海外での成功は通用しない? OPPOは日本で“実体験”できる場所を提供すべき(1/2 ページ)
中国のOPPOが日本に参入。販売シェア世界4位を誇るOPPOは日本でも通用するのだろうか? 筆者は、海外の成功体験は日本ではほとんど通用しないと考える。
日本のスマートフォン市場に新たな海外メーカーが参入を果たした。中国のOPPO(オッポ、広東欧珀移動通信)だ。カメラ機能に注力したスマートフォン「R11s」を2月9日に発売する。販売シェア世界4位を誇るOPPOは日本でも通用するのだろうか?
ユーザー体験を重視するOPPOの海外戦略
OPPOがスマートフォン市場に参入したのは2011年のこと。世の中はフルモデルチェンジしたiPhone 4が登場し、本格的なスマートフォン時代を迎えるときだった。各社がiPhone対しに右にならえの製品を投入する中、OPPOは横スライド式キーボードを備えた「Find X903」を市場に投入し、ビジネスにもプライベートにも使えるハイスペックなスマートフォンで市場の話題をさらった。
OPPOはもともと音楽プレーヤーを手掛けており、フィーチャーフォン時代も音楽機能を強くアピールし、若い世代をターゲットに製品展開を図ってきた。初のスマートフォンでは、そんな若者たちがiPhone+αの体験ができる製品になるよう差別化を図ったのだ。
OPPOはその後、本体デザインの差別化に特化し、世界最薄スマートフォンを出すなど市場での存在感を着々と高めていった。2013年に発表した「N1」では207度回転するカメラを搭載。アウトカメラとインカメラのどちらも高画質化するという難しい問題を、回転式カメラの搭載で一気に克服したのだ。このN1以降、OPPOはカメラにも強いスマートフォンメーカーとしてのアピールも強めていった。それはスマートフォンに求める機能の中で、カメラの重要性が年々高まっていったことへの回答でもあったのだ。
OPPOはこのように、常に若いユーザーのニーズに応える製品を開発して来た。同社いわく「スマートフォンにビューティーモードを搭載したのは世界初」とのこと。インカメラを使ったセルフィーブームにもいち早く飛び乗り、今やOPPOの製品の一番の特徴はセルフィーカメラ機能にもなっている。
スマートフォンユーザーの最大の不満点であるバッテリーの持ち時間に対しては、中国メーカーの多くがバッテリーの大容量化で逃げようとする中、独自の急速充電技術「VOOC(Voltage Open Loop Multi-step Constant-Current Charging)」を開発。「5分の充電、2時間通話」はOPPOのスマートフォンの広告でも大きくうたわれた。
OPPOの製品展開は価格勝負ではなく、本体の薄型化などデザインも強化し、それに加えて前述したカメラと充電機能を強化するなど新技術の開発にも力を入れている。OPPOが世界シェア4位になったのは、数年前にXiaomi(シャオミ)が「低価格・高性能なスマートフォン」で急躍進したときとは理由が大きく異なる。ユーザーニーズのトレンドをいち早く取り入れるために、機能を選択して技術を集中させた製品を送り続けた結果なのだ。
そのXiaomiはオンライン販売で低価格なモデルを手軽に買える点が受け、大きくシェアを伸ばした。しかしその後は他社との低価格競争に敗れ、一時はシェアを大きく後退させる。一方OPPOを始め中国の全メーカーはXiaomiに倣ってオンラインストアを強化しているが、それ以上に注力しているのは実店舗販売だ。
OPPOの看板を掲げた専門店は中国の大都市のみならず、地方都市でも多く見かける。コーポレートカラーである緑色の看板を見つければ「OPPOがある」とすぐに分かるほどだ。そして大都市には大型のフラグシップストアも構えている。さらには上海には超大型のスーパーフラグシップストアも構える。ユーザー体験を提供することを第一目的とし、OPPOの製品を使って楽しんでもらう店となっている。
この実店舗展開はOPPOが新興国へ進出する際にも大きな武器となった。中国では今やありとあらあゆるものがネットで買えるほど、通信インフラは整い誰もがスマートフォンを持っている。しかし新興国ではまだまだインフラ整備は追いつかず、地方都市では通信速度も遅い。中古で動作速度の遅いスマートフォンを使っている消費者も数多くいるのだ。
OPPOはそんな新興国にも実店舗を構え、店内に端末を置き自由に触ってもらうことでファンを増やしていったのである。筆者が2年前に訪れたミヤンマーのOPPOショップでは、OPPOのスマートフォンを楽しむ人々の姿が見られた。来客がOPPOのスマートフォンに触れるとすぐにインカメラの画面となり、女性たちはこぞってセルフィーを撮影、それを自分のスマートフォンに転送していた。「OPPOはセルフィーがキレイ」「いつかOPPOを買いたい」そんな思いを消費者に植え付けていったのである。
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