コード決済はなぜ使わない? ユーザーの声から見えた課題(1/3 ページ)
PayPayの100億円キャンペーンを皮切りに、コード決済が日本でも盛り上がっている。そんな中でも、まだコード決済を使わない人も当然多い。なぜか? MMD研究所が開催したユーザーの座談会から、コード決済の課題が見えてきた。
QRコードを使ったスマホ決済が本格始動したのは、PayPay2018年12月に「100億円あげちゃうキャンペーン」を実施してからではないだろうか。どんな支払いでも20%還元となる大盤振る舞いは、他社の事業戦略にも大きな影響を与え、「LINE Pay」を中心に多くの事業者が追随した。その後、メルカリも参入したり、2019年4月からはKDDIが「au PAY」を始めたりと、さらなる盛り上がりを見せている。
そんな折、MMD研究所(MMDLabo)が一部の報道関係者と一般の人を招待し「コード決済利用者と興味者の座談会と体験会」を開催した。同会に参加したのは「既に決済サービスを利用している人」と「まだ使ったことがない人」を合わせた男女5人。
質問内容は大きく分けて「コード決済を使い始めたきっかけ」「普段の支払い手段」「コード決済のメリット・デメリット」の3つ。5人の意見からは、コード決済サービスが乗り越えるべき課題が見えてきた。
店員が認識していないためにコード決済が使えないことも
仕事の関係で渡米した経験がある中尾さんは、もともとは銀行口座しか所有していなかったこともあり、日本のキャッシュレスにはなじみがなかったという。初めて日本で使ったコード決済は「LINE Pay」。使う決め手となったのは、事前に銀行口座やコンビニなどからチャージして使えること。
LINE Payの他にも「PayPay」や「Alipay(アリペイ)」を使っているという。PayPayは第1弾キャンペーンでの還元額が1カ月あたり5万円と高く、1回あたり最大10万円が還元される特典もあったため、家電量販店にユーザーが殺到。中尾さんも仕事でPCが必要になり、高額の還元に引かれたという。
Alipayは仕事で中国に行ったときに加入し、現地ではほとんど毎日Alipayを使っていたという。普段はコード決済よりもクレジットカードの利用が多いとのこと。コード決済のメリットは、現金を持ち歩くよりはセキュアなこと、デメリットはバーコードを表示する画面が明るくないと読み取れないことだと中尾さんは言う。
中尾さんは小銭がとにかく嫌い。会計時に財布から小銭を探すのが周囲への迷惑へつながると感じる。中尾さんは、それを避けるためにクレジットカードを使っているとのこと。
QRコード全般というよりも、Alipayを日本で使って困ったこともあるそう。日本ではAlipayが認知されていないこともあり、居住地である埼玉のローソンではAlipayが使えるはずが、店員さんが認識していないため、使えずにいるという。
Alipayの良さは銀行口座引き落としの設定ができること。決済するとすぐに引き落とされる仕組みなので「リアルタイムでいくら使ったのかを把握しやすい」と話す。
サービスごとに機能や店舗が異なるのが困る
早坂さんは100億円キャンペーンがきっかけでPayPayに加入したという。使えるお店が会社によって異なるので、「還元率が良い点も評価ポイントです」と話す。PayPayの他にもLINE Payなども使っているが、メインはPayPay。
普段はドラックストアではPayPayで日用品などを1年分くらいまとめ買いしているという。一方、LINE Payで20%還元のキャンペーンが実施される際は、コンビニへ足を運んでいる。仕事の日にはランチを全てPayPayで支払い、LINE Payはスターバックスカードのチャージに使っているそうだ。
いろいろなコード決済サービスや各キャンペーンを上手に使い、お得なキャッシュレス生活を満喫している早坂さんだが、各サービスを使い分けるときに機能や使えるお店が異なることで悩んでいるそうだ。また、メインで使っているPayPayに導入してほしい機能として「割り勘」を挙げたが、この機能は2019年4月に実装済みで、早坂さんはそのことを知らなかった模様。決済サービスは日進月歩でアップデートされているが、そのスピードにユーザーが追い付くのも大変そうだ。
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