コラム
問題発生時は「事後対応」を基本に――データ通信の「ゼロレーティング」 ルール作りが本格化(4/4 ページ)
一部のアプリやサービスにおけるデータ(パケット)通信料金を無料(免除)する「ゼロレーティング」。日本でも一部のMVNOや大手キャリアで導入が進む一方、「通信の秘密」や「ネット中立性」の観点から懸念の声も聞かれる。そのルール作りが総務省で本格化する。
日本では「事後対応」による対応を原則とする
ワーキンググループの母体となった研究会では、ゼロレーティングサービスの抱える問題について以下のような整理を行っている。
- ゼロレーティングサービスは萌芽(ほうが)的なサービスである
- 一律に禁止するのではなく、予見性確保の観点から一定の判断基準を示す
- ケースバイケースで事例を検証・分析する
- 問題が発生した場合は事後的に対応する
この整理に基づきルール作りが進むと、EU(ヨーロッパ連合)における「オープンインターネット規則」「ネットワーク中立性ガイドライン」に近いものが策定される可能性が高い。
- →Open Internet(ヨーロッパ連合:英語)
ワーキンググループでは今後、ゼロレーティングサービスを提供しているキャリア、CP、消費者団体などからヒアリングを実施する予定となっている。
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その後、2019年内に電気通信事業法などの関連法令に対する基本的解釈と具体的ケースをとりまとめる予定となっている。
日本でゼロレーティングサービスが始まって約4年。ようやくルール作りが本格化することになった。
ユーザーの利便性や選択肢と、通信の秘密やネットワーク中立性をどう両立していくのか、議論の動向に注目したい。
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