インタビュー

おサイフ+防水対応で3万円台 「OPPO Reno A」はなぜここまで安い? トウ社長に聞くSIMロックフリースマホメーカーに聞く(2/2 ページ)

OPPOのSIMロックフリースマートフォン「Reno A」が好調に売れている。Reno AはSnapdragon 710を採用し、おサイフケータイや防水などの日本仕様にも対応しながら、価格を3万5800円(税別)に抑えたモデル。なぜここまで安くできたのか? オッポジャパンのトウ・ウシン社長を直撃した。

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A5 2020の方がMVNOやSIMフリー向け

―― 広告に指原さんを起用して以降、ユーザー層が変わったような実感はありますか。

トウ氏 指原さんを起用した理由の1つは、OPPOのブランドイメージに合っていたからです。多岐にわたって活躍し、皆さんに愛されている。彼女のおかげやマーケティング手法の結果として、昨年(2018年)は製品を既に知っているガジェット好きの消費者の方が多かったのですが、今年(2019年)は男性にも女性にも、若い方にも年配の方にも買っていただけるようになりました。地方でも売れるようになりました。消費者層を見ると、マスに広がっていることが分かります。


イメージキャラクターに指原莉乃さんを起用。「きょう、スマホを変えようと思って。」というキャッチコピーで訴求する

―― CMを見ると、端末名や機能のことにはほとんど触れられていません。どちらかといえば、ブランド広告に近いと思いますが、結果としてReno A以外の端末にも広告効果が波及したということはあるのでしょうか。

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トウ氏 詳しい数値は申し上げられませんが、確かにCMは、どちらかというとブランドイメージを高める構成になっています。具体的にどれかの製品を押すという意図ではなく、OPPOというブランドを認知していただき、長期的にOPPOを思い出していただけるCMになっているのではないでしょうか。

―― ほぼ同時期にA5 2020を投入しました。こちらの狙いや、すみ分けをどう考えているのかといった点を教えてください。


Reno Aよりも安い、2万6800円(税別)の「OPPO A5 2020」

トウ氏 こちらの方こそ、コストパフォーマンスを重視した消費者に向けた製品です。逆にReno AはRenoというブランドの1つで、日本に特化した新製品です。OPPOはこういうスマホを作っているというメッセージを送りたかった。技術力やデザインを追求している姿をお見せする意図がありました。

 ただし、どちらもキャリアモデル(Reno Aは楽天モバイル、A5 2020はUQ mobileで、MNOもしくはMNO傘下のサブブランドという意味合い)なので、発売のタイミングや値付けなどは、キャリア側の決断という側面があります。楽天モバイルさんやUQコミュニケーションズさんの判断も含まれています。

 個人的には2、3カ月ごとに新製品を投入したいと思っているのですが、キャリアは年2回しか発表をしません。メーカーだけで解決できる問題ではないので、難しいですね。

―― MVNOやSIMフリーという意味では、Reno AよりA5 2020の方がフィットしているとお考えでしょうか。

トウ氏 はい。A5 2020は「AX7」の後継機という位置付けです。

―― AX7も、売れ行きはよかったんですね。

トウ氏 まあまあでした。

―― (笑)。ところでOPPOには、Renoの他にFindシリーズがあり、さらにA5 2020のような製品もあります。それぞれの位置付けを改めて教えていただけますか。

トウ氏 A5 2020のAシリーズのネーミングについては、「X」がついていたり、いなかったり、年号がついていたりしますが、深い理由は正直分かりません(笑)。ただし、Aが頭文字についている端末は、コストパフォーマンスを重視しています。

―― とすると、その上にReno、さらに上がFindということですね。

トウ氏 その通りです。ただ、Renoには「Reno 10x Zoom」という機種もありますが、こちらも手に取りやすい価格で出しています。

まだ成長したとは思っていない

―― 今回の売れ行きを見ると取り扱いキャリアも増えそうですが、いかがですか。

トウ氏 来年(2020年)をご期待ください。

―― 10月には電気通信事業法が改正されました。こちらについて、どのような影響があったかを教えてください。

トウ氏 日本に限った話ではありませんが、キャリアのプランを選んでから端末を選ぶ方もいれば、好きな端末を選んでからキャリアを選ぶ方もいます。いちメーカーの本分として、どちらの方にもOPPOのブランドを選択肢に入れていただきたいと考えています。

 法律(改正・電気通信事業法)はまだ始まったばかりです。OPPOの製品がよくなったり、指原さんを起用したりといったこともあり、売れ行きがよくなっていても、それが分離プランだけの影響かどうかは分かりません。ただ、仮に分離プランだけでここまで製品が売れるようになるのであれば、指原さんは起用せず、その分コストを節約していたと思います(笑)。

―― キャリアが端末販売に及び腰の中、メーカーの責任というか、存在感というかが、より大きくなっている気はします。OPPOに関しては、サポート体制をどう強化していくお考えでしょうか。

トウ氏 オンラインで修理の受付ができるようなサービスが始まりましたが、アフターサービスもアプリで展開しています。OPPOのユーザーは、そこから製品の修理の申し込みができ、今、修理している製品がどのフローにいるのかを確認できます。

―― リアルな拠点を設ける予定はありますか。

トウ氏 今のところ、まだそのタイミングは来ていないと考えています。今後の拡大に伴い、それも検討していくので、ぜひご期待ください。

―― そろそろ年末です。参入2年目の2019年は、いかがでしたか。

トウ氏 この1年は試行錯誤してきましたが、至らない点があることは日々痛感しています。まだまだ成長したとは思っていません。

取材を終えて:楽天以外のキャリアがOPPO端末を扱う日は近い?

 トウ氏は偶然だとしていたが、Reno Aは、投入のタイミングも絶妙だった。特にSIMフリー市場は、下克上が起こりそうなほど、環境が激変している。シェア1位のHuaweiは米国の制裁下にあり、新規でGoogleのサービスを搭載した端末を発売するのが難しくなっている。2位のASUSは、台湾本社がハイエンドに集中する戦略を打ち出した結果、ミドルレンジモデルのラインアップが縮小中。結果として、市場には巨大な“穴”が開いている状況だ。高機能ながら価格はミドルレンジのReno Aが、ここを埋めた可能性が高い。

 取り扱いキャリアの拡大については明言を避け、多くは語らなかったが、トウ氏の表情を見る限り、感触は悪くなさそうだ。指原莉乃さんを起用したテレビCMや、Reno Aの売れ行き、おサイフケータイなどの日本仕様にいち早く対応する技術力の高さなどは、キャリアからも注目を集めている。楽天モバイル以外のMNOがOPPOの端末を取り扱う日も、そう遠くはなさそうだ。

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