「Mate 30 Pro 5G」の反響、「P40」シリーズの展開は? ファーウェイ・ジャパン呉波氏に聞く:SIMロックフリースマホメーカーに聞く(2/3 ページ)
5Gに対応しながら、キャリアが扱わない「HUAWEI Mate 30 Pro 5G」は、予想を上回る反響だったという。Google Mobile Serviceは依然として使えないが、日本でニーズの高いアプリの配信を進めているという。P40シリーズは全て5Gで展開することも明かされた。
P40シリーズは全て5G対応になる
―― 話を端末に戻しますが、GMS非対応のMate 30 Pro 5Gを日本市場に投入した狙いを、改めて教えてください。
呉氏 今年は、日本の5G商用化元年だからです。
Huaweiは、5Gの標準必須特許を全体の20%程度保有しており、5Gに対する貢献度ではナンバーワンです。Mate 30 Pro 5Gは、5Gの分野においても、半年から1年程度、先行しています。この端末は世界初となる「第2世代の5Gスマホ」で、シングルチップのSoCで、2Gから5Gまで、全ての規格に対応しています。しかも、NSA(ノンスタンドアロン)とSA(スタンドアロン)に両対応で、4Gと5GのDSDS(デュアルSIM/デュアルスタンバイ)も可能と、非常に優れた接続体験を提供できます。
昨年9月にグローバルで発表して以来、日本の消費者からは、ネットやホットラインを通じて、「ぜひ発売してほしい」というお声を頂戴していました。日本ではMateシリーズのユーザーも多くいるので、5Gの商用化に合わせて発売することにしました。こういった消費者の声は、3大キャリアにもお伝えしています。
3大キャリアのIOT(相互接続性試験)は全て行っており、さまざまなところで接続試験を実施してきましたが、理想的な結果を得ることができています。IOTは終盤に差しかかっており、アップデートも今後順次行っていきますが、現段階でも、世の中に出ている5Gスマホの中では、通信性能がズバ抜けていると、自信を持って言うことができます。(購入者は)ぜひ、3キャリアのSIMカードを挿し、5Gのエリアに行って速度を測ってみてほしいですね。3月に先行発売したのも、5Gの商用化に合わせてのことです。
―― 現状では、フラグシップモデルのMate 30 Pro 5Gしか5Gに対応していませんが、今後は、Huaweiの得意とするミドルレンジモデルも対応していくことになるかと思います。これは、いつごろになりそうでしょうか。
呉氏 もちろん対応していきます。間もなく発表するP40シリーズは、全てが5G対応になります。P40シリーズの中の「P40 lite」は既に欧州で発売していますが、これは4Gモデルでした。しかしながら、日本では全てを5Gにしていこうと考えています。
―― もうliteも5Gになるんですね。一方で、やはりHuaweiのGMS搭載端末が欲しいという人は多いと思います。直近では、2月に「nova 5T」を楽天モバイルが取り扱うようになりましたが、昨年の端末であれば、使い勝手もそこまで大きくは変りません。カラーバリエーションなどを投入していく計画はないのでしょうか。
呉氏 その可能性はあります。実際に今、可能性を検討しているところです。お話にあったnova 5Tも非常に好評でした。楽天が3月にキャンペーンを行いましたが、その初日に、楽天市場で販売ランキング1位になっています。ランキングは生活用品まで含んだものでしたが、マスクやトイレットペーパーよりも上だったということです(笑)。このキャンペーンでは、1日で1カ月分の在庫を売り切ることができました。P30 liteも非常によく売れた端末で、こちらもランキングで1位になっています。
日本のキャリアは引き続き重要なパートナー
―― 先ほどIOTは通すとのお話がありましたが、キャリアが取り扱うとなると、やはりハードルが高いようにも思えます。今後、キャリアとの関係はどのようにしていくのでしょうか。
呉氏 Huaweiのコアバリューは消費者第一で、お客さまにとっての価値を創出することを理念にしています。5Gの分野において、イノベーションと先行性を保つことができ、消費者の予想を上回れれば、自分たちの地位を確立できると信じています。日本の通信事業者は、弊社にとって引き続き重要なパートナーで、今でも従来通り、交流は続けています。この安定した、良好な関係は、今後も保っていきたいと考えています。
既存のモデルでは、ドコモが販売しているタブレット(dtab)や「P30 Pro」が好調です。3月、4月と在宅勤務の人が増え、製品に対する需要が何倍にも拡大しました。さらに、4月8日のBCNによると、キャリアのスマホの中で「P30 lite」が1位になっています。モデル別で見たとき、iPhoneを販売台数で超えた初のAndroidではないでしょうか。このように、キャリアからも消費者からも、Huaweiの端末は気に入られています。
これまでも皆さんから目標を聞かれたときに、「生き残ること」とお答えしてきましたが、この1年で言葉の意味はよく理解していただけるようになったと思います。私は、この戦いを長距離走だと考えています。50mや100m走のようにダッシュして終わりではなく、長距離走のつもりでこれからも頑張っていきたい。そのためには、常に謙虚な姿勢でいることが大切です。これがDNAに刻み込まれているため、劣悪な環境下でも生き残ることができました。
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