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米国の規制強化でプロセッサ製造の道も絶たれたHuawei 業界への影響は?:山根康宏の中国携帯最新事情(2/2 ページ)
2020年第2四半期の世界のスマートフォン出荷台数でHuaweiがついに1位となった。しかしHuaweiが好調なのは中国国内市場のみで、他国での比率は下がっている。米国の機器やソフトを用いたプロセッサ製造の道が絶たれたことも大きい。
Huaweiの停滞は業界にとって大きな痛手
Huaweiのスマートフォンの出荷量が落ち込んでも、Samsung、Xiaomi、OPPO、Vivoがその分をカバーすることから世界のスマートフォンの年間総出荷台数が落ち込むことはないだろう。だがスマートフォンの技術をけん引してきたHuaweiが市場で存在感をなくすことは、業界にとって大きな痛手となる。
Huaweiはスマートフォンのカメラの高画質化やAIによるシーン判別などで業界をリードしてきた。Leica(ライカ)がHuaweiを協業先と認めるほど、Huawei製品の品質は高い。Kirinはハイパフォーマンスなだけではなく省電力にも優れ、AI機能の統合もいち早く進めてきた。さらに5Gモデムの性能も高い。そしてこのHuaweiのスマートフォンやプロセッサに対抗しようと、各メーカーは開発競争を行ってきたのである。ところがこのトップの座にいるメーカーが不在となれば、スマートフォンの技術開発ペースがスローダウンしてしまうことは必須だ。
Huawei問題は業界全体の技術革新の停滞を引き起こしかねない。しかし米政府は技術の進化よりも、自国にとって安全性を確認できない企業を徹底的に排除する姿勢を見せている。11月の米大統領選挙を控え、この問題はまだしばらくさまざまな影響を業界に与えるだろう。
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