キャリアの脅威になる? IIJmioの「eSIM」が業界に与えるインパクト:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
IIJは7月18日から、個人向けのeSIM対応データ通信サービスを開始する。6GBプランしかなく、対応端末も限られるが、オンラインで気軽に“2回線目”を追加できるのは魅力だ。サービス詳細や、市場に与えるインパクトを検証する。
“ベータ”が取れた正式版のeSIMサービスにも期待が高まる
ただし、現状ではSIMロック解除の認知度はまだまだ低く、iPhoneのeSIMも半ば“隠れ機能”といえるほどで、自分の端末がeSIMに対応していると知らないユーザーも多いだろう。仮にeSIMの機能を知っていたとしても、テレビCMなどで大々的に訴求を図るわけではないため、IIJmioの新サービスが知れ渡るまでには時間もかかる。情報感度の高い、いわゆるリテラシーの高いユーザーから、徐々に浸透していくことになりそうだ。
また、料金プランも当初はライトスタートプランのみで、ドコモ回線を借りたDプランや、au回線を借りたAプランのような、データ容量の選択肢もない。ベータ版という位置付けのため、データ容量のシェアにも対応していない。仕様を限定しているのは、ベータ版として「早くお届けするため」(亀井氏)だったという。亀井氏は「最終的には、ご利用環境を考えると、IIJmioの3GB、6GB、12GBに組み込まれることになると思う」と語っていたが、ユーザーの選択肢が広がるだけに、プランの拡充は急務といえる。
iPhoneのeSIMは設定からQRコードを読み込むだけでなく、アプリ経由で設定することも可能だ。実際、海外の一部キャリアは、App StoreにeSIM契約用のアプリを用意している。ワンストップで、契約からeSIMのプロビジョニングまでできるのが、アプリをリリースするメリットといえるだろう。こうしたアプリも「ぜひやりたいと思っている」(亀井氏)と意欲的だ。
その先には、eSIMならではのユースケースも考えられる。例えば、普段MNOを使っているユーザーが、容量の足りなくなったときだけ、IIJmioで“ギガを買う”という使い方もありそうだ。今の料金体系では初期費用がかかり、「休止しても値段が下がることにはならない」(亀井氏)ため現実的ではないが、プリペイドのような形で気軽に使えるのも、eSIMの長所を生かしたサービスといえる。IIJではSIMカードとして展開している訪日外国人向けサービスも、eSIMであれば、より簡易な形で提供できる。
先に述べた通り、eSIM対応スマートフォンは、現状ほぼiPhone一択だが、これは国内にサービスがなかったためでもある。IIJがサービスの提供を開始したことで、端末を投入するメーカーも出てくるだろう。海外を見ると、メジャーなところでは、Googleの「Pixel 3/3 XL」や「Pixel 3a/3a XL」などがeSIMに対応しているが、国内版ではこの仕様がカットされてしまっている。IIJのサービス開始を契機に、端末のバリエーションが広がることにも期待したい。
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