OPPOが「Find X」で見せる“未来” 11万円強でも日本に投入する理由
OPPO Japanが、11月上旬以降にフラグシップスマホ「Find X」を発売する。スライド機構で飛び出すカメラが特徴だが、単なるキワモノではない。OPPOはFind Xで技術力をアピールしてブランド力向上につなげる考えだ。
OPPO Japanが11月上旬以降に、フラグシップスマートフォン「Find X」を日本で発売する。
Find Xといえば、使うときだけ内部からカメラがスライドする機構が目を引く。OPPO Japan 代表取締役のトウ・ウシン氏は、「ノッチをなくし、本当の意味での未来のフラグシップを目指した」「アートとテクノロジーの融合を究極の形で体現した」とアピールする。その後の商品説明でも「未来」という言葉が何度も聞かれた。Find Xに込められた未来はどこにあるのだろうか。
スライド機構はメカとして面白いだけじゃない
プロダクトマネージャーの中川裕也氏は「未来のデザインはかつてない一体感から生まれると考えた」と説明。ここ最近、ハイエンドスマートフォンは6型前後で縦長の大型ディスプレイを備えたモデルが多いが、上部にノッチ(切り欠き)があったり、額縁がまだ太かったりする機種が多い。
そこでFind Xでは、使わないときはカメラを隠す機構にすることで、ノッチなしのデザインを実現。上下のベゼルは3.4mmに抑え、左右は有機ELの特性を生かして端をカーブさせることで、ほぼベゼルのないデザインに。93.8%という高い画面占有率を実現した。本体には滑らかな曲線をかけて美しさを目指した他、7層の色を組み合わせてコーティングした背面にはグラデーションカラーを施した。
カメラがスライドする機構はメカとして面白いだけでなく、快適に使えるよう工夫を施した。OPPO Mobile Telecommunications 海外市場プロダクトディレクターのトウ・ソウレイ氏によると、Find Xのカメラ部分は0.4秒でスライドするという。その際に、柔らかく見えるよう、最初は速く動き、次にゆっくり、閉じるときは徐々にゆっくり動くよう調整した。カメラがスライドする際に「ウィーン」という音が鳴るが、この駆動音が小さくなるよう、静音性の高いモーターを採用した。「静かでありながら力強くスライドする構造を作り出した」と中川氏は胸を張る。
耐久性は大丈夫?
スライド機構は狭額縁化をする上で理にかなっているが、一方で気になるのが耐久性だ。何度もスライドさせたり、リフトアップした状態で落としたりすると、壊れやすくなるのではないか……と不安に思う人も多いだろう。OPPOでは30万回以上、カメラをスライドさせるテストを実施し、それでも耐久性に問題がないことを確認できた。「1日に画面ロックを解除する回数が100回以下、撮影が1日150回と仮定しても、5年間はスライド構造の耐久性を心配せずに使える」と中川氏。
バッテリー残量が1%でも200回スライドできるよう、省電力性にもこだわった。カメラがスライドした状態で本体を落とすと、自動で検知してカメラが収納する落下防止システムも搭載した。隙間からホコリが入るかどうかも心配だが、16時間の防塵(じん)テストを実施し、内部のホコリが入らないことも確認済みとのこと。
3D顔認証や高速充電もアピール
セキュリティ機能として、新たに3D顔認証を搭載したことも「未来」につながるポイントの一つだ。インカメラの隣にあるドットプロジェクターが1万5000ポイントのドットを照射し、顔の立体構造を捉える。これにより、誤認率は100万分の1というほど正確な認識が可能になり、指紋認証よりも20倍安全とのこと。ロック解除もスムーズだ。スリープ時に画面を点灯させてスワイプすると、カメラがリフトアップして顔を認証してロックを解除。その後、カメラは速やかに本体に格納される。
セルフィーにもこの3D顔認証を活用し、あらかじめ作成した3Dモデルデータをもとに、立体的かつ自然な仕上がりで撮影できるという。
35分でフル充電できる独自の高速充電規格「Super VOOCフラッシュチャージ」も、OPPOは大きくアピールする。1700mAhのバッテリー2つを直列で接続し、電圧を分散して充電することで、充電効率を上げるというものだ。
冒頭でトウ氏が話していた「アートとテクノロジーの融合」は、美しいデザインに最新のテクノロジーをちりばめたことを意味する。「さまざまな技術を融合させた」(トウ・ソウレイ氏)末に完成したというスライド構造、そしてノッチのない全画面ディスプレイは、未来のスマホと呼ぶのにふさわしいだろう。
11万円強でも日本で投入する価値ありと判断
一方で気になるのが価格だ。これだけの技術をつぎ込み、スペックも高いため、Find Xは11万1800円(税別)と高額だ。日本のSIMフリー市場では3万円~4万円台のモデルが売れ筋であることを考えると、Find Xが大ヒットするとは考えにくい。トウ氏も「SIMフリーで5万円を超える端末を使っていただく方々は3%ぐらいしかおらず、10万円を超えるとますます少ない」と話すが、それでも日本に投入するのは、OPPOのブランドイメージを確立させるためだという。「(Find Xを)実際に使っていただき、どんな理念を追求しているかを感じてもらいたい」と同氏。
ノッチのないデザインやカメラのスライド構造はインパクトが大きく、仮にFind Xを購入しなくても、「OPPOってこんなことができるのか」と思ってもらうだけでも認知度向上につながる。Find XをきっかけにOPPOを知り、近い将来に他のモデルを購入してもらえれば、Find Xを投入した意味があるといえる。また、OPPOは最終的には日本でキャリア市場に参入することを目指しており、Find Xが多くのキャリア関係者の目にとまり、その技術力を評価すれば参入の追い風になるだろう。
OPPOは5Gに対応したスマートフォンの開発も進めており、「2019年は、5Gデバイスを発売する初のメーカーになる予定」とトウ氏は話す。5Gは日本でも2019年からプレサービスが始まる予定なので、OPPOの5Gスマホもキャリア参入の近道になるかもしれない。
なお、トウ氏は8月22日の「R15 Pro」と「R15 Neo」の発表会で、年内にあと2機種の新製品を発表予定であることを予告しており、その1機種はFind Xであることが分かった。あともう1機種あるわけだが、トウ氏は「1つだけとは限らないかもしれない」と含みを持たせた。年内にさらに複数台の新機種が登場するかもしれない。
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