“王道”の戦略で国内外のシェアを高めるHuawei 課題は米国市場の攻略:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
トリプルカメラ搭載の「Mate 20 Pro」を日本で発売したファーウェイ。グローバルでハイエンドモデルの拡販に力を入れているファーウェイだが、日本でも、その成果が徐々に出始めているようだ。市場動向や同社の戦略を解説していく。
SIMフリー市場だけでなく、全スマホでもシェアトップ5に
フラグシップモデルの完成度が半年ごとに高まるファーウェイだが 、市場でもその評価は徐々に上がっていることがうかがえる。Mate 20 Proの発表会に登壇したファーウェイ・ジャパン デバイス部門のプレジデントを務める呉波(Wu Bo)氏は、「日本では、SIMフリーとキャリア端末を合わせた端末販売台数で、Android端末の1位を獲得した」と胸を張る。
これはBCNのデータで、キャリアショップなどが含まれていないため、必ずしも実態を正確に反映しているとはいえないが、勢いを増していることは事実だ。MM総研が発表した2018年上半期のスマートフォン出荷台数では、SIMロックフリー、キャリアの双方を合わせてトップ5の位置につけた。
2018年に入り、フラグシップモデルだけでなく、「P20 lite」や「nova 2」「nova lite 2」などのミドルレンジモデルもキャリアに納入するようになり、販売台数は着実に増加していることがうかがえる。2017年にはauが、2018年からはソフトバンクが分離プランを主軸に据えており、これもファーウェイのミドルレンジモデルにとっての追い風になっている。
ファーウェイは、フラグシップで技術力やブランド力を高めつつ、ミドルレンジで数を稼ぐ戦略を取る。グローバルでファーウェイの販売を統括する徐欽松(Jim Xu)氏によると、欧州では「ほとんどの国でわれわれのシェアは20%を超えており、一部の国では30%ものシェアを獲得している」というが、実売に関しては「liteのつくミドルレンジの製品が一番大きなボリュームになっている」という。フラグシップモデルは、「消費者がブランドを認めるきっかけになる」という位置付けだ。
日本でもこの戦略は踏襲されており、実際、夏モデルとして投入したP20 liteは、販売が非常に好調だ。週次の販売データを見ると分かるが、ランキングがiPhone一色の中でも、唯一P20 liteだけがそこに割って入ることが多い。P20 liteはY!mobileやUQ mobileなどのサブブランドでも展開されており、こちらでも好調。コストパフォーマンスに優れた端末として、ユーザーからはもちろん、キャリアからの評価も高い。
フラグシップモデルで名を売り、実売はミドルレンジ以下で取るというのは、SIMロックフリーの比率が高い海外市場だと一般的な戦略で、ファーウェイに限った話ではない。ただし、このサイクルをうまく回すには、フラグシップモデルが魅力的である必要がある。同時に、ミドルレンジモデルは一定のクオリティーを保ちながら、コストを抑えて作らなければならない。戦略としては王道だが、それを実践できているメーカーは思いのほか少ない。
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