“没頭する人”に向けて追求した軽量化 有機ELはシャープ流にアレンジ 開発陣に聞く「AQUOS zero」(2/2 ページ)
シャープの「AQUOS zero」は、同社製のスマートフォンとして初めて有機ELを採用したモデル。なぜこのタイミングで有機ELの採用に踏み切ったのか。キーワードは「軽量化」と「没頭」だ。
外部と内部で放熱対策
AQUOS zeroでもう1つ注力したのが放熱対策だ。本体が薄く、防水対応で密閉されていると熱がこもりやすくなりそうなイメージがあるが、「AQUOS zeroでは、長時間使ってもらうことを重視し、そこに合わせた放熱対策をしていえる」(篠宮氏)という。
まず、ユーザーが端末に触れたときに熱さを感じにくくするよう配慮した。側面のフレームは金属なので、端末内部の温度が上がると熱を感じやすくなるが、フレームをわずかにへこませることで、フレーム自体に指が当たらないようにした。また背面のアラミド繊維はガラスに比べて2割ほど熱の伝導率が低いという。
AQUOS Rで採用している、外側の温度をより正確に測れるセンサーは、AQUOS zeroでも継承している。従来機からセンサーの場所は変えているが、シミュレーションシステムを活用することで、設計前に見つけられるそうだ。
端末内部には、放熱シートを用いて熱を拡散しているが、持ち手の部分には放熱シートが及ばないようにして、少しでも熱さを感じさせないよう配慮した。
さらにAQUOS zeroでは、2つの充電ICを搭載することで、発熱源を分散させて充電中の発熱を抑える「パラレル充電」を採用。充電しながらでもゲームや動画を快適に楽しめるようこだわった。
シリーズ化して育てていきたい
OSはAndroid 9をプリインストールしており、UI(ユーザーインタフェース)も9標準のものを採用している。従来のナビゲーションバーはなくなり、アプリの履歴は下から上にスワイプして呼び出す方法に変わった(ナビゲーションバーの表示に変更することはできる)。ちなみに他社だと、同じくAndroid 9をプリインする「Xperia XZ3」は、9標準のUIは採用しておらず、従来のナビゲーションバーのみを採用している。
シャープは「OSの進化を尊重している」(小林氏)というスタンスで、そこに寄り添っていく。小林氏は特に、どのアプリを起動していてもドロワー(アプリ一覧)を呼び出せること、マルチタスクの使い勝手が向上したことを評価する。またAQUOS zeroでは従来のAQUOSと同じく、2年間のOSバージョンアップを保証する。
使い勝手の面でマイナスとなったのが、「ベールビュー」という名前でもおなじみ、画面に模様を表示させて斜め方向から見えづらくする「のぞき見防止ブロック」が見送られたこと。これは有機ELの特性上、「乗り越えられない壁がある」(前田氏)という。
AQUOS zeroはAQUOS R2とは属性が違い、「R2の方がお客さんは多い」と小林氏。そもそもzeroは採用キャリアがソフトバンクのみであることも影響しているが、zeroの方がチャレンジングな商品であることは間違いない。この1号機で終わらず、「中長期的にはシリーズ化してしっかり育てていきたい」と小林氏は先を見据える。今回はソフトバンク専売になったが、次回は他キャリアやSIMロックフリーとして展開することにも期待したい。
【更新:2019年1月25日12時13分 小林氏のコメントを一部変更しました。】
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