5Gは「ARPU上げる」 楽天モバイルは「スカスカ」 決済は「連携」が重要――KDDI高橋社長一問一答(2019年第3四半期決算編)(3/3 ページ)
KDDIが2019年度第3四半期の連結決算を公表した。それに伴い、報道関係者向けの決算説明会が開催された。この記事では、報道関係者と高橋誠社長の主なやりとりを紹介する。
「au PAY」や「Pontaポイント」への取り組み
―― 第3四半期までの累計業績の進捗(しんちょく)が良いにも関わらず、通期の業績予想は据え置かれています。この3カ月間(1~3月)に何かあると見ているのでしょうか。
高橋社長 通期の営業利益は、予想の1兆200億円に近い形で着地させたいと思ってはいます。
私たちは持続的な事業の成長に向けて、エンゲージメント施策を強化する方針です。4月には楽天モバイルが(MNO事業に)本格参入しますし、ソフトバンクも「PayPay(ペイペイ)」に注力しています。そのこともあり、エンゲージメントにかかるコストがかさむと踏んで(業績を据え置いて)います。
―― エンゲージメントを高めるコストがかかるといいますが、具体的にはどこに(コストを)投下するのでしょうか。
高橋社長 先週発表した通り(関連記事その1/その2)au PAYにかなりの力を入れて行きます。楽天モバイルへの対策もありますし、(自社の)3Gから4Gへの巻き取りも積極的にやっていきます。
―― 御社が5月から導入を予定している「Ponta」に関連して、(Pontaを提供するロイヤリティ マーケティングの主要株主である)リクルートとNTTドコモが業務提携を締結しました。どのように受け止めていますか。
高橋社長 リクルートは今まで、2B(ビジネスユーザー)の開拓という文脈で(Webサービスなどで)Pontaを提供してきました。その点で同社は「Ponta以外のポイントプログラムも提供したい」という思いがあったようで、私たちもそれは理解していました。なので(リクルートとドコモの提携には)そこまで驚いてはいません。
私たちの取り組みは、特にローソンとは単純に提携を結ぶだけではなく、アプリケーション面の連携はもちろん、ビッグデータを活用してお客さまに新しい体験価値を提供する取り組みなども行います。その流れの中で、私たちはPontaをいかに良くしていくのかという点でリクルートともしっかり話はできています。
ポイントの奪い合いについては、前から言っている通り、「なんとかPay」(決済サービス)はポイントを発行する仕組みと連携していないと生き残れないと考えています。
(決済サービスを提供する)どこの会社を見ても、加盟店の開拓にかかる費用は非常に重く掛かっています。そのような中で生き残ろうと考えると、モバイル口座(プリペイド残高など)にお金が入ってくる仕組みがになってきます。
いろんな調査会社がモバイル決済に関するレポートを出していますが、PayPayだけがすごいという訳ではなく、ポイントやコマース(モノの売買)が連携しているサービスも強いということが分かります(参考記事)。しっかりとした(お金の)循環を作れるところが強いのです。
私たちはコマースとしてau Wowma!をやっていますが、これがお客さまのエンゲージメントを高める効果を持つことは分かっています。引き続き、力を入れてやっていきたいと考えています。
―― メルペイがOrigamiを買収することになりました。Zホールディングス(ヤフーの親会社)とLINE(LINE Payの親会社)の経営統合と合わせて考えると、決済業界の再編は今後も続くと思われます。
このような流れの中、au PAYを提供する事業者としてどう(決済)事業を進めていくお考えでしょうか。
高橋社長 今まで「なんとかPay」が乱立してきた訳ですが、今後、合従連衡が続くことは間違いないと思います。
先ほども言いましたが、加盟店開拓は非常に費用がかかることです。内実は分かりませんが、Origamiも決済手数料(による収入)よりも加盟店開拓費用の方が非常に大きくなってしまい、採算的によろしくない状況になってしまったのだと思います。(先日通期決算を発表した)LINEも同様の状況になっていると思われます。あるいは、(好調に見える)PayPayについても、(本分であるはずの)ペイメント部分の採算は非常に厳しいはずです。
そうなると、費用のかかる加盟店開拓については「できるだけ協力しよう」という話になってくると思います。私たちもできるだけ多くの事業者と加盟店の共同開拓をしたいと考えていて、楽天やメルペイとは契約を結んで共同開拓を進めています。
とはいえ、メルペイがOrigamiと一緒になるのは驚きました。
今後は、繰り返しですがモバイル口座にポイントをどう組み入れるかという点が重要になってきます。その中で負けないように頑張っていきます。
関連記事
下期の競争は落ち着く? 楽天モバイルとどう付き合う?――KDDI高橋社長一問一答(2019年第2四半期決算編)
KDDIが2019年度第2四半期の決算を発表した。第1四半期で減益となったものの、第2四半期では増収に転じたため、通期の業績予想は据え置いた。この記事では、報道関係者向け決算説明会での高橋誠社長との主なやりとりを紹介する。端末単体で容量無制限の「auデータMAXプランPro」が1500円値下げ テザリング時などのデータ容量も増量
auのデータ無制限プランが値下げした上で、無制限対象外通信の月間容量制限を緩和する。既存ユーザーも含めて、2月1日から適用される。auの決済サービスブランドは「au PAY」に アプリやカードの名称を変更
KDDIが、2020年2月4日に「au WALLET」アプリを「au PAY」アプリに名称を変更する。同日以降、au PAYアプリのトップ画面にコード決済用のバーコードを表示する機能を追加する。カードやECサービスなどの名称も変更する。「au PAY」は後発でも戦える――KDDI高橋社長が語る強み
KDDIが4月にサービスを開始する予定の「au PAY」。バーコードやQRコードを用いる「コード決済」サービスとしては後発だが、KDDIの高橋誠社長には勝算があるようだ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.