「報酬はいらない」の声が多数 mineoが“アンバサダー制度”を始める狙い:MVNOに聞く(3/4 ページ)
サブブランドが勢力を伸ばす影響で、個人向けMVNOの多くが苦戦を強いられている。ケイ・オプティコムの「mineo」もその1つだ。こうした状況を打破しようと、同社はユーザーがサービス創出やサポートに参加する「アンバサダー制度」を開始する。その狙いを聞いた。
災害時にはフリータンクのパケットが増える
―― 3月11日から「応援パケット」を活用した仙台市復興支援を行っています(※3月31日まで)。
上田氏 仙台市さんが独自で取り組んでいる「ふるさとの森再生プロジェクト」は、東日本大震災の津波で森林が流されたので再生しようというプロジェクトです。「第2回mineo green project」(マイネ王上のHAPPYな投稿をカウントする「HAPPY METER」が100万件たまるごとに、日本各地の公園に桜の植樹を行うプロジェクト。仙台市もその1つ)では、3月9日に桜を植えました。震災が起きた3月11日と近く、せっかくの仙台市とのご縁なので、応援パケットを使って寄付できないかと考えました。
mineoユーザーは1人1口10MBで、10口まで寄付ができ、1000MBごとに苗木1本分、500円の寄付をします。皆さんの思いがパケットに詰まって、植樹される寄付金として仙台市さんに届くわけです。
―― ユーザーはお金を寄付するよりは手軽に参加できますね。
上田氏 はい、普段mineoで使っているパケットの一部を出すということです。われわれは寄付金としてお出しします。1人100MBまでなので、どーんと入れてくださいというよりは、できるだけたくさんの人に、気持ちだけでいいので入れてほしいですね。
―― 3月11日には「mineo防災訓練」として、全ユーザーに「災害支援タンク」を開放しました。
上田氏 フリータンクは毎月21日から月末まで、無料で1GBまで引き出せますが、災害救助法が適用された地域に住んでいる人は、10GBまでなら無料で引き出せる災害支援タンクという仕組みがあります。
2018年だと、北海道(胆振東部)地震で被災された方は知っていただきましたが、その他の地域では知らない方も多い。そこで、操作方法を体験できる訓練ができないかと考えました。
―― 北海道地震では、活発に使われたのでしょうか。
上田氏 過去6回くらい開放して、のべ15万人ぐらいが使っています。一番大きかったのが2018年の大阪北部地震。大阪はmineoユーザーが多いので、一気に増えました。
―― トラフィックへの影響は大丈夫でしたか?
上田氏 地震の発生直後はトラフィックが一気に上がりますが、通信速度について、そこまで顕著な影響はありませんでした。
―― 災害時は多くのユーザーがパケットを引き出して、フリータンクが枯渇するようなことはなかったですか?
高谷氏 残容量が減ると思いきや、災害時には通常よりも多くパケットを入れていただけるので、災害が起きても、残容量が増える傾向にあります。日本人ならではの助け合いが顕著に出ます。
上田氏 北海道地震のときは、地震が起きてからの方が増えました。北海道の人は引き出すけど、それ以外の地域の方が「私のパケットを使ってください」と入れてくれるんです。
―― でも、空っぽになる可能性もありますよね。
上田氏 可能性としてはあります。例えば日本全国で災害が起きて、全国が災害救助法の適用対象になって、全員がフリータンクから10GBを引き出すと……。
―― フリータンクにはだいたいどれぐらいたまっていますか。
上田氏 今(3月上旬)は95TBぐらいで、月末になると減る傾向にあります。実は、2年ほど前に、残容量が1.4TBまで減ったことがありました。
高谷氏 そのときにフリータンクのルールを改正して、データ容量が残り1GB以下の人でないと、引き出せないようにしました。本当に困っている人に使っていただきたいので。
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