「IIJmio」は売上減で回線数も横ばい 法人向けは好調も、どう立て直す?
IIJのモバイルサービスは、法人やMVNE向けは好調だが、個人向けIIJmioの伸びは鈍化。特に年末商戦は競争が激しく、苦戦したという。何かテコ入れは行うのだろうか?
IIJ(インターネットイニシアティブ)は2月7日、2018年度第3四半期の決算説明会を開催。22.2億円という営業利益は「1四半期の営業利益としては過去最高」と勝栄二郎社長は胸を張る。「新しいサービスを売り上げに結び付けるサイクルが確立されつつある」と評価する。
モバイル事業については、2018年12月末時点での総回線数は263.3万で、第1〜3四半期の累計売り上げは309.9億円。回線数は全体では第2四半期から約10万の純増だが、個人向けIIJmioは苦戦。12月末時点の回線数は104.9万で第2四半期から1000の純増にとどまった。これは2017年度以降を見ても過去最低の数字だ。
また、IIJmioの第3四半期の売り上げは56.6億円で、第2四半期の57.5億円から微減した。その理由として、端末セット販売と音声通話料が減少したことをIIJは挙げている。
一方、法人やMVNE向け回線は12月末時点で158.4万に達し、そのうちMVNEを除く法人向け回線数は58.5万。第2四半期から10.1万の純増と好調を維持している。フルMVNOサービスは第1〜第3四半期の累計売り上げ4.3億円に達し、2018年度で売り上げ5億円という目標に向けて順調に推移している。特に、訪日外国人向けのプリペイドSIM「JAPAN TRAVEL SIM」が好調だという。
1月には機器の基板に埋め込める「チップSIM」の提供も開始。2019年度にはeSIMを用いたサービスも開始予定。「法人ではIoTの需要にも応えていきたい」と渡井昭久CFOは意気込む。
渡井氏は「個人向けは競争環境があり、お金をかけていかないと伸びにくい面がある。MVNEに卸していく部分や法人向けでの獲得が、全体としてモバイル事業をけん引している」と話す。勝氏は「第3四半期は、年末商戦があって(個人向けは)競争が厳しかった」と振り返る。
2019年度第1四半期にはNTTドコモが料金値下げを予告しているが、「通信と端末が分離して端末代が高くなるので、通信料が安くなるのは当たり前」と勝氏はそれほど危機感は示さない。それよりも「競争観点から、MVNO向けの接続料を一緒に下げてもらわないと困る」と訴えた。
IIJmioについては、引き続き「品質を確保する」と勝氏。時間帯によってなかなかな速度が出ないのはMVNO全体の課題だが、「通常の回線増強以外にも特別な増強をしている」とし、品質強化に努める姿勢を示した。また、第4四半期ではキャンペーンを実施することでユーザーを獲得していくとのこと。
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