「Mate 30 Pro 5G」の反響、「P40」シリーズの展開は? ファーウェイ・ジャパン呉波氏に聞く:SIMロックフリースマホメーカーに聞く(1/3 ページ)
5Gに対応しながら、キャリアが扱わない「HUAWEI Mate 30 Pro 5G」は、予想を上回る反響だったという。Google Mobile Serviceは依然として使えないが、日本でニーズの高いアプリの配信を進めているという。P40シリーズは全て5Gで展開することも明かされた。
ファーウェイ(Huawei)が4月17日に発売した「Mate 30 Pro 5G」は、“異例ずくめ”のスマートフォンだ。その名称からも分かる通り、同機は5Gに対応しているが、国内ではどのキャリアも取り扱っていない。3月に商用サービスが開始されたばかりの5Gに合わせてSIMロックフリーモデルを投入するのは、まさに異例。もちろん、5Gスマートフォンとしては、国内初のSIMロックフリーモデルになる。
同時にこの端末は、Huaweiが日本市場に投入するスマートフォンとして、初めて「HMS(Huawei Mobile Services)」が採用された。米国からの制裁が続くHuaweiは、Googleとの取引が禁止されており、一般的なAndroid端末に搭載される「GMS(Google Mobile Service)」を利用できない。代替案として、自身でアプリストアやAPIをそろえていく方針だが、それを採用した端末が、いよいよ日本にも登場したというわけだ。発売に先立ち、ネットで先行販売を受け付けたのも、異例の対応といえる。
一方で、米国の制裁はいまだ解除されておらず、HMS採用スマートフォンの投入は、今後も続く可能性が高い。GMS非対応の場合、キャリアが取り扱うのも難しくなるため、SIMロックフリーモデルとして投入せざるを得ない事情も現時点では変わっていない。その意味で、Mate 30 Pro 5Gは、Huaweiの今後の行方を占う重要な端末といえる。この端末を投入した狙いや反響とともに、HMSの今後の展開について、ファーウェイ・ジャパンで日本・韓国リージョンプレジジテントを務める呉波氏に話を聞いた。
Mate 30 Pro 5Gは予想を上回る反響だった
―― Mate 30 Pro 5Gが発売されました。反響はいかがでしたか。
呉氏 先行販売は、われわれの予想を上回るものでした。予約数も、販売数を超えていました。日本が新型コロナウイルスの影響を大きく受けている中、それでも買いたいという消費者がたくさんいたことには、感謝しています。
今回は、先行販売で購入された方の意見調査も行っていますが、いただいた内容は非常にポジティブでした。この端末のカメラやAI、充電に関しては、高い評価を得ています。購入者の中には、5Gでどういったアプリケーションが使えるのかを楽しみにしているという声もありました。この先行販売で、一般向けの販売拡大に関して、自信を持つことができました。
この意見調査の中には、より具体的なアドバイスもありました。次の段階では、こうしたご意見を満たすようにしていきたいと考えています。
―― 具体的なアドバイスとは、どういったものでしょうか。
呉氏 特に多かったのは、アプリに関するご意見です。(AppGalleryに載る)アプリに関しては、既に契約を結んでいるものもありますが、機密保持契約があるので、今の段階ではどのタイミングでとお知らせすることはできません。ただし代替案はご用意しているので、(今まで使えた機能が)まったく使えなくなるということはありません。
日本のキラーアプリは2020年内には使えるようになる
―― 現状ですが、アプリ数はどの程度まで拡大しているのでしょうか。
呉氏 グローバルのAppGalleryは既に9年間配信をしてきた実績があり、4億人のユーザーがいます。日本でも、トップコンテンツプロバイダーとはお話をしています。その中で、日本の消費者が常用しているアプリを改めて整理しました。その中では、買い物やライフスタイル、トラベル、エンターテインメントなど、さまざまな分野のアプリが網羅されています。今のところ、話し合いは順調に進んでいて、進捗(しんちょく)についても予想通りです。
弊社では、HMSの開発者向け公式サイトを開設しています。そちらでは、最新のHuawei端末の情報や、クラウドサービスのホワイトペーパーも発表しています。HMSは既に170の国や地域でサービスを始めていて、登録作業も始まっていますが、世界でのアプリの登録数は、かなり多くなっています。これはわれわれの予想を上回るものです。先行する2社(AppleとGoogle)が十数年の時間をかけてエコシステムを構築してきたのに対し、数年という短時間ではありますが、基本的なところまではできたと考えています。
―― ファーウェイ・ジャパンでは、日本向けのアプリ開拓を行う体制を整えているのでしょうか。専門の部署を作るなど、何か動きがあれば教えてください。
呉氏 実は昨年(2019年)の時点で、社内に専用の部署を立ち上げました。開発者との連絡を取ったり、AppGalleryを推進したりするというのが、その役割です。HMSのブランディングをするチームや、ビジネスデベロップメントを行うチームもいます。また、DTSEという、ネットワークにアクセスするための試験をするチームも抱えています。社内には22人の日本語を話せるエンジニアもいて、アプリの登録や対応の作業をしています。
―― めどで構いませんが、日本向けのアプリが増えてくるのは、いつごろになるのでしょうか。
呉氏 アプリの中には、ライト版のようなものも存在します。例えば、某メッセンジャ―アプリについてはライトバージョンがあり、こちらは既に弊社のAppGalleryに登録されています(ただし、日本では利用できない)。重要なアプリにはいろいろなバージョンがあり、フル機能でないものが登録されている場合があります。
逆に、そういったライト版がなく、まったく使えないアプリもあるので、そういった場合は、別の会社のアプリを代替案として提供するようにしています。まったく使えないのでは困るので、違うアプリで(機能を)ご提供するようなこともしています。
日本のキラーアプリについては、急いで取り組んでいるところです。進展については計画通りで、非常にいい結果になると信じています。先ほど申し上げたように、NDAがあるため具体的なタイミングをお話しすることはできませんが、間もなくということは言えます。来年(2021年)まで待っていただくようなことにはなりません。
―― 日本で使えるアプリは、現状どのぐらいの数になるのでしょうか。
呉氏 先週の時点(4月の第2週時点)で、グローバルでは、マイルストーンと呼べるようなところまで来ることができました。ここに至るには、当初、あと6カ月から9カ月程度かかると思っていたので、半年程度前倒しで達成できたことになります。日本で利用されているアプリに関しては、海外製のものも多いため、数でいうと、100や1000をはるかに上回る数量になると思います。
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