ソフトバンクが都内で「28GHz帯」の5G実証実験を開始 商用サービスを前提に
ソフトバンクが28GHz帯を使った5G実験試験局の免許を取得。東京都内の3箇所で実証実験を開始した。従来よりも高周波数帯の電波を使って、商用サービスを見越した試験を行う。
ソフトバンクは12月5日、5G(第5世代移動体通信システム)で使われる予定の28GHz帯の電波を利用した実験試験局免許を取得したことを発表した。今後、ノキアソリューション&ネットワークスとエリクソン・ジャパンの協力のもと、品川エリア(東京都港区の品川駅付近)や渋谷エリア(東京都渋谷区の渋谷駅付近)において、より一般的なユースケースを想定した実証実験を随時実施する。
ミリ波に近い電波を利用→課題を抽出→商用化へ
日本では、5Gに向けて3.7GHz帯、4.5GHz帯と28GHz帯の電波が通信事業者に割り当てられる予定となっている。
これらの帯域のうち、28GHz帯は「ミリ波」と呼ばれる30GHz超の電波と同じく、障害物に弱く回折しづらいという問題を抱えている。しかし、5Gにおいてより高速な通信を実現するには、このような高い周波数帯の電波も活用しなくてはならない。
従来の5Gにおける実証実験では利用シーンや適用業種を絞ったものが多かったが、今回の同社の実験では、商用サービスを想定して、一般的な利用シーンを踏まえた検証を行うことでミリ波(に近い電波)で通信サービスを提供する際の課題を抽出し、安定した商用サービス提供につなげる狙いがある。
実験の様子
発表に合わせて、同社は品川エリアで実施した実験の内容を報道関係者に披露した。
品川エリアでは品川駅の西側に実験試験局を設置。そこから約120m離れた建物と、線路を挟んで約450m離れた説明会場を28GHz帯の5G回線で結び、テレプレゼンスシステムを使ってVR(仮想現実)動画やプレゼン動画・音声をリアルタイムで伝送した。
伝送は「P2P(ピアツーピア:1対1)通信」ではなく、インターネットを経由している。「一般的な利用シーン」を想定したためだと思われる。
映像は説明会場正面のモニターだけではなく、Wi-Fi(無線LAN)を介して複数台のタブレット(iPad)やVRデバイス(Oculus Go)にも配信された。伝送速度は「1Gbps未満」(説明員)で、音声に若干の遅延があったものの、映像はおおむね問題なく伝送できていた。
関連記事
「5G」は「LTE」と何が違う? 歴史と共に振り返る
最近、「5G」という言葉をよく耳にする。今までの携帯電話と何が違うのか。歴史を振り返りつつ解説する。【追記】「4Gと5Gは似て非なるもの、全く違う世界が始まる」 ソフトバンク宮川氏が5GやIoTの取り組みを説明
ソフトバンクの宮川潤一CTOが、「5G×IoT発展を促す共創」とのテーマで講演。ソフトバンクの5GやIoTに関する取り組みを説明した。宮川氏は「4Gと5Gは、本当に似て非なるもの」と強調する。ソフトバンクが「5G×IoT Studio」のお台場ラボをオープン 何ができる?
ソフトバンクが、「5G×IoT Studio」のお台場ラボを開設。5Gの実験機器で技術検証ができるトライアル環境を企業向けに提供する。5月11日には、報道関係者にお台場ラボ内部を公開した。5Gで何が変わる? ソフトバンクが「高速通信」「低遅延」のデモを披露
ソフトバンクが5G通信のメリットを体感できるデモを実施。ロボットアーム遠隔制御、超高精細リアルタイム映像伝送、エッジコンピューティングを用いたGPUサーバによる遠隔レンダリングなどを披露した。高速通信や低遅延を体感できた。ソフトバンクが5Gのデモンストレーションを公開――キャリアは本気で5Gネットワークを構築する気はあるのか
ソフトバンクが5G(第5世代移動体通信)のデモンストレーションを報道関係者に公開した。しかし、内容的に他キャリアやネットワークベンダーが1~2年前に公開したものとほとんど変わらなかった。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.