「まずはポイントを動かしてほしい」 KDDIに聞く、スマホ決済「au PAY」の狙い:モバイル決済の裏側を聞く(2/3 ページ)
KDDIのコード決済「au PAY」が4月9日にスタートした。コード決済は、「PayPay」「d払い」「LINE Pay」「楽天ペイ」など競合がひしめく中で、KDDIはどのような戦略で臨むのか。KDDI ライフデザイン事業本部 新規ビジネス推進本部 副本部長の中井武志氏に話を聞いた。
店舗がバーコードを提示するタイプも準備中
―― 今のところ、ユーザーがQRコードを表示して読み取ってもらうタイプしかありませんが、店舗に提示したQRコードをユーザーが読み取るタイプの支払い方法もありますか?
中井氏 準備はしていて、近々に対応する予定です。もともとコード決済をやろうと思ったときに、店舗提示型やお客さま提示型など、いろいろな仕様を一通り準備しようとは決めていました。
―― 店舗向けアプリは自前の「au PAY for BIZ」を用意されますが、サードパーティーのPOSアプリと連携する予定はありますか?
中井氏 「Airペイ」さんとかは、組み込んでいただける状態にしていますので、他社アプリとの連携もやっていきます。
―― au PAYを利用できる店舗数はどれくらいあるのでしょうか?
中井氏 開示はしていません。
―― 発表会で紹介された店舗の中で、4月9日時点でどれぐらいが使えるのでしょうか?
中井氏 調整中のところもありますので、アプリなどで使える店舗は明確にしていきます。店舗は随時追加していきます。(対応店舗の詳細は、au PAYのWebサイトも参照)
―― セブン-イレブンやマツモトキヨシなど、au WALLETのポイントアップ店でありながら、au PAYに対応していないところが多い印象です。
中井氏 まだ言えないところがありますが、そこも(au PAY対応の)準備はしています。
―― 店舗数でいつまでに何店舗といった目標は立てていますか?
中井氏 内部的には目標は立てています。競合サービスでは「20%還元」とか「100万箇所」とかがアピールされているので、そこはすぐにやりますよ、とは申し上げています。それで終わりだとは思っていない。むしろ、ここから力を入れていきたいと思っています。
楽天ペイ、メルペイとの協業の中身
―― 楽天ペイとメルペイの加盟店は、具体的にどういう仕組みで連携するのでしょうか。
中井氏 会社によって状況が違うのが実態です。例えば楽天さんの場合、楽天さんが開拓された店舗には、楽天ペイとau PAYのアクセプタンスマークが2つ貼られます。加盟店との契約形態は、楽天さんとKDDIが包括契約を結んでいますが、楽天さんの精算スキームにau PAYが乗る形になります。
メルペイさんは違うスキームで、お互いが開拓する中で、両方一緒に申し込みをいただく形になります。
いろんなプレーヤーが入っていて料率が高くなっているのが今の状況なので、相互に面を増やしていくような協力体制が組めるといいと思います。僕らも基本的にはオープンなスタンスで、いろいろな事業者の方とお話をさせていただいています。
―― ローソンや量販店など大手に関しては、いかがですか?
中井氏 大手は個社に契約しているので、ローソンさんでいえば、楽天とローソン、KDDIとローソンという契約形態になります。
―― 加盟店の手数料0%キャンペーンは、ひとまず2021年7月までですが、その後はどうなるでしょうか。
中井氏 手数料は状況を見て決めようとは思います。(決済手数料には)3.25%という基準はありますが、そういう状態にはならないと思っています。
「脱埋蔵ポイント」を最重要視
―― 他キャリアのユーザーは、いつau PAYを使えるようになるのでしょうか?
中井氏 現在、au IDを使えるのはauユーザーだけですが、夏に開放するタイミングで、au PAYも使えるようになります。
―― 今のスマホ決済サービスは、キャンペーン合戦になっています。ここにどう攻め込んでいくのでしょうか。
中井氏 これだけ加熱すると、状況を見ながら、うちもやる部分は継続してやっていこうとは思います。一方で、もう少し時間軸を伸ばして見ると、継続して使っていただける状況をいかに作るかが重要です。そういう仕組みを持っていることがうちの強みだと思います。
―― キャンペーンで「最大26.5%」のポイント還元を打ち出していますが、これはauスマートパスプレミアムの会員が、三太郎の日に食べログの対象店舗で支払った場合です。多くのユーザーがお得感を享受できないと思うのですが。
中井氏 キャンペーンに関してはいろいろ考えました。今回は「脱埋蔵ポイント」という言葉も出しましたが、「まずはポイントを動かしていただけませんか?」を最初の入り口にしています。ポイントを動かすことで価値変動を起こして、「たまるサービス」「お得に使えるサービス」を増やしていきたいと思います。
―― リソースは、コード決済に割いていくのでしょうか?
中井氏 お客さんのリワードが点在しているので、それをポイントに集中していこうというのが1つ。まずポイントに注力して、その中で、決済は分かりやすいですけど、決済以外のスマートマネー構造、金融サービスに対しても、お客さまが簡単に使っていただけるような世の中を作っていきたいと思います。
―― 今回のようなキャンペーンはau PAYだけでなく、Apple Payや物理カードのユーザーを対象にすることもあり得るのでしょうか。
中井氏 そういうことも、考えていくべきだと思っています。今回はau PAYを始めたばかりということで、分かりやすく、「まずは1回使ってみてください」という立て付けにしています。
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