冬春モデル、auが充実でドコモが控えめなのはなぜ? 分離プランや5Gの考え方に違い:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
ドコモは「4Gの集大成」とするスマートフォンをはじめとする7機種を発表。対するauは、記者会見こそ開催しなかったが、10月10日にフォルダブルスマートフォンの「Galaxy Fold」を独占的に取り扱うことを発表。2社のラインアップに対する考えを読み解く。
「4Gの集大成となる端末を、フルラインアップでご用意した」――こう語るのは、ドコモの吉澤和弘社長だ。同社は冬春モデルとして、スマートフォン5機種を発表した。
夏モデルから、ドコモのラインアップは「スマホおかえしプログラム」の対象になるハイエンドモデルと、もともと安価なスタンダードモデルの2つに分かれているが、冬春モデルは前者が3機種、後者が2機種。フルタッチ操作になった「キッズケータイ」や、フィーチャーフォンの「らくらくホン」を加えた、全7モデルを用意した。
対するauは、記者会見こそ開催しなかったが、10月10日にフォルダブルスマートフォンの「Galaxy Fold」を独占的に取り扱うことを発表。ラインアップも全9機種と多く、ドコモにはないソニーモバイルの「Xperia 8」や、シャープの「AQUOS sense3 plus サウンド」などのミドルレンジモデルまで幅広く展開する。対照的に見える2社のラインアップだが、ここからは、2社の分離プランや5Gに対する考えの違いも透けて見える。
2万円アンダーの「Galaxy A20」を目玉に据えつつ、ハイエンドも網羅
ドコモのスマートフォン全5機種の中で、目玉として扱われたのが、ミドルレンジモデルの「Galaxy A20」だった。吉澤氏は、「分離プラン時代には、スタンダードモデルが非常に重要になる」と語りながら、同モデルを紹介。発表会の壇上で、1万9440円(税別)という価格まで披露した。過去にも、“(税込みで)648円スマホ”として発売された「MONO」などで価格を強調する例はあったが、本体価格そのものが強調されたのは異例のことだ。
Galaxy A20は「非常にお求めやすいのが大きな特徴」(同)のモデルだ。2万円を下回る価格設定ながら、防水・防塵(じん)やおサイフケータイにも対応。「初めてスマートフォンを持つ人にも、ぜひオススメしたい端末」(同)に仕上がっている。
2万円を下回ることには、大きな意味がある。10月1日に、電気通信事業法が改正され、割引の上限が2万円に制限されたからだ。1万9440円のGalaxy A20であれば、販売状況に応じて、0円に近い価格まで下げることもできる。現時点では「補助の対象にするつもりはない」(同)が、フィーチャーフォンからの移行を促進する際に、「スタンダード端末にキャンペーンで補助をつけることもある」(同)という。
もう1機種の「AQUOS sense3」も、コストパフォーマンスに優れたモデル。プロセッサはSnapdragon 630、ディスプレイはフルHD+とベースとなるスペックが高く、おサイフケータイや防水・防塵といった日本仕様を盛り込みながら、2万8800円(税別)と3万円を下回っている。デュアルカメラや指紋センサーまで搭載した、隙のないミドルレンジモデルといえる。
【訂正:2019年10月14日7時46分 初出時に、AQUOS sense3のプロセッサをSnapdragon 636としていましたが、正しくはSnapdragon 630です。おわびして訂正致します】
スマホおかえしプログラムの対象になるのは、「Galaxy Note10+」「Xperia 5」「AQUOS zero2」の3機種。サムスン電子、ソニーモバイル、シャープと、ドコモで実績のある3メーカーのフラグシップモデルを、手堅く取りそろえた格好だ。一方で、スマートフォンには“ドコモ独占”のモデルがなく、他社にない「HUAWEI P30 Pro」が目立っていた夏モデルのラインアップと比べも、やや地味な印象が否めない。10月15日に米ニューヨークでGoogleが発表するとみられる「Pixel 4」の発売も見送ったようだ。
また、auが独占提供を発表し、話題を集めた「Galaxy Fold」についても「関心は持っている」(同)としながら、冬春モデルとしては取り扱わない方針を示した。吉澤氏は「発表があってからいろいろあり、少し時間はたったが、同時に3アプリ起動できるマルチビューに長けた端末。今回はないが、状況は検討中で、5Gとも親和性の高い端末になる」と述べ、後継機や5G版を導入する可能性には含みを持たせた。
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