアパックの15GBから30GBまでは、逆にウルトラデータパック、ウルトラシェアパックの20GB、30GBを選ぶよりも、前者で1000円、後者で1500円割高になる。あらかじめ大容量のデータを使うことが分かっている場合、専用のデータパックを選んだ方が安くなるのは、auの「ピタットプラン」と「フラットプラン」の関係性に近い。
もちろん、単なる既存のデータパックを置き換えただけではなく、「最終的に、最適な料金が適用されお得になる」(吉澤氏)段階制ならではのメリットがある。毎月、どの程度データを使うかを心配しながら使える安心感と、使った分だけ払えばいいお得感を両立した仕組みといえるだろう。
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