「AQUOS zero」レビュー 軽さや有機ELの画質に満足、エンタメ利用に最適だ(2/2 ページ)
シリーズ初の有機ELを搭載したシャープのスマートフォン「AQUOS zero」。6.2型と大画面ながら146gという軽さを実現した。そんなAQUOS zeroの実力と使い勝手を見ていこう。
カメラは広角かつシーン認識に対応
アウトカメラは広角22mmの2260万画素で、光学式手ブレ補正にも対応。インカメラは800万画素を搭載する。
基本的には、屋外でも室内でも十分キレイに撮れる。シーン認識のAIオートで料理も問題なく撮影できた。AIオートは人や夕焼けなどいくつかのモードに対応している。また、明るいレンズと光学式手ブレ補正で薄暗い店内でもキレイに撮れる。
ただ、シーン認識に夜景モードがない他、背景ぼかしもインカメラのみの機能となっている。今どきのハイエンド機としては搭載してほしい機能がところどころ抜けているのは気になった。
ワンセグやイヤフォンジャックなど非搭載の機能も
AQUOS zeroは最新OSのAndroid 9を搭載しており、ハードウェアからソフトウェアまで新しい設計となっている。その一方で、操作方法が変わったり、なくなったりした機能もある。
まず、Android 9ではソフトキーの構成が変わり、標準では「戻る」キーと、中央のホームキーが上スワイプでタスク切り替え、もう一度上にスワイプでドロワー表示という、これまでにない操作体系になっている。AQUOS zeroでは「設定」→「システム」→「操作」→「ホームボタンを上にスワイプ」で、従来のAndroidと同じもの(ナビゲーションバー表示)に戻せる。慣れないならこの設定を変えよう。
画面ロック解除やセキュリティ機能について、AQUOS zeroは背面の指紋認証センサーと、インカメラの顔認証に対応した。両方を併用することもできる。その一方で、机の上に置いたままの状態でのロック解除がしづらくなっている。もし画面をダブルタップでスリープ状態を解除したいなら「設定」→「ディスプレイ」→「詳細設定」→「スリープ中の表示」をオンにしよう。この設定がオンだと、画面のダブルタップでスリープを解除できる。
この他、AQUOS zeroはIPX5/IPX8の防水とIP6Xの防塵(じん)やおサイフケータイに対応するが、ワンセグとイヤフォンジャックは非搭載となった。また、microSDスロットも非搭載で、128GBのストレージを使う形となる。
ワンセグはいざというときに便利なサービスだが、近年では番組配信サービスが増えており仕方のないところだろう。一方でイヤフォンジャックは薄型化の邪魔になるとはいえ、音楽ゲームの快適さを打ち出すなら搭載してほしかったところ。USB Type-C端子に接続する変換アダプターが付属するが、そのひと手間が面倒に感じる。
ゲームや動画を楽しみたい人にオススメ
ここ1~2年で発売された大画面スマホは、高性能化やデュアルカメラ搭載、ガラスパネル+金属フレームの流行などで、似たデザインで重量級のスマホが増えている。そんな中で登場したAQUOS zeroは、高性能かつ軽量で、他にない上質な質感とデザインを実現した、意欲的なモデルに仕上がっている。スマホゲームや高画質な動画を楽しみたい人や個性派モデルが欲しい人にオススメできる。今回はソフトバンクからのみの発売だが、今後シリーズ化を期待したいモデルだ。
だが、AQUOS zeroも完璧というわけではない。画面の自動明るさ切り替えが極端で気になるし、曲面ディスプレイだからか正面以外から見るとやや緑がかるのも気になる。カメラもせめて夜景モードぐらいは欲しい。画質設定も、動画や写真はやや鮮やかでも、一般アプリの利用時は落ち着いた色で操作したいなど、より細かく設定できればうれしい。
今後シャープに期待したいのは、ゲーマー層へのアピールなど、エンタメ利用を加速させる取り組みの継続だ。スマホを指名買いするようなゲーマーだと、ノッチなし平面で追従性の高いIGZOディスプレイ、画面録画、イヤフォンジャックなどが求められる。カメラを推すなら、インスタ映えを意識した設定や、インカメラの感度や画質の改善、背景ボカシや美肌機能を高品質かつ楽に操作させてほしい。これらは海外のアジアメーカーが先行し、日本メーカーが見落とし続けてきた部分だ。今後も継続した取り組みを期待したい。
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