料金値下げの影響は「総合力」でカバー 日本は米国やインドとは違う――ソフトバンク宮内社長との一問一答(2021年2月版)(1/2 ページ)
ソフトバンクの宮内謙社長が、社長としては最後となる決算説明会に登壇した。この記事では、説明会で行われた質疑応答のうち、携帯電話事業に関連する主なやりとりを紹介する。
既報の通りソフトバンクは2月4日、2020年度第3四半期連結決算を発表した。同日に行われた決算説明会では、Y!mobileにおける「iPhone 12」「iPhone 12 mini」の発売の発表や、宮川潤一次期社長のあいさつなどが行われた。
この記事では、説明会後に開催された質疑応答のうち、携帯電話事業に関連する主なやりとりを紹介する。
携帯電話料金の値下げの影響について
―― 携帯電話事業についてお尋ねします。足元では事業の多様化が進んでいる様子はプレゼンテーションからも伺えますが、携帯電話料金の値下げ(に伴う収益への影響)が来期(2021年度)から効いてくると思います。どのくらいの影響を与えると見込んでいるのか、他の事業でどのくらい(影響を)カバーしようと考えているのか、数字で示せるイメージがあれば教えてください。
宮内社長 私たちはシミュレーションこそしてはいますが、それが実際に当たるかどうかは分かりません。相当コンサバティブ(保守的)に見てはいますが、少なくともコンシューマー(個人向け)の通信に関する営業利益は少し落ちると思います。
一方で、(携帯電話事業における)競争は激しくなっています。ここまで料金が下がりましたから。MVNOの方々は大変な所だと思いますが、顧客数はまだかなり取れると思っています。顧客数の読みは、実際に(新しいプランを)やってみないと分からない部分もありますが……。
ただ、会社としてはそんな言い訳はできません。「最大でこれくらい(収益が)落ちるだろう」と見越して、それに合わせてコストダウンを進め、アップサイドを取れる(好調な)法人事業やヤフー事業(※1)、数多くあるグループ企業で(収益を)調整していこうと考えています。
ただ来期は、今期(2020年度)の後半のようにドバーっと伸びることはないと思っています。
(※1)ヤフー、ZOZOなど、Zホールディングス(旧ヤフー)傘下にある企業を示すセグメント区分
コンシューマー向けモバイル通信事業以外のセグメントの売り上げ比率を伸ばすべく、ソフトバンクは法人事業の強化に加えて、ヤフー(Zホールディングス)の連結化などの措置を講じている(画像の予想売上高には、仮定情報に基づく算定を含んでいる)
―― 「あらゆる成長領域で(料金値下げによる減収分を)をカバーする」とのことですが、来期以降において盛り上がりそうな領域はありますか。
宮内社長 先ほども話した通り、1点としては法人の伸びがあります。第3四半期までの単体では、前年度同期比で27%ほど営業利益が増えています。今後は5Gのネットワークも整ってくるので、法人分野でも(収益が)積み上がってくるものと思っています。
公開会社(株式を上場している企業)なので細かいことは言えませんが、(子会社の)Zホールディングスも増益する予定です。持分法適用会社である(スマホ決済を提供している)PayPayについても(※2)、今は大赤字ですがそれが半分以下になる見通しで、それ(持分法に基づく業績への影響)が減るでしょう。
営業利益も大切ですが、最終的な利益(純利益)の面では、私たちには「宝物」がたまってきています。私たちが出資している会社には「IPO(新規株式の売り出し)予備軍」が多く、SBペイメントサービスなど(業績面で)非常に順調なグループ企業もあります。(ソフトバンクグループの祖業の1つである)流通事業についても、この間まで50億円だった営業利益が200億円を超えるような世界になっています。
デジタル化に関する需要は非常に旺盛です。そういうものを積み上げつつ、コストダウンを進めることで、少なくとも減益にならないように努力していかないといけません。これは宮川新社長が頑張らないといけないことですが、私たちの事業全体、トータルの「船」は波がいろいろあるにしても、デジタル化の波にはずっと乗れています。
事業について、今までは「全部増収増益!」と言ってきましたが、これからは部門ごとに波があっても、それを(他の部門で)吸収できるようにすることが経営ではないかと思っています。そういう意味で、事業の多様化を進めてきた所です。
細かい数字の答えとはなっていませんが、宮川(新社長)が5月あたりに来期の業績予想を発表するはずなので、そこまでお待ちください。
(※2)PayPayの出資比率は、ソフトバンクグループが50%、ソフトバンクが25%、ヤフー(Zホールディングスの子会社)が25%となっている
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