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“ドコモショック”があったが増収増益のIIJ 改正法案は「歓迎する」と勝社長

IIJが8月7日、2019年度第1四半期の決算を発表。売り上げは498.3億円で前年同期比11.1%増、営業利益は13.8億円で前年同期比58.8%増で、増収増益となった。ドコモの接続料が想定よりも低減しなかった分を含めても、増収増益となった。

 IIJ(インターネットイニシアティブ)が8月7日、2019年度第1四半期の決算を発表。売り上げは498.3億円で前年同期比11.1%増、営業利益は13.8億円で前年同期比58.8%増で、増収増益となった。


2019年度第1四半期の決算総括

 なお、営業利益の58.8%増は、ドコモの接続料の低減率が想定よりも低かった分を補正した上での数字。2019年3月に発表されたドコモの接続料改定は、当初IIJが見込んでいた14%を大きく下回る5%の低減率だったため、想定よりもネットワーク原価が20.5億円上乗せされた。これを2018年度の各四半期に配分して計算し直すと、2018年度第1四半期の営業利益は8.7億円となる。ここから58.8%増となる。


2018年度のネットワーク原価は、接続料低減率のギャップとなる分を、各四半期に分配している

 IIJの勝栄二郎社長は「3月にドコモショックがあった」と振り返るが、「いいビジネスサイクルに入った」ことを好調の要因に挙げる。「法人事業、フルMVNO、IoTサービスなどが好調で、いろいろな面でビジネスチャンスが生まれる」と話す。

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勝栄二郎社長(写真=左)と渡井昭久CFO(写真=右)

 2019年度第1四半期時点でのモバイル総回線数は278.6万となり、前年同期比で14%増。回線数の内訳は、個人向け「IIJmio」が107.4万、法人向け「IIJモバイル」が170.9万(うちMVNEは107.2万回線)。ここ1年でIIJmioは約4万増、IIJモバイルは約30万増となっており、個人よりも法人の方が好調な状況が続いている。

 モバイルサービスの総売上は113.4億円となり、うちフルMVNOは3.4億円。フルMVNOの売り上げは、2018年度第4四半期から49.9%増となった。渡井昭久CFOは「期を追うごとに積み上がっている」と手応えを話す。


モバイル回線の伸びは法人向けやMVNEがけん引している

 2019年の秋には電気通信事業法が改正され、端末値引き2万円まで、解約金は1000円といった新たなルールが適用される見込み。MVNOについては100万回線を超える事業者も改正法の対象となり、IIJも含まれる。勝氏は改正法について「われわれの意見も取り入れて作られたと思っている。省令の策定中なので、詳細な設計は出来上がっていないが、歓迎する立場である」との考えを示した。

 7月18日には、フルMVNOの仕組みを生かしたeSIMサービスを開始した。同社によると、初速は好調で、想定を超えるほどの申し込みが集まっているという。勝氏もeSIMについては「いろいろな可能性が出てくる」と期待を寄せる。特に法人向けのニーズが高いとみており、「いろいろなところから反響、問い合わせがある、IoTを進める上で、いいソフトウェアの開発だった」と話した。

 楽天モバイルがDMM mobileを買収したことで、DMMのMVNEであるIIJの回線がどうなるのか? という点について勝氏は「今交渉中だと思うが、すぐに切り替えるかは分からない」と述べるにとどめた。

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