J-Debitの仕組みをスマホで 「Bank Pay」の狙う市場と戦略:モバイル決済の裏側を聞く(3/3 ページ)
2019年秋のサービス開始を予定している「Bank Pay」は、「J-Debit」の推進団体としても知られる日本電子決済推進機構(JEPPO)が提供するサービスだ。Bank Payは「既にあるシステムをスマートフォンに拡張」「各金融機関が提供しているアプリやサービスとの連携」を特徴としている。JEPPOがうたう「オールバンクのスマホ決済サービス」とは?
Bank Payの課題は加盟店開拓にあり
一方で課題はいくつかある。○○Pay各社は現在も必死で加盟店開拓を進めている最中だが、いくら大手金融機関とはいえ、加盟店開拓には限界がある。もともと金融機関各社は傘下にカード会社を抱え、これらが加盟店開拓を行い、この部隊をBank Payの加盟店開拓に活用する算段だとみられる。
ただ、こうした加盟店開拓が可能な金融機関は前述のように全国で50行程度であり、またカード会社の性質上、Bank Payのような仕組みよりも通常のクレジットカードの加盟店を開拓した方が収益的にはメリットがあり、なかなか加盟店開拓のインセンティブが働きづらいという問題がある。
一方、将来の収益を考えたとき、金融機関が手を組んで決済システムを組み上げるというのは銀行の地位低下を防ぐ上で大きな意味があり、これがオールバンクとしてBank Payがリリースされる結果へとつながっている。
ただ、金融機関のアプリ自体がどこまで活用されているのか、これをどう活用していくのかという面で各社の差は大きく、オールバンクといえどもその集合効果を生かすのはなかなか難しいだろう。サービスイン時点でBank Payのローンチにこぎ着ける金融機関や加盟店は限られる可能性が高いが、より長期的な視点で「銀行の存在意義」を見据えつつ、利用者の求めるサービスを提供してほしいところだ。
【更新:2019年8月22日18時34分 Bank Payのサービス開始時期を「2019年秋」に変更しました。】
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