店舗が「d払い」「dポイント」を導入するメリット ユーザー向けのキャンペーンはどうなる? ドコモに聞く:モバイル決済の裏側を聞く(3/3 ページ)
NTTドコモの決済サービスは、これまでdカードとdポイントが中心だったが、コード決済を導入することで「d払い」に注力している。物量作戦で利用可能店舗を拡大するPayPayに対し、ドコモはどういった戦略を打ち出しているのか? 店舗とユーザーの視点で聞いた。
継続利用につながるキャンペーンを続ける
利用客側に対しては、「d払いは決済だけでなく、より便利な生活に密着したアプリを目指している」と田原氏。当初は決済だけのシンプルなアプリだったが、その後チャージや送金などにも対応。決済機能は磨きつつ、いろいろなパートナーと生活に便利な機能をミニアプリとして盛り込んでいく考えだ。2020年度はさらにパートナーを拡大して、それをアプリ内に分かりやすく提示するUI(ユーザーインタフェース)を検討しているという。
現状、利用者の拡大につながる大型キャンペーンの取り組みについては、「いつも社内で議論になる」。dポイントという会員基盤があり、7400万ユーザーにリーチできる他、ポイント流通量も2000億ポイントに達しているため、大型キャンペーンでのユーザー拡大を狙うよりも、既存のdポイントの会員基盤を生かすことで利用拡大を図る。「インパクトは強くないかもしれないが、継続利用につながるようにしていきたい」という。
個人的には、アプリの起動の重さ、定期的に発生するアプリのログアウトといった基本的なアプリの設計について気になっていたため尋ねてみたが、田原氏は「まさに対応しようとしているところ」と話す。できるだけ早期にアプリのブラッシュアップをしていく考え。また、得られたポイントがいつ付与されるかといった点も分かりづらいが、こうした点も「ロードマップに入っている」そうで、今後順次改善されるとのことだ。
提携を進めるメルカリとは、メルペイ加盟店でのdポイント付与や利用、メルカリでの売買に伴うdポイント付与などが可能になる。田原氏は、ドコモに多い40代以上のユーザーに対し、メルカリに多い10~20代のユーザーに訴求できることで補完関係にあることに期待を示す。また、リアル店舗が多いdポイント加盟店で、オンラインの加盟店拡大という意味でも、メルカリとの提携を重要視する。
ドコモの強みは共通ポイントとして強いdポイントを擁している点で、強みをさらに生かすためには、d払いの加盟店拡大や基本性能の向上、より使いやすいサービスの提供といったさらなる強化が求められているだろう。
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