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NTTドコモが月額980円でスポーツ中継配信「DAZN」を開始――月額1750円からの大胆値下げで「差額の原資」に質問が集中石川温のスマホ業界新聞

NTTドコモと英Perform Groupが提携し、スポーツ中継サービス「DAZN(ダ・ゾーン) for docomo」を開始する。それに先だって開かれた会見後、ドコモの吉澤和弘社長が囲み取材に応じた。

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「石川温のスマホ業界新聞」

 NTTドコモは英パフォームと組んで、月額980円のスポーツ中継配信サービス「DAZN for docomo」を2月15日から開始すると発表した。記者発表会終了後、吉澤和弘社長が囲みに応じた。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2017年2月11日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。


―― 吉澤社長もサッカーファンだと思うが、今シーズン、スカパー!からDAZNへJリーグの中継が変わることについてどのように思うか。

吉澤社長 「衛星放送から変化といっても、マルチデバイス展開により、テレビも選択できる。それは手法がある。スマートテレビやセットトップボックス、Chromecastなどで実現している。新たなお客さんに対して、ドコモショップでそういったものを準備できないか検討を進めている。テレビでの視聴も当然できるように考えている。そういったことでいけると思っている」

(★ スカパー!が中継を辞めることで「テレビで観られない難民」が出てきそうな予感。DAZNはそうした人たちを上手く移行させることができるのかに注目)

―― ソフトバンクが対抗策を発表した。向こうが500円プランを辞めるというのは追い風だったりするのか。

吉澤社長 「機能が変わってグレードアップするということだと思う。私もまだ中身を見ていないのでわからない。こういったものが始まって間もない。スタートとしては980円といった値付けから始まるのはいいのかもしれない。ちょっと中身(ソフトバンクの改訂)を見てみたい」

(★ 日経がDAZNとドコモが組むというリーク報道したときぐらいから、対抗策を準備していたのかしら)

―― これまでキャリアフリーのサービスは他社ユーザーでも同じ料金だった。ドコモユーザーだけ安くするには初めてのとり組みではないか。

吉澤社長 「ドコモのネットワークでDAZNを利用していただきたい。これはドコモのほうがお得ですよということを打ち出したかった。ここだけはキャリアフリーと一線を画した」

(★ あまり料金値下げをやりたくない中、こうしたサービスにおける自社ユーザーを優遇した料金設定というのは今後も増えてきそう)

―― テレビでも利用できるが、モバイルでの利用はどの程度になると想定しているのか。

吉澤社長 「モバイルで利用してもらえる人を早急に100万件まで目指したい。それがどれくらいまで行くのかまだ何とも言えないところ。登録は最大6デバイスまで利用できる。どこにいっても観られるということで、モバイルは基本として考えたい。これに入ったら、モバイルなりタブレットで見ていただきたい」

(★ ドコモの営業力とJリーグのコンテンツ力なら、すぐに100万件は突破しそう)

―― ウルトラパックの利用が増えたりするといった狙いはあるのか。

:吉澤社長 「これでウルトラパックが売れるかどうかシミュレーションしきれているわけではないが、プラン変更する人も増えてくるのかなと思う」

(★ Jリーグの試合を見始めたら、ウルトラパックもすぐに使い切りそう)

―― 通信料金に関しては、7日に高市早苗総務相が「一定の施策を理解するが、まだ改善の余地がある」とコメントしている。

吉澤社長 「そうは言っても、データそのものをたくさん使っていただくと料金が上がるのは、当然のロジック。ただ、私どもとしては何でお客さま還元をするのか。料金だけではない。もっと幅広く考えていきたい」

―― サービスが向上する以上、料金が下がる余地はないのは仕方ないということか。

吉澤社長 

「そういう意味で言うと、パケットの単価を下げていくには、新しい通信方式などを入れながらやっていく。いまのLTEですぐにパケット通信量が多くなっても料金が上がらない、と言うふうにはならない」

(★ とはいえ、ウルトラパックはLTEが進化しなくてもいれてきたわけで。このあたりは競争が大事かと)

―― ソフトバンクのスポナビライブはキャンペーンでゼロレーティングを入れていたが、ドコモとしてゼロレーティングを導入する考えはあるのか。

吉澤社長 「いや、それは今のところそれはないかなと思っている。キャンペーンなどが必要であれば、ということだろうが、今は考えていない」

(★ せっかく、データ通信量を消費してくれるコンテンツなだけに、ゼロレーティングを入れる必要は全くないかと)

