海外での成功は通用しない? OPPOは日本で“実体験”できる場所を提供すべき(2/2 ページ)
中国のOPPOが日本に参入。販売シェア世界4位を誇るOPPOは日本でも通用するのだろうか? 筆者は、海外の成功体験は日本ではほとんど通用しないと考える。
「先進国日本には、全く新しい戦略で成功したい」OPPOの日本戦略は?
こうして新興国で成功したOPPOは、各国でシェアトップに入る人気ブランドになっている。インドネシアではシェア3位、シンガポールでは4位。また台湾ではiPhoneやGalaxyシリーズが販売トップ10に顔を連ねる中、OPPOの最新モデルが常にランク入りしている。では日本市場も同じ戦略で攻め入るのだろうか?
OPPOがこれまで得意としてきた新興国では、SIMフリー市場が主体であり、キャリア販売のビジネスモデルを取る国はシンガポールなどわずかである。特に日本では大手MNOがiPhoneを割引販売するなど、ハイスペック・高ブランドのスマートフォンを安価に手に入れられる。OPPOにとって日本市場は、これまでにない手ごわい市場であるに違いない。
OPPOのスマートフォンを日本で販売するOPPO Japanの代表取締役 トウ・ウシン氏はインドネシアとシンガポールでのOPPO躍進を直接手掛けた人物だ。同氏によると、OPPOは日本市場の特異性を十分理解しているようだ。日本はキャリアマーケットであり、消費者は教育水準が高く広告を見ただけで製品を購入することはしない。つまりこれまでのOPPOの成功体験は日本ではほぼ通用しないと筆者は考える。
そこでOPPOはMNO、MVNOの各通信所業者へも売り込みをかけているとのこと。確かに日本のSIMフリー市場を見ても、MVNO経由の販売は今や当たり前になっている。またKDDIがHuaweiのnova 2を導入したように、MNO側もこれまでにはない、コストパフォーマンスの優れた海外製品を求めている。
スマートフォンが「何でもできる夢の道具」から、SNSでコミュニケーションを図るためのツールと化したいま、OPPOがカメラフォン、特にセルフィーを大きくアピールして製品展開することは市場ニーズに十分マッチしているといえる。OPPOの日本参入第1弾となるスマートフォン「R11s」は、日本の消費者が使っても十分納得できるだけの品質と性能を備えているのだ。
とはいえ、ブランド力のないOPPOの製品が、家電量販店で他社の製品と同一に展示されていてはその特性をアピールしにくい。特にフロントカメラに特化したスマートフォンは他社からもわずかな例しかないことから、そのメリット、いや、楽しさを消費者に直接伝える必要があるだろう。
OPPOの日本参入発表会が行われた表参道ヒルズでは、実際にR11sを使ったセルフィー機能を楽しめるブースが設営されていた。その場でR11sを試していた来客たち、特に女性客は誰もがR11sのインカメラ性能を気に入っていたようだ。OPPOの言う「ユーザー体験」の場は、情報が自由にネットで入る日本だからこそこれから強化すべき点だろう。つまり上海にあるようなスーパー旗艦店は、日本のような先進国にこそ必要なのだ。
R11sの価格は5万7980円(税別)。まずはSIMフリー市場に投入されるが、同市場の代名詞でもある「格安スマホ」と呼べる価格ではない。もちろんスペックだけを見ればこの価格は十分納得できるレベルに仕上がっている。だが税込み6万円強の製品を消費者に「OPPOだから欲しい」と思ってもらうためには、店舗プロモーションを含むユーザー体験をどれだけ提供できるかにかかっているだろう。
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