「自分のデータ、どう使われている?」の不安解消へ ドコモが「パーソナルデータ憲章」を公表
NTTドコモが「パーソナルデータ憲章」を公表した。ドコモがパーソナルデータを取り扱う際の指針になるもので、透明性の確保や意思尊重を重視する。プライバシーポリシーも再編して、2019年12月11日から運用する。
NTTドコモが8月27日、最適なプライバシー保護を実現し、安心してドコモのサービスを利用してもらうべく「NTTドコモ パーソナルデータ憲章」を公表した。
パーソナルデータは、個人を特定できる個人情報に加え、個人の特定はできないが、機器やブラウザのIDなど個人に関するデータを含む。同憲章は、パーソナルデータ全般を対象としている。
パーソナルデータ憲章は、ドコモがパーソナルデータを取り扱う際の指針になるもの。同社は「会員」を軸にした事業戦略にかじを切っており、ドコモグループ内でのサービスとパートナーとの協業によるサービスで、さまざまなパーソナルデータを扱っている。その中心となるのが「dポイント」で、例えばdポイントを扱う加盟店に対し、ユーザーは(同意のもと)パーソナルデータを提供している。またドコモは「dカード」「d払い」といった決済サービスも提供しており、ドコモのサービスをよく使う人ほど、日常的にパーソナルデータを提供する機会が多くなる。
ドコモ 執行役員 デジタルマーケティング推進部長の白川貴久子氏は「全ての会員にさらなる価値を提供し、一人一人に合った提案をするために、パーソナルデータを活用している」と説明する。
一方で、「自分のデータがどこで、どのように使われているのか」は多くのユーザーが気になるところであり、こうした疑問や懸念に対して、適切に対応していく必要があるとドコモは判断。そこで、ユーザーに安心してドコモのサービスを使ってもらうために、同社の考えをパーソナルデータ憲章として明文化した。
パーソナルデータ憲章には、「ユーザーとのコミュニケーションを大切にし、透明性を確保すること」「ユーザーメリットや社会貢献を考えること」「一人一人の意思を尊重すること」「パートナーとの提携に当たってプライバシーに配慮すること」「適切なセキュリティ対策を行うこと」「新たなサービスを開発する際は、ユーザーのプライバシーに配慮し、評価する仕組みを運用すること」といった内容が盛り込まれている。
法務部長の坂下昭宏氏は「配慮がキーワード」だと話し、「画一的な基準で対応するのではなく、案件ごとにお客さまの気持ちに気を配る」よう努める。パーソナルデータ憲章を考えるきっかけとなったのは、2010年に開発した、ドコモの基地局情報をもとに推計される人口統計「モバイル空間統計」だったという。個人を特定する情報は使わないが、「単に法令を順守するだけでは安心して受け入れてもらえない」(同氏)と考え、透明性や意思尊重の確保を憲章に盛り込んだ。
ドコモは、パーソナルデータ憲章の制定にあたって有識者会議を3回にわたって開催し、ドコモの目指す行動原則を実践できるか、一般的な考えとズレがないか、といった点から有識者にアドバイスをもらった。2018年5月1日の制定後も、パーソナルデータ憲章が問題なく運用できているかを確認するPIA(Privacy Impact Assessment)会議を行い、約90件の案件を評価した。具体的には「my daiz」などのドコモサービス、マツモトキヨシなど外部との提携サービスなどを評価したという。上記の行動原則に基づいた運用が順調に進み、実績を積んでいることから、パーソナルデータ憲章の公表を決めた。
【訂正:2019年8月27日18時46分 初出時、有識者会議とPIA会議の内容が混同していたため、訂正いたしました】
さらにドコモは、「プライバシーポリシー」を再編し、2019年12月11日から運用を開始する。これまでのプライバシーポリシーは、電気通信事業、クレジットカード事業、金融業の3分野ごとに定めていたが、従来のパーソナルデータの取り扱い範囲を変更せずに(=ユーザーが同意し直す必要なく)、シンプルな構成に変更した。
新たに2つのコンテンツも提供する。1つが、パーソナルデータの活用事例をイラストで紹介する「知ってナットク!ドコモのパーソナルデータ活用」。もう1つが、ユーザーがパーソナルデータについて同意した事項や、第三者に提供されたパーソナルデータの同意状況などを確認できる「パーソナルデータダッシュボード」。これまで、パーソナルデータの提供に関して同意したものは、サービスごとにしか確認できなかったが、このダッシュボードからまとめて確認したり、同意したりできる。
再編したプライバシーポリシーも8月27日に公表し、適用する12月11日まで、ユーザーにはSMS、メール、店頭で配布するリーフレットなどで告知する。
ドコモはデータを適切に保護、活用することで、ユーザーに対しては「安心」と「おトク」を両立させ、災害対策や地域産業活性化などの社会貢献も目指すとしている。
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