“飛び出すインカメラ”でほぼ全画面化 先端技術で先ゆく中国スマホメーカー:山根康宏の中国携帯最新事情(1/3 ページ)
2018年6月に、中国メーカーがエポックメーキングともいえる最先端のスマートフォン2モデルを発表した。切り欠きなしのベゼルレス化を実現しているVivoの「NEX」とOPPOの「FIND X」だ。この新ギミックは、長年の製造ノウハウがあって誕生したといえる。
2018年6月に、中国メーカーがエポックメーキングともいえる最先端のスマートフォン2モデルを発表した。Vivoの「NEX」とOPPOの「FIND X」だ。どちらもベゼルレスかつフロント側の(ほぼ)全画面ディスプレイを採用するために特殊なギミックを取り入れている。この2機種を見ると、スマートフォンの進化にはまだ限界がないことを思い知らされる。
モーターでカメラが動くギミックに驚き
1年前のスマートフォンと2018年のスマートフォンを比べると、機能や外観が大きく変化していることに気が付く。ディスプレイの形状はアスペクト比が18:9や19:9といった縦長の製品が一気に増え、16:9の従来モデルは古い印象を受けてしまうほどだ。
ワイドディスプレイは2017年9月に発売になった「iPhone X」の登場がきっかけとなり、それから各社が相次いで採用を進めている。ワイドディスプレイの狙いはスマートフォン前面のフルディスプレイ化で、電源を消したときはフロント側が全てディスプレイのように見える。とはいえインカメラやフラッシュ、センサーなどを省くことができないため、ディスプレイの上部中央には大きな欠き、いわゆる「ノッチ」がある。
電源を入れるとこのノッチはどうしてもディスプレイの上で目立ってしまう。ノッチの左右にはバッテリー残量やアンテナマークなど必要な情報を表示するスペースとして有効利用されるが、写真や動画を全画面で見ようとするとノッチの存在は邪魔になってしまう。ノッチ部分が欠けて表示されるか、ノッチを避けて表示するため全画面ではなく画面の一端が非表示エリアになってしまう。フロント側の全画面化に対し、ノッチは最終的な解決策にはなっていないのだ。
ベゼルレスディスプレイを搭載し、全画面化を図ったスマートフォンはシャープやXiaomiが製品化している。しかしカメラをフロント下部に配置するため、ベゼルレスは左右と上部の三辺だけとなり、下部にはどうしてもある程度の幅のベゼルが必要だった。現時点で全画面化に最も近づいているのは、左右のディスプレイ端をカーブさせたエッジ・スクリーンを搭載した「Galaxy S9/S9+」だろうか。
ところがVivoとOPPOの新製品は、上下左右のベゼル幅を極限まで減らした上に、ノッチもなくしてほぼ全画面化を実現したのだ。まだ他社が製品化していない、インカメラのオートポップアップ機能を取り入れることで、インカメラをディスプレイ面から追い出すことに成功したのである。
Vivoの「NEX」は、正面から見て本体上部左側にポップアップ式のカメラを内蔵している。カメラ部分のサイズは10mm角にも満たない大きさだ。カメラアプリを起動して、画面をタッチしてインカメラに切り替えるとモーター駆動でカメラが自動的にせり上がる。カメラを再び背面に戻す、カメラアプリが終了する、他のアプリに切り替えるといった操作をすると、カメラは再び収納される。動きは1秒もかからず瞬時のため、セルフィーを撮りたい瞬間にインカメラを起動できるのだ。
OPPOの「FIND X」のギミックはさらに凝ったものになっている。カメラが飛び出すのは同じだが、カメラを含むフロント部分上部全体が数mm上昇するのだ。つまりカメラを起動すると、本体の縦方向の長さも伸びるのである。もちろんFIND Xもモーターで作動するため、手動で本体上部を引っ張ったり押し込んだりする必要はない。本体の上部がスライドする端末は過去にNokiaなどが出していたが、いずれの製品も手動式だった。
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