楽天モバイルがサービス開始日にローミングを5GB、超過時1Mbpsに改定――「赤字覚悟で捨て身の作戦か」業界から相次ぐ心配の声:石川温のスマホ業界新聞
楽天モバイルが、キャリア(MNO)サービス当日に料金プラン「Rakuten UN-LIMIT」の提供条件を一部変更した。これによりユーザーの利便性は高まるが、サービスを提供する側に立つと「これで大丈夫か?」と不安になるのも事実だ。
4月8日、楽天モバイルが本格的にサービスを開始。その朝、2.0として、サービスの改定を発表したのには驚いた。ローミングエリアでの上限を2GBから5GBにするだけでなく、超過時の速度制限を128kbpsから1Mbpsにしたのだ。
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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2020年4月11日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額税別500円)の申し込みはこちらから。
ユーザーの立場とすれば、今回の改定により、楽天モバイルが一気に魅力的に見えるようになった。運よく楽天モバイルのエリアであれば使い放題、使えなくてもauネットワークが5GBまで使え、使い切っても最大1Mbpsでつながってしまう。相当、競争力を増したと言えるだろう。
ただ、業界関係者の目線で見れば、「楽天モバイル、大丈夫か」と本気で心配になってくる。料金プランは2980円なのに、KDDIに2500円も支払うとは驚きだ。しかも、わずか数百円しか残らない中で、携帯電話事業を運営し、さらにこれから2万以上の基地局を全国に敷設していかないといけない。
三木谷浩史会長の「大盤振る舞い」といえば聞こえはいいが「赤字覚悟の捨て身」にも見えてしまう。
サービス開始のタイミングで、内容を一新するというのは、かつてのソフトバンクもやっていた。当時はゴールドプランとして、月額9600円でソフトバンク宛の通話は一部の時間帯なら無料であった。孫社長は自信満々でゴールドプランを発表したが、1万円近い高額な基本料金に一般ユーザーから総スカンをくらってしまい、その後、ソフトバンクは月額980円のホワイトプランを投入。ゴールドプランは※印ばかりでユーザーの不信感を買ったが、ホワイトプランは徹底的にシンプルな設計にすることで、なんとか軌道修正を果たすことができたのであった。
当時のソフトバンクも「採算を度外視しているのではないか」という指摘があったが、孫社長は「大きな利益は上げられないが、ユーザーが増えることで健全に採算が取れるのではないか」としていた。ソフトバンクの場合、ホワイトプランのあと「iPhone」という神風が吹いたことで、なんとか事業を黒字化にすることができた。
楽天モバイルの場合、仮にユーザーが増えたとしても、他に儲ける要素が見つけにくという点が気になる。また、ユーザーが増えることによって、結果として、KDDIだけが儲かり、高橋誠社長がほくそ笑んでいる構図が、ソフトバンクとは明確に違うのだ。
今回の改定は、三木谷浩史社長の「ええカッコしい」だけで、決まってしまったのではないか。採算は間違いなく度外視なのだろうが、この先、基地局を計画通りに建設していけるのか、計画通りに2023年度に黒字化できるものなのか。本当に心配だ。
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