Apple Watchの「Series 6」と「SE」、どちらを選ぶ? 実際に使って分かった“違い”(4/4 ページ)
前モデルから正統進化を遂げた「Apple Watch Series 6」と、価格を抑えた「Apple Watch SE」について、実際に両機を使ってみた印象を交えつつ、購入検討時にどんなところにチェックすればよいのかを紹介していこう。
血中酸素の測定ってどうなの?
新たに追加された機能としては、常時計測対応の高度計と、血中酸素ウェルネスの2点がある。前者はSeries 6とSEで共通して使えるが、後者はSeries 6だけの機能であるという意味で、ここで確認しておきたい。
この血中酸素ウェルネス機能は、「SpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)」という値を、簡易的に測定できるものだ。血中の酸素は、赤血球が含むヘモグロビンが結合して運ばれる仕組み。SpO2はこのヘモグロビンが酸素と結合している割合を%で示す。医療シーンでは、この測定に「パルスオキシメーター」という機器が使われており、指先に挟むようなスタイルで計測を行う。Apple Watch Series 6では、これを腕の装着部で行う。そのため、Appleもあくまで「医療用ではなく、フィットネスとウェルネスを目的としてもの」として同様の機能を提供しているのが現状だ。
血中酸素ウェルネス機能で、計測が実施されるタイミングは主に2通り。同名のアプリを手動で起動しての測定と、バックグラウンドでの測定だ。計測は非常に繊細で、腕を動かすとエラーが起きて中断されてしまう。15秒間膝上や机の上に固定しておかなければいけないので、使用難度は高い。例えば、ランニングしながら血中酸素を知りたいといった使い方はできないわけだ。一度立ち止まってベンチに座り、膝に15秒間腕を固定して計測を行う必要がある。
はっきり言ってしまうと、日常的なフィットネス利用では特段気にしなくてよい機能だと筆者は思った。もちろん、マラソンやトライアスロンなどのエンデュランススポーツの競技者、あるいは、トレーニングを必要とするレベルの登山に挑む人などが低酸素トレーニングを行うような場合には、トレーニング強度の参考になるかもしれないが、筆者の推測の域を出ない。
むしろ、マラソンの市民ランナーレベルであれば、従来モデルでも「ヘルスケア」アプリ内から確認できた「酸素最大摂取量(VO2MA×)」の方が、持久力の指標としては親しみやすいのではないだろうか。
もちろん、健康管理に関しては、例えば、睡眠中の血中酸素ウェルネスの値をチェックすることで、睡眠時無呼吸症候群などのセルフチェックにはなるとは思う。また、日常的に計測することで、呼吸器系の異常に気付くきっかけになる可能性もあるだろう。この点は、従来の心拍の異常をモニターするのと同様、「転ばぬ先のつえ」としての認識でよさそうだ。
どのモデルを購入すべきか
上述した内容をまとめると、Apple Watch Series 6を買うべきなのは、ファッションアイテムとしてケースの素材やバンドの組み合わせにこだわりたい人や、急速充電を使いたい人、マラソンのトレーニング中などにもモバイル通信を利用したい人などが挙げられるだろう。
一方、SEを購入すべきなのは、軽量なアルミニウムケースを選択し、常時ディスプレイの存在を重視しない人。そして、ワークアウト時のモバイル通信を重視しない人、だといえそうだ。
最後になるが、Series 6の価格はGPSモデルが4万2800円(税別、以下同)から、GPS+Cellularモデルが5万3800円から、SEの価格はGPSモデルが2万9800円から、GPS+Cellularモデルが3万4800円から。4万円以上の予算が出せるかどうかも、どちらのモデルを購入するかの決め手となるだろう。
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