―― 利用料980円の内訳だが、ドコモとパフォーム社でどういった比率で分け合うのか。

吉澤社長 「シェアはするが、ビジネス上の条件であり、お答えできません」

―― DAZNとの交渉は、DAZNが日本でサービスを提供する前から始めていたのか。ドコモ独占という形で話が進んでいたのか。

:吉澤社長 「はじめからドコモがパートナーに決まっていたわけではない」

ドコモ担当者 「パフォームのほうから我々のほうに『一緒に何かやれないか』と打診を受けたのは1年ほど前。彼らがサービス提供するずいぶんと前のこと」

吉澤社長 「独占的に交渉を進めてきたというよりかは、パフォームがモバイル向けを強化する上で、ドコモからの条件により、パートナーが絞り込まれてきたのだと思う」

(★ パフォームはNTTグループと契約していただけに、こういう流れになるのは当然のことかと)

―― ドコモとDAZNについて。配信コンテンツのリクエストなどはできるのか。今の段階で追加したいスポーツはあるか。

吉澤社長 「相談することはできます。コンテンツの種類は網羅されていると思っている。個々については相談だが、今の段階で申し上げられるものはない」

(★ ラグビーは強化されていきそう。個人的にはドコモがスポンサーしているスーパーフォーミュラも入れて欲しい)

―― DAZN for docomoとDAZNの価格差は、ドコモが企業努力として、すべて負担するということか。

吉澤社長 「私ども自身のサービスですので、料金面では我々が負担すると考えていただいていい」

―― それはDAZNの1750円と、ドコモ版の980円の引かれた(770円)をドコモがDAZNに支払っているということか。

吉澤社長 「そうではない。1750円はDAZNの値付け。ドコモの回線契約なしでもその料金になる」

―― DAZN for docomoの1契約あたり、DAZN側には1750円の収入になるのか、980円になるのか。ドコモ側がまるまる負担してDAZN側は損しないというロジックなのか。

吉澤社長 「DAZNはDAZNのサービス、DAZN for docomoは私どもが提供する。あくまで980円をレベニューシェアするということ。1750円と980円との差額に対して何かするというわけではない」

(★ DAZNとしてはプロモーションをドコモがやってくれるだけに、980円以下で提供しても、問題ないと判断したのだろう)

―― あくまでこのサービスはドコモが提供するサービスで、コンテンツをDAZNから提供を受けているという形になるのか。

吉澤社長 「サービサーはドコモです」

ドコモ担当者 「利用規約は2つ踏んでいただきます。パートナーとしての関係です」

―― 980円にするというのは、決算会見で触れられていたお客様還元につながるものなのか。

吉澤社長 「それはちょっと違うんじゃないかと思っている。dTVを500円で提供しているのとを同じく、DAZN for docomoを980円で提供するということ。DAZNがやっているものに対して補うというものではない」

―― 他のd系サービスはMVNOが販売するケースもあるが、DAZN for docomoもその可能性はあるのか。

吉澤社長 「初期の段階ではない。実際に先方からの要望などもあるだろう。今の段階ではない」

(★ MVNOにとっても「データ通信量を消費してくれるコンテンツ」としてうま味はあるような気もするが)

―― dが付くサービスとDAZN for docomoは位置づけが異なるものなのか。

吉澤社長 「今回、協議をした。DAZNというブランドがグローバルで知れ渡っていて、スポーツ業界において存在感が高いため、そのまま使うことになった」

(★ せっかく、DAZNも頭がdなのにねぇ)

―― 早期に100万という目標を掲げたが、dTVを超えるほどのポテンシャルがあると考えているのか。

吉澤社長 「いずれにしても、dTVは450万契約程度だが、HuluやNetflixなどもあるため、ある程度のところで落ち着くと思っている。映像サービスについては、今回、スポーツのライブというサービスはドコモとしてまったくやっていなかった。そこにものすごく関心を持っていただいて手軽に使えるということで、100万件はぜひ達成したい。dtvがあるが、どこまでいくかわからないができるだけ近づけたい」

(★ スカパー!って328万契約なのね。そのあたりは軽く超えないと)

―― 月額980円というのは適正価格なのか。デフレマインドは影響しているか。

吉澤社長 「値付けは身近に手軽に見ていただくためのもの。いままでにはない視聴スタイルを作っていきたい。テレビはテレビとしてあるが、ファンを増やす意味でも手軽な料金で拡大したい。1000円を超えるのは手軽ではないのではないか」

(★ 確かに1750円は高いと感じたが、980円なら大満足)

© DWANGO Co., Ltd.

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