“サブブランド攻勢”を強めるKDDIとソフトバンク ドコモも対抗策が必要:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
サブブランドの台頭や、大手キャリアの割安な料金によって、MVNOの成長にブレーキがかかりつつある。このトレンドは第2四半期の決算で顕在化したが、第3四半期も、この傾向が大きく変わることはなかった。
サブブランドの台頭や、大手キャリアの割安な料金によって、MVNOの成長にブレーキがかかりつつある。このトレンドは第2四半期の決算で顕在化したが、第3四半期も、この傾向が大きく変わることはなかった。ドコモの吉澤和弘社長は純増数が当初の年間予想に達しない理由の1つとして、「MVNOが少し弱含みで、昨年度(2016年度)に比べると落ち着いてきている」と語る。
一方で、MVNOとY!mobileの板挟みにあっていたauは、ユーザー数の減少幅が改善。UQ mobileやBIGLOBEモバイルなどのサブブランドがモバイルID数の伸びをけん引し、反転に出つつある。対するソフトバンクは、LINEモバイルを傘下に収め、サブブランド戦略を加速させようとしている。ここでは、ドコモ、KDDI、ソフトバンクグループ3社の第3四半期決算から、モバイル業界の最新トレンドを読み解いていきたい。
ユーザー流出に歯止めをかけ、サブブランドで反転攻勢をかけるKDDI
一時はドコモ系MVNOとY!mobileの間で板挟みになり、草刈り場になりつつあったau。2017年12月時点でも、ユーザー数の減少に完全に歯止めがかかっておらず、全四半期と比べて8万ほど契約者数がマイナスになっている。一方で、流出に歯止めがかかりつつある傾向もみてとれる。KDDIの田中孝司社長は「auの契約者は減り、(サブブランドの)MVNOが増えているが、同時に解約率も減っている」と改善傾向を評価しながら、要因を次のように語る。
「1つは昨年(2017年)入れた新料金プランが非常に効いてきていること。500万契約という数字が出ていて、auのスマートフォンの4分の1の方が短期間で入られた。これは大きなドライバー。もう1つは地道な方だが、au STARや三太郎の日もそうだが、CX(カスタマー・エクスペリエンス=顧客体験)を高めることや店頭改革も相まって、第3四半期はいい結果になった」
実際、auの解約率は第3四半期で0.78%に低下し、1年前の水準に戻りつつある。「auピタットプラン」「auフラットプラン」と2つの新料金プランを導入した第2四半期から、その効果が顕著に出ていることが分かる。1利用者あたりの収入を示すARPA(1アカウントあたりの平均売上高)は、新料金プランでデータ容量が大きなauフラットプランを選ぶユーザーが増えていることもあり、5910円に成長。この伸びと、MVNO収入の増加によって、モバイル通信料収入は前年比でプラス0.5%の成長を果たせた。
通信料収入の減少を新料金プランや傘下のMVNOで食い止める一方で、上位レイヤーのサービスから得られる収益は増加。付加価値ARPAは前年同期比で15.7%増の590円と大きく伸びた。auスマートパスプレミアムの増加や、au WALLETカードの発行枚数増加が、その要因。収益の屋台骨となる通信料収入を回復させ、新規領域での収益を積み上げていける構造になった。ただし、auユーザーの流出はまだ完全には止まっていない。傘下のMVNOでなんとかモバイル通信料収入もプラスになったが、特にソフトバンクとのサブブランド競争も激化しそうな気配があり、予断を許さない状況だ。
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