好調「LINEモバイル」は改正法の影響なし 新料金プランで“安さ”のニーズに応える
大手キャリアの値下げや法改正が行われる中でも、堅調にユーザー数を伸ばすLINEモバイル。そんな中で同社は料金プランを刷新する。今村隼人副社長が、LINEモバイルの現況と今後の戦略を語った。
LINEモバイルが2月19日から料金プランを刷新する。大手キャリアの値下げや法改正が行われる中でも、LINEモバイルは堅調に契約数を伸ばしており、ユーザー層も広がっている。そんな中でなぜ料金プランに手を加えるのか。同社の今村隼人副社長が、LINEモバイルの現況と今後の戦略を語った。
LINEモバイルは2019年4月からau回線を使ったサービスを提供し、ドコモ、ソフトバンク、auの回線をそろえた“トリプルキャリア”を実現。「どのキャリアを使っている人でも、端末をそのまま乗り換えていただく体制が整った」と今村氏は振り返る。9月にはLINEモバイルのサービス開始から3周年を迎え、12月時点で累計ユーザー数が前年比で165%となり、「成長率は主要MVNOでも圧倒的ナンバーワン」と同氏は胸を張る。
特に音声SIMのユーザーが増えており、音声ユーザー比率は2017年12月の65%から、2019年12月には75%に向上した。これは「LINEモバイルをメイン回線で使う人が増えていることを意味する」というのが今村氏の見立てだ。
男女別では女性ユーザーが2019年に増えており、2017年には男女比が56:44だったところ、2019年は50:50になった。年代別で見ると18歳未満の新規申し込みユーザーが右肩上がりで伸びており、2019年時点で前年比201%増だったという。このように、LINEモバイルは幅広いユーザーに浸透していることがうかがえる。
「子どものユーザーに対して、大手キャリアを中心に学割、家族割、複数回線の割引で囲い込みをやっているが、そういった中でも、LINEモバイルは、子どもやファミリー、幅広い方々に受け入れられる」と今村氏は手応えを語る。
2019年10月に電気通信事業法が改正され、MNO(ソフトバンク)のグループ会社であるLINEモバイルも、新たな規制の対象となった。また、2019年は大手キャリアが料金プランを値下げした。これらの影響で契約数が伸び悩むMVNOもあるが、LINEモバイルによると、大きな影響は受けておらず、先に述べた通り、堅調に契約数を伸ばしている。それでも市場の変化には注目しており、改正法や大手キャリアの動きは「通信料を少しでも安くしたいというお客さんのニーズ」が根底にあると今村氏はみる。
そこで、ユーザーの(料金を安くしてほしいという)ニーズに応えるべく、2月19日から料金プランを刷新する。
新料金プランの要点は、基本料金を値下げしつつ、LINEモバイルの特徴であるSNSや音楽サービスのデータフリー(カウントフリー)をオプション扱いにしたこと。なおLINEのデータフリーは、どのプランにも含まれており、別途料金は発生しない。
こちらは旧プランのコミュニケーションフリー。3GBは新プランのSNSデータフリーよりも安く、しかも旧プランならInstagramも使い放題になる。このように、新料金プランが必ずしもお得になるわけではない
ただし旧プランと新プランを比較すると、新プランが全面的に安いわけではない。例えば、新プランのTwitterとFacebookのSNSデータフリー(月額280円)を組み合わせた3GBの音声SIMは月額1760円(税別、以下同)だが、旧プランの「コミュニケーションフリー」は同じ3GBの音声SIMだと月額1690円なので、新プランの方が70円高い。しかも新プランのSNSデータフリーにはInstagramが含まれておらず、Instagramもデータフリーで利用するには、月額480円の音楽SNSデータフリーを契約しなければならず、+200円値上げになる。
InstagramをSNSデータフリーに含めなかった理由について今村氏は「コミュニケーションツールとして使われているSNSを、SNSデータフリーに入れている。(Instagramは)どちらかというとエンタメ、密なコミュニケーション以上のものが含まれているので、カテゴライズしなかった」と説明する。
データ容量は、LINEデータフリーのみを含む基本プランのみ、お試しで使ったり、維持費を抑えたりできるよう下限を500MBとしているが、SNSデータフリーと音楽SNSデータフリーを組み合わせる場合、500MBは設けず、3GB、6GB、12GBとシンプルな構成にした。旧プランとの比較だと、3GBは変わらず、中間の5GBと7GBを6GBにまとめ、上限は10GBから12GBに上げた。ただし旧プランの10GBと新プランの12GBを比べると、データ容量が上がった分、料金も上がっている。
LINE以外のSNSや音楽サービスのカウントフリーをあえてオプションとしたのは「基本料金を極力下げたいという狙い」があると今村氏は説明する。同社は音声SIMで3GB、月額1480円は業界最安だとアピールする。しかもこれはキャンペーンではなく、ずっと適用される価格だ。加えてここにはLINEのデータフリーが含まれる。
LINEモバイルユーザーの満足度調査では、「毎月の料金が安い」が60%でトップだった一方で、「データフリー」は5位の37%だったことから、基本料金の値下げを重視したことが分かる。
2020年夏には、お試しで利用できるよう、プリペイドSIMの提供も予定している。「本当に使えるのか」「居住エリアでも使えるのか」といった不安を解消するのが狙いだ。日本に短期滞在するユーザーの利用も想定しており、東京2020オリンピックでさらに増加する訪日外国人の利用も見込んでいるようだ。
「ただ安いだけでなく、安心して使っていただきたい」と話す今村氏。2020年は新料金プランとプリペイドSIMがLINEモバイルの大きな武器になりそうだ。
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